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翻訳語 「民主主義」 の起源
democracy を 「民主主義」 と訳したのはだれでしょうか。 『翻訳語成立事情』 (柳父章 岩波新書) を読んだり、検索をしてみたかぎりでは、わかりませんでした。福澤諭吉の 「文明論之概略」 にもでてきませんでした。 「民主」 は、中村正直の 「人民自主」 と関係がありそうな気がしますが、そちらのほうは、まあどうでもよいです。 -cracy を 「主義」 と訳したのは誤りだとする (それ自体としてはもっともな) 意見を目にすることがあるので、翻訳のいきさつを知りたいとおもいました。 この訳語の初出あるいは早い時期にあらわれる用例や、翻訳の事情について書かれた本またはウェブサイトをご紹介ください。
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- luune21
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回答No.1
お礼
> すでに、お調べになっていることとは思いますが ・・・ 調べていなかった > 文例は、もっと詳しく記載されています ・・・ ぜひ、くわしい文例が知りたい というわけで、昨日ご回答を拝見してから、 『外来語辞典 (第2版)』 (あらかわ そおべえ 1977 角川書店) を手に入れました。この辞書のおもしろさを紹介しているウェブ記事があるほどなのですね。 高山樗牛の用例が出ていた 『国語辞典』 というのは、 『日本国語大辞典』 でしょうか。その第1版をもっている人に照会したところ、つぎの回答がえられました。 「ニーチェは更に論歩を進めて民主々義と社会主義とを一撃の下に破砕し」 (高山樗牛 『太陽』 明治34年1月号) ここで否定的な文脈のなかでいわれる 「民主主義 (民主々義)」 とは、直接的には、政治制度でなく、政治思想をさすようです。 「民主主義」 ということばが政体の意味でも使われるようになったのは、それ以降のことなのかもしれませんね。 大久保利通の用例にみられる 「君主制 (君主政治)」 の対義語としての 「民主主義/民主制 (民主政治)」 という "democracy" の解釈も、興味深いところのようですね。というのは、自由民権運動においても、戦後の 「民主主義」 においても、 「君主制」 と 「民主主義」 はどうやら両立しているからです。 「民主主義革命」 ということばが敗戦後のGHQ占領下で一世を風靡したことがあったというのは、さきほど読みはじめた 『敗北を抱きしめて』 (J. Dower 1999 ジョン・ダワー 2001 岩波書店) で知りました。 その前に読んだのは 『文明開化』 (木村毅 1966 至文堂) で、たいへんおもしろかったのですが、「民主主義」 ということばについてはふれられていませんでした。 じつはわたしは、日本国が 「立憲君主制」 だということを昨日まで知らなかったほど、基本的な知識や教養に欠けるところがあります (つまり天皇が元首だとはおもっていなかったわけで、目下驚愕、当惑しています)。 さらに、おしえていただいた情報から図書館で原典にあたって調べるほどの根性もありません。 最低限のところで、福沢諭吉や中江兆民の代表作などをぽつぽつと読んだりしながら、日本の社会や日本語のことを理解したいとおもっているだけなのですが、そうする上で、たいへん参考になりました。 深く感謝いたします。