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NMR

ベンゼンに置換しているプロトンは、環電流効果により外部磁場により、注目しているプロトンは外部磁場よりも強く磁場がかかり、低磁場側で共鳴すると習いました。しかし、基準物質のTMSのエネルギー差(α、βスピンのエネルギー差)に比べ大きくなっています。直感的には低磁場で共鳴するのだからエネルギー差は小さくなると考えてしまいます。どうしてケミカルシフトの大きい物質ほどエネルギー差は大きいのでしょうか?なにか当然のことを聞いている気がしますが、どなたかご教授おねがいします。

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  • Kemi33
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回答No.1

 当然といえば当然なんですが,最近は CW (continuous wave)-NMR の事は殆ど習わないでしょうから,知らないで使っている人が殆どだと思います。  まず,確認ですが,御質問を言い換えると「ケミカルシフト(共鳴周波数,ν)の大きい水素は ΔE=hν からエネルギーも大きいはず。更には,ν=(γ/2π)B の関係から共鳴する磁場(B)も大きいはず。なのに,低磁場側はケミカルシフト(共鳴周波数)の大きい側になる。これは何故?」という事で良いでしょうか? 以下そのつもりでの回答です。  まず,CW-NMR において,測定方法に「周波数掃引」と「磁場掃引」があるのは御存知でしょうか? 「周波数掃引」とは,一定の外部磁場の中に置かれた試料に対してラジオ波を周波数を徐々に変えながら当てる事で共鳴スペクトルを記録する方法です。この時,外部磁場の強さ(Bo)と共鳴周波数の間には ν=(γ/2π)B0 の関係が成り立ちます。   ーーーーーー     ↑    ΔE=hν=(γ/2π)h・B0     ↓   ーーーーーー  その結果,ケミカルシフト(共鳴周波数,ν)の大きい側が【外部磁場(B0)】の高磁場側になります。  一方,「磁場掃引」とは一定の外部磁場の中に置かれた試料に一定周波数のラジオ波を当てておき,変調コイルに一定周波数の電流を流す事でトータルの磁場強度を変えて共鳴スペクトルを測定する方法です。この時,外部磁場としては充分な強さの磁場を用い,掃引磁場は外部磁場を打ち消す方向でかけます。したがって,この場合,外部磁場の強さ(Bo),ラジオ波周波数(ν),変調コイルによる掃引磁場の強さ(B)間に ν=(γ/2π)(B0-B) の関係が成り立ちます。   ーーーーーー   ←ーー    ↓(γ/2π)h・B |   ーーーーーー      |    ↑      (γ/2π)h・B0     hν         |    ↓          |   ーーーーーー   ←ーー  その結果,ケミカルシフト(ラジオ波周波数,ν)の大きい側は【掃引磁場(B)】の低磁場側になります。  さて,いよいよ御質問の回答です。良く言われる「高波数側・低波数側」とは上記の【共鳴周波数(ν)】の高低を言っています。ですので,高波数側がケミカルシフトの大きい側で,低波数側がケミカルシフトの小さい側です。それに対して,「高磁場側・低磁場側」という場合の磁場は「外部磁場(B0)」ではなく,上記の【変調磁場(B)】の高低を言っています。その為,高磁場側がケミカルシフトの小さい側になり,低磁場側がケミカルシフトの大きい側になります。  如何でしょうか? 解り難い様であれば,図書館ででも昔の CW-NMR の事が出ている成書を探してみて下さい。

bonjovi
質問者

お礼

なるほど。大変分かりやすい回答ありがとうございます。「高波数側・低波数側」という用語は周波数掃引の時用いて、一方「高磁場側・低磁場側」は磁場掃引のときに用いるのですね。高周波数、低磁場という言葉をひとくくりにして考えていました。丁寧な回答ありがとうございました。

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