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投資理論についてです。
現在、ストック調整原理というものを学んでいる者です。 ストック調整原理というのは、t年のGDPが予測された(Y1)場合、 加速度定理のK1=vY1(v:資本係数、Y:GDP)から、 資本ストックK1量が求められ、実際t-1期に行われた資本ストック(Kt-1)との 企業が乖離分を何回かに分けて、投資をなすと考える原理で、 t期の投資量は、 It=β(K1-Kt-1)と考える原理です。 例えば、Y1=100兆円 v=5 Kt-1=400兆円 β=1/4ならば、 t期(t=1~4)の投資量は、25兆円ということになります。 そこで質問があるのですが、企業が投資を計画し、GDP(Y)を予測する段階で βの値が決まっているものなのでしょうか。 もし、決まっているのだったら、Yの予測値がもっと小さくなるべきだと思うのですが・・・ (この具体例だと、GDP予測=100兆円なのに、資本ストックは1/4しかなされておらず、 企業が予測の段階で、1/4しか資本ストックがされないということがわかっているのなら、 GDP予測=25兆円近くになると見積もるのではないでしょうか。) それとも、Yを予測するのとβの値が決まるのは時間的なズレがあるのでしょうか。 些細なことでも結構なので、もしわかる方がいらっしゃいましたら、お答えくださると幸いです。 よろしくお願いします。
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ストック調整原理はアドホックに固定資本係数が与えられていると思われますね. よって,1963年にジョルゲンソンが経済主体の動学的最適化行動の枠組みから設備投資関数をはじめて導出したのですが,結局,直接には最適資本ストックしか求めることができずに,その最適資本ストックから,このストック調整原理に非常によく似た投資関数を間接的に導出した経緯があります.その後,宇沢弘文やルーカスが1968年,1969年に,調整費用という概念を組み込んでこの問題を回避したという流れがあります.これはトービンのqという投資理論と整合的であるということが後で吉川洋や林文雄という日本人によって証明されました.この理論自体がいろいろ問題はある理論だったということは理解してください.ただし,このストック調整原理が直感的に分かりやすく,しかも,計量分析で扱いやすいために,いまなお,政府発行の文書でも理論的に使われています. そこで, この固定係数βですが,鉄などの原料や労働力による資本コスト等の関係から,例えば,いくらがんばっても,日本で100の工場建設しかできないなどとアドホックに与えられているということも事実ですが, 専門書でこの加速度因子βは理論的に導出すると利子率の減少関数であるということが証明されています. つまり,K1=β(r)Y1 , dβ/dr<0 つまり,最適生産量が分かったら,その現在の利子率であるコストによって決まるということです. そこで,もうお分かりのように,βが一定だということは,この利子率が一定だということを前提にしています.この背景には,資本と労働の代替可能性がないということや,それらの相対価格を一定とする前提が必要となっています. ところで,教科書にあるようなケインズの投資需要は,利子率に弾力的でした.このモデルは,非弾力的なモデルが一般的に教科書に載っているということです.ですから,あまり深入りしなくともいいです.
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- maotarou
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記憶違いだったら申し訳ないんですけど、ストック調整理論の欠点って伸縮的加速子(β)が投資の水準とは無関係に決まると言う点ではなかったかと思います。つまり、現実には、「経済成長分全てを投資にまわす訳ではないんだよ」程度の理論ではなかったかと思います。(加速度理論の打ち直しってことだと理解したのですが・・)
お礼
ご回答ありがとうございます。 「伸縮的加速子が投資の水準と無関係に決まる」ということがわかっただけでも目からウロコです。 もっと深く調べてみたいと思います。 本当にありがとうございました。
お礼
詳しい説明を本当にありがとうございました。 βは利子率と関係しているため、生産量とは別の要因で 決定しているという理解でよろしいでしょうか。 この理論は簡単なようですごく複雑でわかりにくいですね。 本当にありがとうございました。