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HSAB則について
HSAB則について、混乱してきています。 私のイメージとしては、H+、Li+などは半径が小さく 核にきつく縛られている感じで硬い、反対に I-やCu+などは半径が大きく核にゆるく縛られている感じやわらかいと思っています。 有機化学の演習書によると エノラートの共鳴を考えると共鳴形のひとつである 酸素アニオンは硬い、もうひとつの炭素アニオンは やわらかいと書いてあります。 どちらも酸素または炭素上に負電荷がくるのに、 違いが出てくるのはどのように解釈したらよいのでしょうか?(自分のイメージでは、どちらも負電荷が来ると、クーロン力で核により引きつけられ、硬くなるってしまう) また、2-シクロヘキサノン(α、β不飽和カルボニル化合物)で、(CH3)2CuLiとCH3Liとを反応 させると、1、2付加or1,4付加の問題では カルボニル炭素はδ+で硬い、二重結合の炭素はδ+でやわらかいと書いてあります。 さっきはカルボニルアニオンで軟らかく、今度はδ+ で軟らかくなっています。どう理解したらよいのでしょう? さらには、CH3LiでLi+は硬いので、CH3も硬い。これはOKなのですが。 (CH3)2CuLiではCu+が軟らかいので、CH3-は軟らかい。これもOKですが、じゃあLI+も軟らかくなっちゃうの? Li+は(CH3)2CuLiの結合とはあまり関係ないのでしょうか? 長くなってしまいましたが、硬いとか軟らかいとか どのように判断すればよいのでしょうか?
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HSAB則は、そもそも経験的な法則にあとから理論的な意味付けをしたものです。したがって、必ずしも簡潔な理論で結果を予測できるとは限らないように思います。 ただし、結果が分かっていればそれに対する説明は可能です。とまり、時として相反する要因があり、そのどちらが優位になるかを事前に予測しづらいこともあります。 さて、ご質問のエノラートの件ですが、一般論としてアンビデントな(反応点が2か所ある)アニオンの場合には、電気陰性度が大きくサイズの小さい側がハードになります。すなわち、酸素の側がよりハードになります。酸素の方が電気陰性度が大きいために、電子が原子核に強く引き付けられ、その分だけ負電荷が狭い空間に集中しているというイメージでよいでしょう。 α、βー不飽和カルボニル化合物には、感覚的な説明は難しいかもしれませんが、カルボニル炭素の方が酸素の影響を強くうけて、狭い範囲に正電荷があるというイメージになるでしょうか。ただし、こうしたイメージを過信するのは危険であり、判断を誤る原因にもなりかねません。経験的事実として、β位の方がソフトであると考えた方が良いかもしれません。また、ここでのハード、ソフトは相対的なものであると考えた方が良いでしょう。 (CH3)2CuLiの件で、Li+のハードソフトを問題にすることはほとんどないでしょう。ですので、正確なところは分かりませんが、Li+がソフトになるようなことはないような気がします。 HSAB則は有機合成を行う上で、非常に有用な法則ですが、少々曖昧というか、難解な面があると思います。 したがって、多くの例を調べて、その法則のようなものを理解し、それまでに分かっている結果に基づいて判断をくだすのが現実的な対応だと思います。 時として、やってみなければ分からないこともあります。だたし、HSAB則を理解できていれば、困ったときの指針になりうることは確かです。 なお、同じ元素であっても、アニオンとカチオンではハードソフトが変わることもありますので要注意です。例えば、H+はハードですが、H-はソフトであるとされています。こういうこともあるから、少々難しいということです。
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- DexMachina
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以下、ご質問の各件について、私のイメージに沿って、順に説明させて戴きます。 まず、全体イメージ; ・周期表の上方にあるものはハードになりやすく、下方はソフトになりやすい。 ・上方にあるもののうち、 アルカリ金属などの陽イオンになりやすいものはハードな陽イオンに、 ハロゲンなどの陰イオンになりやすいものはハードな陰イオンになり、 炭素などの中間に位置するものは、対となる相手によって変わる。 (これについては、半径でイメージをとらえているsaemon26さんのご理解から それほどずれはないのではないかと思います) 1)エノラートの酸素アニオンと炭素アニオン これは、No.1の方の回答にもある通り、相対的な話だと思います。 (「酸素より電気陰性度の小さい炭素のアニオンは、酸素アニオンに 比べれば軟らかい」、と) 2)α,β-不飽和カルボニル化合物のカルボカチオン カルボニル基の立ち上がりによって生じるカルボカチオン →対の酸素アニオンがハードなので、カルボカチオンもハード。 カルボカチオンとの共鳴で生じる二重結合の炭素のカチオン →間接的に生じるため、直接的に生じるカルボカチオンに 比べればソフト。 3)ジメチル銅リチウム ソフトなCu^+と直接結合しているCH3^-はソフト。 一方、Liはハードなので(→こちらが前提)、それと対になる [(CH3)2Cu]^-もハード(→あくまでこの錯イオンとして考える)。 ・・・以上のように考えれば、それぞれの話に食い違いもなく 納得戴けるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
お礼
遅くなってすみません。 回答ありがとうございます。 >> カルボニル基の立ち上がりによって生じるカルボカチオン →対の酸素アニオンがハードなので、カルボカチオンもハード。 カルボカチオンとの共鳴で生じる二重結合の炭素のカチオン →間接的に生じるため、直接的に生じるカルボカチオンに 比べればソフト。 このような見方も大事なんですね。 3)ジメチル銅リチウム ソフトなCu^+と直接結合しているCH3^-はソフト。 一方、Liはハードなので(→こちらが前提)、それと対になる [(CH3)2Cu]^-もハード(→あくまでこの錯イオンとして考える)。 なるほど、参考になりました。
お礼
遅くなってすみません。 いつも回答して下さりありがとうございます。 >>経験的事実として、β位の方がソフトであると考えた方が良いかもしれません。また、ここでのハード、ソフトは相対的なものであると考えた方が良いでしょう 相対的に考えるということをしていませんでした。 >>HSAB則は有機合成を行う上で、非常に有用な法則ですが、少々曖昧というか、難解な面があると思います。 したがって、多くの例を調べて、その法則のようなものを理解し、それまでに分かっている結果に基づいて判断をくだすのが現実的な対応だと思います。 このようにはっきりといわれると、助かります。 教科書などもそのように書いてくれたら・・・と思うのですが。