古代には数回あったようです。
例えば継体天皇、系図では応神天皇5世の孫とされていますが、大和政権とは関係のない人物で、北陸・近江・尾張の諸豪族の力を背景に天皇家を乗っ取ったという説もあります。
天武天皇も天智天皇の実の弟とされていますが、実際には天智天皇より年長で、父親は違うとか全くの他人という説もあり、弘文天皇(大友皇子)を戦で破って皇位を継いでいます。
こういう古代の話はよく分からない部分もありますが、歴史がはっきりしてからでは、足利義満が天皇を廃して自らが皇位を簒奪しようとしたと言われています。
とんち小僧の「一休さん」は一休宗純といって、後小松天皇の皇子になります。
後小松天皇は1412年仁親王(称光天皇)に譲位しますが、称光天皇は虚弱な方で、本来であれば知能明晰身体頑強な一休さんがスペアーとして皇室に残り、皇位を継いでもおかしくないのですが、義満の意向で出家し、皇位継承者候補を消していくという方向になります。
義満は皇位継承者がいなくなった時点で、自分も天皇家の血を引くものとして「女系天皇」として自分か次男の義嗣を皇位に就ける考えもあったと、海音寺潮五郎や井沢元彦などは推察しています。
ただこうした危機を乗り越えてみると、皇位というものは血脈により継承されるもので、天皇家以外のものが継いでも価値がないものとなり、勝者にとって勝利を認定してくれる権威ある機関となりました。
つまり現代で言えば、「博士」という称号を貰っても、実務では何の役にも立たず、発行者によってはちり紙にもなりませんが、東大とか京大などが認定した博士号を持てば、世間では何となく一流の人物のように思われます。
あれと同じで、天皇が認めた人物は正義であり、それに逆らうものは賊軍ということになりますから、実力者たちは自分たちの正当性を権威つけるために天皇を必要としているということです。
またその権威は血によって継承されますから、全くの他人ではありがたみが違ってしまいます。
そういう訳で、時の権力者は藤木のツタが絡まるように、娘を天皇家に嫁がせ、間接的に天皇家を操ってきました。