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吉原幸子さん「初恋」
吉原幸子さんの「初恋」という詩の解説を教えてください!!
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どなたからも回答がなさそうなので。 あまり適切な回答も出来そうもありませんが。 ご質問の詩は「幼年連祷」三の11番目の詩のことだと判断し、以下それで答えます。 二人のしたこと、されたことを分けてみましょう。 二連一行目に「女の子と もうひとりの女の子」と出てきます。 はじめの「女の子」=窓を見ている=ほほえむ=キスを盗まれる=歯をむかれる=二つの「カ」の字を消す 「もう一人の女の子」=後姿を見ている=キスし笑う=いじめっ子になる=黒板に書く こんなふうに読みました。(これも一つの解釈です。あくまで私はこう読んだというに過ぎません) 女の子が女の子を好きになる。こんなことは結構あることだと思います。 しかもこれは幼い恋、青っぽい未熟な恋です。作者はそれを思い出しています。 それが最終行の「うすい」昼という言葉を選ばせた一つの理由でしょう。淡いのですね。 「オコラナイノデスカ ナクダケデスカ」 この「二つの「カ」の字を」ほほえみながら黙って消してみせる受身の女の子。 ここにはっとしたんですね。人によって生き方の違いがあるって気がついたのかもしれません。 それとチンドン屋の音。これは詩の最初から通奏低音のように聞こえています。 それが途中で(途中の回想に読者が気を取られ)すっかり聞こえなくなっていたのが、 最終行へ来て、「へたくそラッパ 急に高まる」んですね。 洗練された恋ではありませんからBGMも聞くに堪えないへたくそなんです(笑) ここらあたりまるで映画のワンシーンのように書かれています。 吉原幸子氏は現代を代表する恋愛の詩人。 嘘のつけない直情の女性だったようです。 捨て身になって生きてゆこうとした人(少なくとも詩から受ける印象では) そのリリックな第一詩集のなかの一編ですね。 あくまで個人的な「解釈」ですので、参考になりそうなところだけ拾っていただければと思います。