「鶴鳴之士」(かくめいのし)という言葉が詩経に出てきます。官職に採用されることなく隠棲している不遇の賢人を指す言葉です。したがって、鶴というのが必ずしも権威のあるイメージで語られているかというとそうでもありません。
しかし、この言葉にももう1つの解釈があり、遠くまで響きわたる気品のある鶴の鳴き声から、多くの人々に信頼され、尊敬される人のことを指すようにもなっています。
また「風声鶴唳」(ふうせいかくれい)といって、風の音と鶴の声を聞いて敵が攻めてきたと思って逃げてしまったという故事があるように、確かに鶴の鳴き声は威力があるようです。
したがって、鶴の一声とは、大きく遠くまで響く声によって相手をおじけづかせる能力があることから、他人の意見を封じるほど威力のある発言ということになります。