作家マンスフィールド自身はかなり個性的な人物だったようですが、
それに反して、描かれた短編小説は心の微妙な動きを捉えたものが多いと言われていますね。
特にこの「園遊会」は少女ローラの心の揺れ動く姿がほんとに詩的に描かれていて読後感もさわやかです。
「一番大切な箇所」がこの小説のテーマのことなのか、
あるいはドラマチックな部分のことを言われているのかご質問からは、はかりがたいのですが、
いずれにしても、富裕な家庭のローラが母親の使いで、貧しい人々にバスケットを届けに行った時に起こった出来事が、一番のテーマではないでしょうか。
しかしそこで描かれているものは、作者の永遠のテーマであった「階級差」とかいったものではなく、
母親たちが楽しくガーデン・パーティーしている同じ頃に、貧しき人々の家では若い男が死んで、喪に服している。その人生の不思議さにローラの気持ちがおおきく揺れ動く、そこが主題ではないかなあ、と思います。
けっして階級差からくる相容れないものとか、批判めいたものではなく、初めて死を前にしてのその
厳かさに心を奪われてしまうローラ。この辺りではないのでしょうか。
その気持ちを最後の場面で兄のローリーに打ち明けようとしますが、
幼い少女ローラに生きること、人生とは何かうまく表現できるわけがなく
愛する兄のローリーだけが何も聞かずに受け入れてくれ、ローラの心が癒されていく。
わたしが読んだかぎりではこの小説をこのように受け止めたのですが、
また違う読み方もあるのかも知れませんね。
お礼
詳しいご回答ありがとうございます。 今、レポートの為に園遊会を読み返しているので よく分かります。 こう言うのをしっかりと頭に入れていると読み応えがあるように思います。 大変参考になりました。 どうも有り難う御座いました。