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昆虫の成長・変態の制御
以前にご質問した内容と重なるのですが,昆虫を幼虫の段階で糸で縛ってホルモンが胸と腹部へ拡散するのを防いで,蛹への変態を抑えつつ,体は大きくするというお話を聞きました.何点か疑問が湧いたのですが, 1)どのくらい縛るのでしょうか.幼虫が切れてしまいそうですし,小さな隙間でもホルモンは抜けていくと思うのですが. 2)ホルモンはどこを通って体全体へ渡っていくのでしょうか?神経?それとも血管のようなものがありますか?あるとすれば,体を輪切りにしたときのどの辺りに存在するのでしょうか. 3)ホルモンの拡散は止めたにもかかわらず,体が大きくなるということは栄養(この言葉があっているかもわかりませんが)は流れていくと想像しますが,口から食したものは縛っても流れて行ってくれるのでしょうか?成長機構がよくわかりません 4)二箇所縛るなどしてからだの特定の部分だけを大きく(または小さく)したりすることはできないでしょうか? とても基本的なことや筋違いなことをがあるやもしれませんが,ご教示頂ければと思います.
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>1)濃度というお話が出ましたが,ホルモンではどのくらいの桁の濃度が扱われているのでしょうか. 昆虫により、ホルモンの種類により、あるいは測定の方法により違いはあると思いますが、グラム体重当たりマイクログラムオーダー、あるいはpmolオーダーくらいだと思います。また、エクダイソン(これは総称でこの中にも、いろいろな種類があります)で、10^-6~10^-10 M あたりが50%有効濃度のようです。 エクダイソンと幼若ホルモンの濃度比が問題なので、結紮することで人為的に、前が幼若ホルモン>エクダイソン、後ろがエクダイソン>幼若ホルモン状態にできたというのがこの実験の肝だと思います。 >3)例えば縛った状態で,縛られて栄養分の補給ができない状態の箇所へ,人為的に栄養分を投入することができれば,その部分は変態が押さえられ且 結紮実験は非常に初期のナイーブな実験です。その後、ホルモン分泌器官除去・移植実験やホルモン投与実験へと洗練されてきたわけで、そうなれば縛ったときにおこるartifact(まともに食物を消化吸収できないなど)は考える必要がないでしょう。 >アラタ体を除去するということは,幼若ホルモンを分泌させなくなるので,かえって変態が早く進んでしまい体は小さいまま成虫に移行してしまうのではないかと思いますが,いかがでしょうか そのとおりでしょう。 >頭にある幼若ホルモン分泌器官、アラタ体を若いカイコからとって移植するのなどです。 これは、若い幼虫からとったアラタ体を、本来蛹になるべき終齢の幼虫に移植すると言うことです。 >ちなみに,アラタ体の除去や前胸腺の除去というのは,カイコより半分くらい小さい幼虫でも用意でしょうか? カイコはかなり大きい虫なので、たとえば終齢のカイコを思い浮かべておられるのなら、その半分くらいの大きさなら容易な方だと思います。
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- geneticist12
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2)血液中に放出されて血液の循環とともに全身に運ばれます。昆虫はいわゆる開放血管系で体腔内は血液で満たされていると考えてください。血の巡りを良くするためのサーキュレータの役目をする脈管系(心臓のようなポンプ)はあります。 1)結紮では血液の流れもホルモンの拡散も完全にはブロックできないと思います。でも要は量の問題です。しばった先で、正常よりホルモンの濃度が十分に下がればいいのです。 3)消化管系もしばられて、実際には食物がとれない状態で成長はしないと思います(子供のころテレビで見た教育映画では、一連の実験の流れで、胸のあたりで切断して間をガラス管で連結したらどうなるかなんてこともやっていました)。齢が進むこと=身体が大きくなる と思われているかもしれませんが、脱皮することが齢の判断基準でありこの実験の場合からだが大きくなっているわけではないと思います。 ただ、齢を過剰に進めてジャンボカイコを作る方法は別にあります。 頭にある幼若ホルモン分泌器官、アラタ体を若いカイコからとって移植するのなどです。これでも無限に齢を進めることはできなくて、正常より1齢だか2齢おおく成長させるのが限界だったと思います。 4)の回答を含めて参考URLを
お礼
ありがとう御座います.とても参考になります.更にお聞きしてもよろしいでしょうか. 1)濃度というお話が出ましたが,ホルモンではどのくらいの桁の濃度が扱われているのでしょうか. 3)例えば縛った状態で,縛られて栄養分の補給ができない状態の箇所へ,人為的に栄養分を投入することができれば,その部分は変態が押さえられ且つ成長(体の大きさが大きくなる)は促進されるのではないと思いますが,いかがでしょうか.また,この場合の栄養分は何が挙げられるのかが分かりません.ご教示頂ければと思いおます. アラタ体を除去するということは,幼若ホルモンを分泌させなくなるので,かえって変態が早く進んでしまい体は小さいまま成虫に移行してしまうのではないかと思いますが,いかがでしょうか.前胸腺の除去であれば,エクジソンが供給されないため,変態をストップさせて体を大きくすることは可能と思います.また,アラタ体も前胸腺も除去しないで,幼若ホルモンを大量投入すれば,変態が抑えられるとも考えられますがいかがでしょうか? それとも,エクジソンと幼若ホルモンの比率が問題なのではなく,エクジソンの絶対量が問題でしたら,この手法は意味が無いとなりますが・・・.何か見当違いなことを行っていたらすみません. ちなみに,アラタ体の除去や前胸腺の除去というのは,カイコより半分くらい小さい幼虫でも用意でしょうか?外科的な作業に疎いため,どのような作業を行うかが検討もつきませんので,お教え頂ければと思います. 色々聞いてしまい恐縮です.