黒体の性質が分かりません
キルヒホッフの法則の証明で,黒体面(単色放射能E(T,λ))に囲まれた閉空間があって,その中に実在面(単色放射率ε(λ),吸収率α(λ))を有する小物体があり,熱平衡状態である状況を考えています.
黒体面からの輻射が入射したとして,その波長λ成分の入射強度はE(T,λ)なので,その成分から受け取る輻射エネルギーは吸収率α(λ)を掛けて,α(λ)E(T,λ)となります.一方,小物体の放射のうち波長λ成分の強度はε(λ)E(T,λ)ですが,熱平衡であるためには各波長成分に対して受け取ったエネルギーと放射するエネルギーは等しくなければならないので,α(λ)E(T,λ)=ε(λ)E(T,λ).よって,α(λ)=ε(λ)(キルヒホッフの法則)という説明がなされています.
では逆に,実在面で囲まれた閉空間内に黒体面を有する小物体があったとします.実在面からの輻射の波長λ成分はε(λ)E(T,λ)であり,これが黒体面を有する小物体に入射したとします.黒体面の吸収率は1なので,受け取るエネルギーはそのままε(λ)E(T,λ)です.一方,小物体の輻射の波長λ成分は,これが黒体面なのでE(T,λ)そのものです.上の証明に倣えば,熱平衡のためにはこれらが等しくなければならないので,ε(λ)E(T,λ)=E(T,λ).よって,ε(λ)=1でなければならず,あらゆる実在面の単色放射率が1,つまり実在面=黒体面になってしまいます.
これはなぜでしょうか.そして,次の点についてあっているかどうか教えてください.
黒体の単色放射能は温度と波長が決まれば決まり,周囲の状況によらず常にその強度で放射する.