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ピカソのキュビズムについて

ピカソやブラックのキュビズムについてその技法など詳しく解説している本などがあれば教えて欲しいのです。なぜあのような描き方になるのか知りたいのです。またセザンヌ以降の絵の捉え方などが分かる本もあれば教えて下さい。洋書でもいいです。また、この場でレクチャーしていただけるかたがいらっしゃれば歓迎です。この中でひとつでも分かる方ご意見お寄せ下さい。よろしくお願いします。

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回答No.6

>>ピカソやブラックが描く物はあまりに変形していますが、何か法則に基づいてる気もするのです。それが何か知りたいのです<<  法則なんてないですよ。絵画は数学とは違いますからね。もしあるとしたら、それはピカソの頭のなかにしかないでしょう。誰にも解説はできないですよ。  キュビズムの手法についてだけ書くと、ひとことで言えは、「複数の視点から視た世界を、平面上に共存させる」ということですね。  例えば、花瓶を写真に撮るとします。どの角度から撮っても、それぞれの写真には「ひとつの角度」から視た花瓶しか写っていないわけです。カメラの位置は固定されていますから。  ところが、ピカソは、花瓶を上下左右斜め、あらゆる角度から撮って、しかもそれらすべてを、同じキャンバスの上に表現しようとしたんです。女の顔で、右目は前を、左目は横を向いているなんていうのがありますけど、あれは正面から視た目と、横から視た目を「同時に」表現しようとしているので、ああいうことになるんですよ。で、それをやったのはピカソが初めてなんです。  原始の時代からレオナルド、ゴッホに至るまで、絵画の世界では、いろんな工夫がなされてきましたけど、どの画家も、対象を一つの方向から描いている、という点では共通しているんです。セザンヌもしかりです。で、ピカソはその前提を覆したんです。まさに革命、ですね。  セザンヌがやろうとしたのは、いわゆる「面取り」というやつです。いまでは美大の入試で定番になっている手法ですが、ものの形を「面」の集まりとしてとらえる、ということです。セザンヌの描く裸体像は、小さな紙を、隙間だらけに無数に貼り合わせたようなかたちで描かれていますよね。彼はそれによって、「質感」よりも「立体感」を強調しようとしたんです。「なめらかな表面の描写」こそが画家の腕の見せどころとされていた時代だったので、斬新だったんですね。  で、ピカソは、セザンヌの手法をもっと大胆に押し進めた、と言って間違いないでしょう。セザンヌ同様、対象の「立体感」を強調すると同時に、それをいくつもの角度から描く、ということをやりました。ここがセザンヌとピカソの決定的な違いです。美術評論家ならここで、「ここにいたって絵画は、キャンバスという「平面の制約」から解き放たれて、「空間の自由」を獲得することができた」とでも言うでしょうね。  こんな説明でわかってもらえました?余談ですが、私はピカソ、大好きですね。彼ぐらい創ることの悦びを謳歌した人っていないと思いますから。ピカソの絵をみていると、あふれるようなバイタリティーがビンビン伝わってきて、じっとしていられなくなります。ピカソ関連の本では、岡本太郎の「青春ピカソ」がいいですよ。創り手の立場から書かれていますから、いいたいことがストレートに伝わってきます。私が読んだ中では、これが一番いいと思いました。

neo-faust
質問者

お礼

ご意見、ご回答どうも有難うございました。すごく詳しく書かれていて、とても面白かったです。おぼろげながらわかってきた感じです。「面取り」ですか...美大ってそういうこと試験してるんですね。知らなかった...。世の中、私の知らない世界がまだまだあるようです。(当たり前かな)本もぜひ読んでみたいと思ってます。

その他の回答 (5)

  • pdjrnaw
  • ベストアンサー率25% (7/28)
回答No.5

レクチャーなどはとてもできませんが、とりあえずピカソについてのみ、多分あまり参考にはならないと思いますが、個人的な意見を書きます。 まず、ピカソが初めから「キュビズム」の絵を描いていたわけではないという事実をふまえるのが非常に重要だと思います。 ある時、ピカソは児童画をみながらこう呟いたといいます。「私は子供の頃ラファエロのような絵を描いていて、この子供たちの描法を習得するために、ずいぶんと長い年月がかかってしまった」 若かりし頃のピカソは非常にアカデミックな絵を描いていました。その後「青の時代」を経て、「分析的キュビズム」「総合的キュビズム」へと、その作風を発展させていきます。つまり「大人の絵」から「子供の(本能的な)絵」へと発展していったのです。 バルセロナにあるピカソ美術館では、上記のような変遷を時代をおって順々にみていくことができます。そうやって変遷をおって観ていった時、「なぜあのような描き方になるのか」を、僕はですが、おのずと感じることができました。感じることができたような気がしました。 相手は巨匠です。その“技法”が我々にそうおいそれと理解できようとは思いませんが、その作風の変化を丹念におって鑑賞していくとき、感じられるものが確かにあります。「なぜあのような描き方になるのか知りたい」と本当に願うなら、解説本を読むよりも実際に本物の作品をみることを強くお勧めします。

neo-faust
質問者

お礼

ご意見、ご回答有難うございました。分析的キュビズム、総合的キュビズムなど色々あるんですね。「子供の絵」という部分が重要な気がします。ピカソ美術館で順にたくさん見ていくと何か感じるものがあるんでしょうね。やはり現物を見られた方の言葉は重いですね。。私も一度行ってみたいです。(補足にまたまた独り言のように色々書いてしまいました。すみません。)

neo-faust
質問者

補足

私は絵は「好き」か「嫌い」かだけで分けていたのですが、最近たまたま美術に関するテレビ番組を2つ見まして、そのどちらも宗教絵画からセザンヌあたりまでの美術界の移り変わりをわかりやすく解説していてとても面白かったんです。例えば、宗教絵画全盛時に「天使」や「聖書」の話ばかり描くことにあきあきしたある画家が、身近な風景や林檎や花瓶など描き始め、新しい時代に移っていったというような話です。どちらもセザンヌぐらいまでの話だったので、その後の話も知りたくなりました。図書館で色々見たのですが、あまりわかりやすい本がないということもあったのですが、セザンヌ以降は理解するのが難しくなっている気がしたのです。それで、その後の画家達が何を見、何を感じ、何を考え、何を実際に変えようとしたかを考えるとき、技法の変化を理解するのがひとつの手掛りかなと思ったんです。アインシュタインのような科学者にはなれないし、難しい計算もできないけれど、彼が何をしようとしたかは本を読んで大まかにわかるのと同じように..。科学と絵はやはり違うのかな。やはり絵は自分で感じることが全てなのかな..。

  • JW500
  • ベストアンサー率36% (261/717)
回答No.4

気になったので、ちょっと調べてみました。 セザンヌは対象を一方向からだけでなく さまざまな方向から見て、描いたと言われています。 また「すべての形は 球、円柱、円錐に還元できる。」といって、実験的にリンゴやオレンジの静物画を描いたと言われています。 そこに、キュビズムの始まりがあって ピカソは「セザンヌ以外の師はいない。」といって いたと聞いたことがあります。 確かにセザンヌのリンゴの絵は よくみると静物画ですが どこか動的で(視点がいくつもあるのですから そう感じるのも当然でしょうか) 普段見ている形と実際にはあり得ない形が 同居しているんですね、本当は。 それがキュビスムに大きく影響したのでしょうか。 よくみると、細い三角形が組み合わさっていましたし。 有名な「ギターを弾く男」というキュビズムの作品も 一見訳が分かりませんが、長時間みていると どの視点からみた対象かが少しずつわかり、それが あらゆる部分にあるので、見ているうちに 頭のなかでは実際にギターを見ている 気になるのが不思議な気持ちでした。

参考URL:
http://www.google.co.jp/search?q=cache:oxEIdQwwzsAJ:www.mnet.ne.jp/~emonyama/synapse/cezanne.html+%E3%82%BB%E3%82%B6%E3%
neo-faust
質問者

お礼

ふむ、ふむ、一見奇妙に見えるあの形は、色々な形が合わさっているということですね。セザンヌ=印象派と思っていたので、もうすでにセザンヌからキュビズムが始まっていたとは驚きです。色々な有用な情報(URLなど)有難うございました。まだ全てを消化することはできませんが、色々参考にしていきたいと思います。重ね重ね謝謝。

  • rosetu
  • ベストアンサー率66% (4/6)
回答No.3

ちくま学芸文庫から出ている、高階秀爾著「20世紀美術」をお薦めします。印象派のものの捉え方から、セザンヌ、キュビスム、やがては現代芸術にいたる歴史・概念の変遷を、明晰な言葉で的確に論じた、興味深い一冊です。 著者の高階秀爾氏は、西洋美術研究の第一人者で、現在、大原美術館の館長をしておられる方です。 なお、「技法」(描き方、使用している画材のことでしょうか)に関しては、専門的には言及されておりませんので、他をさがしてみるのがよいでしょう。

neo-faust
質問者

お礼

ご回答有難うございました。補足を独り言のように書いてしまいましたが、あまり気にされないでください。おすすめの本、かなり面白そうですね。早速探して読んでみます。

neo-faust
質問者

補足

技法というのは画材の意味ではなく、例えば「遠近法」を使って描くとか、また逆にわざと「平面的」に描くとか、「陰影」をつけるとかのことです。セザンヌだったら「光と影」を捉えて描くというような感じだということまではわかるのですが、ピカソやブラックが描く物はあまりに変形していますが、何か法則に基づいてる気もするのです。それが何か知りたいのです。予想では「分解」かなぁと思っているのですが...。

  • JW500
  • ベストアンサー率36% (261/717)
回答No.2

検索すれば結構いろいろな書籍はでてくると 思いますし、専門家の方からの意見も あると思いますよ。 そんなに絵画に詳しいわけではないのですが たまたまピカソの絵を見る機会が何度かあったので 少し意見を述べさせて頂きますね。 (あくまでも素人見解ですよ。) いろいろな画家の主義や運動が ありましたが、ピカソの「キュビズム」は それらのようなムーブメントとは全く性質が 違うと思います。 どこか精神的に一貫していないし、 ピカソの人生の出来事ごとに 作風が変わるし、(対象というほうがいいでしょうか)ただ単に技法というだけでは捉えない方が 良いと思います。 セザンヌの「絵とは再構成すること」という考え方が その後の絵画特にキュビズムに大きく影響して いると聞いたことがあります。 本を読むことも大事ですが、やはり本物の絵画を見て 見ると感覚的に納得されると思いますよ。 一昨年、パリのオルセーやピカソ美術館を見たあと 今年夏、イギリスのコートールド美術館で セザンヌの「りんごとオレンジ」の絵や マネの「フォリー・ベルジェールのバー」 など鑑賞しましたが 独特の立体感と微妙なずれがこの絵の魅力で 長い時間見とれてしまいました。 技法的なことはどなたかの回答をまってみてくださいね。

neo-faust
質問者

お礼

ご回答、ご意見有難うございました。大変ためになりました。「絵とは再構成すること」...このへんに私の知りたいことの鍵がありそうですね。外国で本物が見れたらいいですねぇ。

回答No.1

こんばんわ。 小林秀雄氏著の「近代絵画」などはいかがでしょうか。私は絵を描きますが人にレクチャーするほど絵画のことはわかっていません。作品から出発するよりも人生において芸術の営みがいかなるときに起こりうるかということから考えてみてはいかがでしょうか?

neo-faust
質問者

お礼

ご回答、ご意見有難うございました。本、早速読んでみます。壮絶なゴッホの人生は知っていましたが、そういえばセザンヌの人生は知らないですね。そのへんからも考えて行きたいと思っております。

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