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反発の物理2
先に、表面の反発のメカニズムについてお聞きしましたが、今回は別の例についての説明をお願いします。 それこそ、真空チャンバーなどもあるように、 金属チャンバーなどは、気体分子を透過させませんよね。 そのミクロのメカニズムの説明をお願いします。 どういう類の電磁相互作用が、結晶格子内、もしくは金属結合のチャンバーの壁素材内部に他の粒子が混入することを拒むのでしょうか? 中性子線なども、同様に進入が拒まれますかね?ニュートリノはほとんどの物質を透過しますよね。
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- shkwta
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「スカスカ」については、数式を使った証明の方法まではわからないのですが、量子力学で理解できると思います。 原子の中身が「スカスカ」であっても、2つの原子を重ねるには大きなエネルギーが必要です。 最も単純な場合として、2つの金属結晶を押し付けて完全に重ねることを考えます。金属結晶の内部はいわゆる井戸型ポテンシャルで近似します。2つの結晶を完全に重ねるということは、同じ大きさの井戸の中に2倍の数の電子を放り込むことです。したがって、パウリの排他律によって半数の電子は元よりも高いエネルギー準位に行かなければなりません。つまり、金属結晶を重ねることは大きなエネルギーを必要とします。 結晶でなく、2つの原子とした場合も同様です。2つのヘリウム原子は重なれません。2つの原子核でできるポテンシャルの凹部に、2倍の数の電子を入れなければならないからです。 2つの水素原子は重なって水素分子を作れますが、これはそれぞれの1s軌道(最も低いエネルギー準位のこと)に1個しか電子がないためです(1つの軌道に電子は2個入ります) ---------------- つぎに、結晶内を別の原子が割り込んで通過する場合を考えます。 結晶は、環境の温度・圧力のもとで、最もエネルギー的に安定な原子の配列になっているはずです。ここに他の原子を入れると、配列が変わるので、エネルギーを必要とします。 ただし、結晶格子には欠陥があるので、そこに別の原子が入ることもあります。熱運動により、格子欠陥が移動したり、原子同士が位置を替えたりすることがあります。これを繰り返せば、結晶内を別の原子が通過できる場合も考えられます。 黒鉛のように、層状の結晶の層面間にイオンを取り込める結晶もあります。 ここからは自信がありませんが、金属と空気の間ではそのようなことが非常に起こりにくいのでしょう。酸素や窒素が表面から金属結晶内に取り込まれるということは酸化物や窒化物になるということであり、それが内部を進んで裏面から再び酸素や窒素として放出されることは考えにくいように思います。 水素吸蔵合金があるので、水素なら金属結晶内に入りやすいのかもしれません。
- yumisamisiidesu
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すいません、よく分りませんが、ニュートリノの遮断とかそこまでは、現代の工学技術の対象ではないかもしれません 遮断技術の対象は普通の物質かせいぜい、電磁波くらいではないでしょうか? 普通の物質の遮断なら固体を遮断壁で用いることにより反作用力によって個体の通過を阻止してると単純に考えることができると思います
お礼
その「遮断壁」のミクロなモデルがあればご教授ください。 散乱問題の一つの応用問題でしょうか? どうして、 言ってみれば、「スカスカ」の結晶格子や金属塊に電子線などが入射するときに、 結晶格子自体をポテンシャル壁と近似的にみなせるようなことになるのでしょうか? そのモデルを聞いています。 文献紹介でも結構ですので、よろしくお願いします。
補足
1. 電子線などの入射 いわゆる共有結合結晶ならば、格子を「壊す」のには大きなエネルギーが必要でしょう。 そのミクロなイメージをお聞きしたい。 例えば、電子線がダイアモンド結晶格子表面に入射すると、 極近くに来たときに、 結晶格子の陽子と電子の配置が影響を受けそう。 で、その反作用が、もろに電子線にかかる。 だから、あたかも、壁のように結晶格子が硬い。ってことですよね。 おそらく酸素分子なども、これくらいミクロの相互作用においては、分極効果が無視できないでしょうから、結局、電子線ほどの強い影響は受けなくても、それでも、ある程度分厚い結晶の内部奥深くまで行くのは到底無理ということでしょう。 ここまでは大分納得できました。 だから、最後に電磁気的に中性な中性子線の話をお聞きしたのです。 2.共有結合や金属結合と表面 まさに、おっしゃるように、重ねあわせるのは、エネルギー的に不安定であることは分ります。 でも、とりわけ金属のバンド結合においては、水玉みたいなモデルは、十分に考えられますよね。 つまり、金属塊は、自由電子を共有して、全体としては結合しているけど、固まり内部では、原子が自由に移動できる。金属結合のモデルでは、各原子が固定している理由は説明がありましたっけ? 次に、二つの金属とか、共有結合結晶をぶつけたときに、 「反発する」理由は、おそらく、今回のご説明「だけ」では解決できません。前回の問いに対する答えとセットで分るでしょう。 つまりは、何で、共有結合結晶同士がくっついてしまわないかです。 それは、表面が、でこぼこしたり、気体分子がくっついたりして、ほとんど、接触できない。だから、強く押し付けようとすると、表面同士の結合力(これがあるかどうかも分らない)よりも、 圧倒的に、言ってみればでこぼこの表面同士を押し付けたときに、それぞれの角などが曲がりたくない(=内部の共有結合が壊れたくない)効果が効いてくる。 だから、「反発」するんですね。 結局、反発の物理は、かなりの程度、 内部の結晶状態の維持によって説明できることがわかりました。 大変勉強になりました。 ありがとうございます。 もう少し、文献紹介などしてくださる方を募集したいと思います。