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レンズについて
レンズにはフーリエ変換作用があると、昔からよく聞きます。例えば、フラウンホーファー回折の強度分布をよく見るとたしかにフーリエのパワースペクトルと同じように見えます。 この作用には、何か理由があるのでしょうか?それともたまたまレンズをとおした光がフーリエ変換になっていたという観測事実なだけなのでしょうか?
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>> レンズにはフーリエ変換作用があると、昔からよく聞きます。 この作用には何か理由があるのでしょうか? レンズだから起きる現象ではありませんで、レンズは実用性を高める補佐役です。 物体を光で照らした反射光だけで現象の本質は起きてます。 それを(人為的に)周波数成分が空間的に分かれて分布するように 対象の範囲を穴で制限します。 光で穴といえば 学生質問の定番「単スリットの干渉縞」ですね、理論は全く同じで 穴に写真のポジフィルム(入力像)を置いたと考えればいいです。 ┃ ┃a │ ┼───── P │ │ │ ┃b ┃ 御存知のように光は振動なので、それがフィルムの濃淡f(x)を伴って多数集まる状況があれば、 Σ{ f(x)・光の振動 } となる。光は球状に広がるから 普通何もしないでも どこもそうなってますよね。 光は一点から球状に広がる振動だから距離rの場所での値は (1/r)sin(r/λ)と書けます、この sin ゆえに上式はフーリエ変換と同じです。 距離 r はフィルム上の任意点からPまでの距離です。そのため三角形の斜辺の式√(底辺^2+高さ^2) になります。√が sin(…) の中に入ると積分がやりづらい。 その解決策がフレネル近似(おなじみの sinθ≒θです。)。フラウンホーファー近似は それに加えて、図のabより像が非常に大きい と仮定した式です。しかしこの仮定は 実用上とても困るのでした。入力画像をうんと小さくするか 変換像を撮すフィルムをうんと大きくせよという要求です。 という訳で、せっかくあなたが納得した >> フラウンホーファー回折の強度分布をよく見るとたしかにフーリエのパワースペクトルと同じように見えます。<< は、実は使われてないのでした。フレネル近似が使われてます。しかしこっちは変換像が球面状になってるんです。球面ではフィルムや撮像素子と相性が悪い。 そこでレンズが登場です。光を一点に集める目的用に作られた(単純な)レンズは 平面波を球面波に変えます。このレンズで球面波になったあとに 図のシステム一式を置けば、焦点面でのフレネル像は 曲げが相殺されて平面に。 入力像の位置を変えれば変換像の大きさを調整できます。 以上が「レンズでフーリエ」の基本でした。実際には 入力像を平行光線側に置くなどの構成バリエーションがいっぱいあります。 (この種の話での結言の定石ですが:レンズ無くてもフーリエ変換(もどき)が起きてるのです、あなたが眼にする光景の 物の影とか壁の明暗すべてがそうです。あなたの網膜上に結像するプロセスもそうです、矢印の付いた光線が飛んで来て眼のレンズでクキッと曲がってるんじゃないです。)
式で計算してもそうなります。 導出はフレネルキルヒホッフの回折積分から求め、開口を通った光をレンズに通す場合(式の上ではレンズなしで無限遠方にスクリーンがあることになる)には、式の形がフーリエ変換式と同一になります。 これはフランフォーファ回折と呼ばれています。 一見するとフレネルキルヒホッフ回折積分からフランフォーファ回折式導出までは近似で求めているかのように見えるのですが、意外とこれが本質的で、フーリエ光学という分野まで生まれています。
お礼
キルヒホフの積分定理なるものをはじめて知りました。 最終的にはフレネル‐キルヒホフの回折式の導出には近似が用いられて、その式と実験事実とは良い一致が得られるわけですね。 しかし、今まで天下り的に納得していた開口を通る光の回折のフーリエ変換効果がなんとなくですが、合点のいくものになりました。
お礼
ていねいなかいせつありがとうございます。