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憲法の55条と58条2項
今、特別決議のところを独学してるんですけど、ちょっと分からないところがあるのでご教授ください。 特別決議で、 1資格争訟裁判で議員の議席を失わせる場合。 2秘密会を開く場合 3議員を除名する場合 4法律案を衆議院が再可決する場合 というのがありました。 この1と3はどのように違うのでしょうか? よろしくおねがいします。
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資格争訟裁判(憲法55条、国会法111条以下)による失職と除名(憲法58条2項、国会法121条以下)による失職とは、失職事由が異なります。 資格争訟裁判による失職事由となるのは、法律上国会議員となり得る資格(公職選挙法10条1項1号、2号、11条1項、2項、99条)を当該議員が当選当時から有していないか、または任期中に喪失した(国会法109条)ことです。 これらは、一応、当該議員に帰責事由(落ち度)があるかないかにかかわらず、国会議員たることを許されない事由ということができます。 これに対して、除名による失職事由となるのは、「院内の秩序をみだした」(憲法58条2項本文)ことです(「院内」とあるために、たとえば、主宰団体がマルチ商法まがいの組織的な詐欺行為を行っていたために刑事事件にまで発展した参議院議員を除名できなかったという事例があります。ご興味をお持ちなら、「オレンジ共済」というキーワードで、ウェブ検索をなさってください。)。 除名による失職事由は、一応、当該議員に帰責事由があるために、国会議員たることを許されない事由ということができます。 mago416さんは、資格争訟裁判の決議要件が単なる事実認定の問題であるはずなのに、なぜ除名と同じく特別決議を要求されているのか疑問をお持ちかもしれませんね。 それは、資格争訟裁判の決議要件を除名より軽くしてしまうと、多数派が、政治的な動機から、本来除名によって失職させるべき者を資格争訟裁判により失職させてしまいかねない(手続の濫用)からだと思われます。 失職事由の区別について、「一応」と申し上げたのは、このような理由からです。 なお、資格争訟裁判や除名による失職と、当選人や総括主宰者等の選挙犯罪による当選無効(公職選挙法251条以下、210条)とは異なりますのでご注意ください。 当選無効は、国会議員の地位の大前提である当選(「選挙された」(憲法43条1項))を欠いているために、当該議員はそもそも国会議員ではなかったことになる(ただし、混乱を避けるため、当選無効の効力は、被告事件についての判決確定のとき以降とされています。同法251条の5ご参照)ので、裁判所が当選無効事由の存否を判断できるのですが、資格争訟裁判や除名による失職は、有効に当選した(国民が代表者として選んだ)者の国会議員たる地位を喪失させるので、国会かぎりで判断する(裁判所が資格争訟裁判や除名決議の有効性を審査することはできません。法律案の決議手続に関する最高裁昭和37年3月7日判決ご参照)わけです。 ご参考になれば幸いです。
お礼
詳細なご説明ありがとうございました。 大変分かりやすくたやすく理解することができました。 オレンジ共済事件についても調べてみようと思います。 でも本当に一般人ですか? ものすごい一般人がいるもんですね(笑) どうもありがとうございました!