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CV測定での電極評価について
- 現在、カーボンインクと銀/塩化銀インクを使用してスクリーン印刷で印刷電極を作成しています。フェロシアン⇔フェリシアン化カリウムによるCV特性測定を行い、電極の出来栄えを評価しています。
- 銀/塩化銀を印刷しないカーボンむき出しの参照電極を作成した結果、酸化還元電位のピークセパレーションが銀/塩化銀を参照極に印刷した3電極系よりも小さく、CV波形が低電位側にシフトする傾向を示しました。
- 参照極では電流が流れず、参照極で発生するIR降下は参照極の種類によらず変わらない可能性があるため、参照極の種類によってCV波形のピークセパレーションは変わらないのではないかと考えられます。また、ポテンシオスタットによって作用極の電位が参照極に対して相対的に決まるため、フェロシアン/フェリシアン化カリウムの酸化還元ピーク電位は電極によらず一定かもしれません。
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> (1)ジオメトリーといいますと、電極の表面粗さと考えてよろしいでしょうか。 作用極,参照極,対極の位置関係,配置です. > (2)参照極が基準とはなるものの、作用極の電位は参照極との相対差だから、作用極の電位を1Vにしたい場合、 この,1V というのは何に対して,という感覚でいるのか,そこらがキモのような気がします.電気化学では絶対電位は通常考えません.標準水素電極の電位を0とする,相対値だけで議論するわけです.標高を任意に決めた東京湾の平均海水面を0として表わされる,というのに似ています.仮に,標準水素電極基準の値として1Vに設定しようとして, > (1)参照極の電極電位が0Vの時は作用極と参照極の電圧(表示電圧)は「1V」と表示され、 これはそうなりますね.参照極の電位というのも,標準水素電極からの電位差と見るわけですが. > (2)参照極の電極電位が0.5Vなら「1.5V」と表示され、 参照極電位が標準水素電極に対して0.5Vであるなら,ポテンショスタットでは0.5Vに設定すれば,作用極電位が標準水素電極から見て1.0Vになります.数直線でも書いてみてください. 参照極によって電位が全体にシフトするのは,測定上の電位基準が動いたことによるのでしょう. ピーク分離が変わった方は,参照極の実効内部抵抗のせいではないかと踏んだのですが,情報不足です.塩化物イオンがない場合,銀-塩化銀電極は物理化学的に意味のある電位を示しません.また,無意味に内部インピーダンスが高くなります.ポテンショスタットの電位測定端子の入力インピーダンスは,一般的な ORP メータやエレクトロメータに比べると,大きさの点でもうひとつということが多く,その場合は,三電極であっても漏れ電流の影響が無視できなくなることはありえます.
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- c80s3xxx
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1) 疑問はもっともだと思います.はっきりとはいえませんが,電極のジオメトリーが効く場合があります.どうなっていますか?また参照極は直接測定溶液に接している構造になると思いますが,測定溶液にはある程度の塩化物イオンが入っていますか? 2) 「今回の実験では電極によらず」というのが,参照極によらず,という意味ならそれは勘違いです.ポテンショスタットは参照極と作用極の電位差を設定値にする装置ですから,参照極電位が違えば印加電位をその分変えない限り,作用極電位の物理化学的意味を同じにしたことにならなくならからです.
お礼
御回答ありがとうざいました。大変参考になりました。(1)ジオメトリーといいますと、電極の表面粗さと考えてよろしいでしょうか。もしそうであるならば電顕等で表面観察してみます。 また、今回は溶液中に塩化カリウム等塩化物イオンを解離する電解質を入れていません(実際の測定環境では未知の試薬に浸漬してCVピークから成分を解析する事を考えており、特に塩化物イオンの有無を考慮していませんでした)。塩化物イオンを添加して差異を確認してみます。 (2)参照極が基準とはなるものの、作用極の電位は参照極との相対差だから、作用極の電位を1Vにしたい場合、例えば (1)参照極の電極電位が0Vの時は作用極と参照極の電圧(表示電圧)は「1V」と表示され、 (2)参照極の電極電位が0.5Vなら「1.5V」と表示され、 (3)参照極の電極電位が-0.5Vならば「0.5v」と表示さ れると考えるという事でしょうか。
お礼
御回答ありがとうございました。とても参考になりました。まだまだすっきり解決とはいきませんが、まずフェロシアン/フェリシアン化カリウム溶液にKClを溶解し、CVを測定して、そのデータと溶液中に塩化物イオンがない場合の以前測定したCVデータと比較してみました。C80s3xxxさんのおっしゃるとおり、塩化物イオンが溶液中に存在する場合、存在しな場合に比べて酸化還元電位ピークが全体的にプラス側にシフトし、いわゆるフェロシアン/フェリシアン化カリウムの教科書に掲載されている酸化還元電位に近づきました。こんなに変わるとは目からウロコでした。やはり塩化物イオンが溶液中に存在しないと銀/塩化銀電極を参照極としてつかっても本来の機能を発揮出来ないのですね。 相変わらずピークセパレーションが大きいのですが、これは、溶液中に塩化物イオンが存在しない系にあっては単なる導電性の低い粒子となってしまう塩化銀の為に、電極自体の内部インピーダンスが高くなってしまったのかも知れません。後日導電性のチェックをしてみます。いろいろアドバイスありがとうございました。またよろしくお願いいたします。