「きちんと式をたてて答える」ことをご希望ですが、どんな問題も「ある式を立てれば、あとは式の通り計算したら答が出る」という形にしなくてはならない、という訳ではないんです。そして、この問題はそういう形にするにはあまり適していません。
この問題の場合、たとえば「2×1998が12で割り切れるかどうか」を調べるのに、
2×1998 = 3996
3996÷12 =?
とやったのでは、999通りを全部計算してみるしかない。そうではなくて、数列の規則性をうまく使って、なるべく計算をしないでエレガントに答を出すことが求められています。
●問題文の写し間違いについては、「1×1999、2×1998、3×1997、…、998×1002、999×1001」だとしましょう。
これらを4で割ったら割り切れて、さらにその答を3で割って割り切れるもの」を数えれば、(12=4×3だから)12で割り切れるものの個数が分かります。
●数列を2個ごとに分類して並べ、
1×1999, 3×1997, …, 997×1003, 999×1001 (500個)
2×1998, 4×1996, …, 998×1002 (499個)
と書いてみますと、
1行目は4で割れない。なぜなら、どれも(奇数)×(奇数)になっているから全部奇数であり、4では割り切れません。
2行目はどれも(2の倍数)×(2の倍数)だから、全部4の倍数であり、4で割り切れます。
●そこで2行目を4で割って答を並べてみましょう。つまり、2行目のa×bを全部(a÷2)×(b÷2)で置き換えてやるわけです。すると、
1×999, 2×998, …, 499×501 (499個)
となります。
さて、これらのうち3で割り切れるものはいくつあるか、が次なる問題です。
●この数列を3個ごとに分類して、
1×999, 4×996, …,496×504, 499×501 (167個)
2×998, 5×995, …,497×503 (166個)
3×997, 6×994, …,498×502 (166個)
と分けてみると、
1行目は全部3で割り切れます。なぜなら、どれも(ナニカ)×(3の倍数)になっているからです。(あるいは、こう考えても良いでしょう: (ナニカ)×(999)が3で割り切れるので、(ナニカ)×(999-3)も3で割り切れる。以下同様。)
念のため、実際に割ってみましょう。(つまり、1行目のa×bを全部 a×(b÷3)で置き換えてやるわけです。受験数学の模範解答にはこんな計算は必要ないでしょうけれどね。)すると、
1行目: 1×333, 4×332, …,496×166, 499×167 (167個)
確かに割り切れました。
また、3行目も全部3で割り切れます。なぜなら、どれも(3の倍数)×(ナニカ)になっているからです。(あるいは: (3)×(ナニカ)が3で割り切れるので、(3+3)×(ナニカ)も3で割り切れる。以下同様。)
念のため、実際に割ってみましょう。(つまり、1行目のa×bを全部 (a÷3)×bで置き換えてやるわけです。)
3行目: 1×997, 2×994, …,166×502 (166個)
さて、問題は2行目ですね。2行目は全部、3で割り切れません。なぜなら、どれも(3で割り切れないもの)×(3で割り切れないもの)になっているから、3で割り切れないのです。(あるいは: 2は3で割り切れないから(2+3)も3で割り切れず、998は3で割り切れないから(998-3)も3で割り切れない。ゆえに、(2+3)×(998-3)も3で割り切れない。以下同様。)
●かくて、4で割った答449個のうちで、1行目(167個)と3行目(166個)だけが3で割り切れました。
★肝心なのは、(式を使うかどうかなんかじゃなくて)以下の点です。
「 a × b が c で割り切れるならば、aがcで割り切れるかbがcで割り切れる(両方とも割り切れる場合もあります)。」
「 aもbもcで割り切れないならば、a × b も c で割り切れない。」
「 aがcで割り切れるかbがcで割り切れる(両方とも割り切れる場合もアリです)ならば、a × b も c で割り切れる。」
「 a × b が c で割り切れないならば、aもbもcで割り切れない。」
これらの規則が成り立つことは、「どんな自然数も、素因数分解がちょうど一通りだけできる」という性質によって保証されています。