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生活排水の対策
先日、私の家の近くで行われていた環境メッセに足を運んだのですが、疑問に思ったことがありましたので、どなたかご教授願います。 生活排水の対策として、窒素リン除去型の浄化槽を開発されていたり、河川浄化の研究をなされているところがございました。なぜいま、そのような対策がなされるようになったのでしょうか?生活排水は江戸時代でも発生しているはずですので、その頃は垂れ流しで、どんどん環境を悪化させていて、最近になって対策が進められてきたという事なのでしょうか?
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>富栄養化を防止できる具体的な窒素リンの濃度がわかりませんでした。除去すると言う事ならば、それなりの目標があると感じたので。 実際に友好な具体的な濃度というのは、それぞれ個別の湖や池や海によって異なると思いますが、年平均の基準値がいくらというのは、その利用目的の適応性(たとえば、それが水道水源なのか、工業用水源なのか、漁業用水源なのか、農業用水源なのか、環境保全のためなのか)に応じて、一応決められています。例がないと気になると思いますので、一例だけ挙げると、湖沼で「環境保全」を利用目的の適用性とした例で、全窒素1mg/L以下,全リン0.1mg/L以下となっています。 ただし(!)、超えたからといって、それが即、富栄養化でどうのこうのということが起こったり、超えた=確実に富栄養化で何かが起こるというわけではなく、これらの値は、現実的に有効性のある(達成可能で、意味のある)値か、あるいはある程度どこに適用しても問題が発生しないように余裕を持たせた値だと思います。この点については、確認したわけではないので、分かりませんが。 >そこらへんに生えている植物を分析したら、このような割合で窒素リンが含まれていると言う事ですか? これについては、私もそういう話を聞いたというだけで、記憶が曖昧なので何とも分かりません。余計なことを書いてしまい、申し訳ありません。
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- gotoroll
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>環境基準というものを耳にしたことがありますが、富栄養化とは異なったものである気がしたので。 環境基準には、人の健康の保護に関するものと生活環境に関するものがあります。対象は、公共用水域で、健康に関するものについては地下水も含みます。 健康に関する基準は、カドミウムや水銀などの濃度を規制したもので、環境に関わる基準は、有機物や、閉鎖性水域では、窒素やリンの濃度を規制したものです。 また、家庭や工場、下水処理場などからの排水の各濃度は、様々な規制がなされています。それが排水基準です。 環境基準と排水基準については、その成立の経緯をよく知りませんが、排水基準は、環境基準が守れるように設定されたのではないかと思います。富栄養化だけではなく、水俣病やヒ素中毒などの疾病、安全な水道水源確保、豊かな漁場環境の維持、レクリエーションにふさわしい水環境の保全などを目的としたものが、環境基準ですので、それを達成するために決められたのが、排水基準だと思います。 長々と書いてすいませんでした。長くなったので、3つに分割させて回答させてもらいました。kankyou1026さんのように、水質や環境に興味を持たれている方がおられるということが、すごくうれしく感じました。
お礼
>長々と書いてすいませんでした。 いえいえ、こちらこそ労を厭わずご教授いただき大変感謝しております。 ありがとうございます。
- gotoroll
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>自然が受け入れられる量というのは決まっているのですか? まず、混乱しないように、あらかじめ書いておきますが、 ここで言う汚れというのは、有機物です。 有機物は、炭素をつなげた物質なのですが、基本的に生物由来のものです。炭水化物やタンパク質、脂質なども有機物で、私たちの身体もまた有機物です。私たち動物は、有機物を食べて生活しています。窒素やリンは有機物ではありません。ここでは、その有機物について話をします。 質問の件ですが、まず、自然の川には、多くの微生物がいて、汚れは餌として彼らによって食われ(分解され)、浄化されています。湖や海でも同様です。でも、人間がたくさん餌をどんどん入れる(排水を処理せず放流する)と、 汚れが処理しきれないほど過剰にある、つまり、水質が悪化した状態になります。従って、自然が処理できる範囲が、自然が受け入れられる量です。 しかし、排水中の栄養の濃度も高く、川や海に出てくる量も大量の現在では、そのまま出したのでは、当然、自然の処理できる量を超えてしまいます。そこで、このような働きをする(汚れを食べてくれる)微生物をいっぱい詰めて、汚水(有機物=餌がいっぱいの生活排水)を処理する (有機物を分解させる=餌を食べてもらって、二酸化炭素にする)という方法が、下水道や浄化槽というシステムなのです。いってみれば大河川をとてつもなくギュッと短くしたようなシステムを使って、あらかじめ栄養の量を減らしておくことで、自然が自然に受け入れられ、それを維持出来る環境が整うのです。
お礼
>大河川をとてつもなくギュッと短くしたようなシステム なるほど…イメージしやすいです。 ありがとうございます。
- gotoroll
- ベストアンサー率28% (6/21)
無駄に多くのことを書いてしまったため、疑問を増やしてしまったみたいで、すいません。また長く書いてしまいそうな気はしますが・・・。 >例えば、窒素が10mg/L、リンが0.5mg/Lに抑える事ができればアオコなどの発生を抑制できるのですか? まず始めに一点訂正します。 「植物にとって必要な割合(重さで言うと、窒素が10に対しリンが1必要)」と書きましたが、この割合は、生体内の割合です。必要量ではありません。 うる覚えだったので、書いたものの気になり、後で確認して間違いに気付きました。すいませんでした。ただ、訂正出来てよかったです。 その上で、質問に回答というか、補足します。 窒素やリンは、一般に(?)、栄養塩と呼ばれています。そう呼ばれるのは、植物プランクトンが、水中から二酸化炭素や窒素やリンを吸収し、光合成を行って増殖するからです。つまり、これらの元素は、植物プランクトンにとって、必要不可欠なもの(栄養)なのです。 従って、排水中のこれらの濃度を低く抑えてやれば、 アオコや赤潮の発生原因となる植物プランクトンの大量発生を防ぐことが出来ます。なぜなら、大量発生出来るだけの過剰な栄養塩がないからです。 また、霞ヶ浦で行われているように、水生植物を植えて、それらに栄養塩を吸収させることでも、植物プランクトンの利用出来る栄養塩の量を減らして、水質の改善を行うということもされています。 ここで一点注意なのですが、富栄養化が一般に問題となるのは、湖や海(瀬戸内海や湾)といった閉鎖性水域と呼ばれる水域でです。これらの水域では、川などと通じて、どんどん栄養が入ってくる一方、出て行き場がないので、どんどん栄養量が高まるからです。 次と次の質問にも関わるのですが、どんどん栄養が流入してくると、元々自然が上手く消費していた栄養量を超えた分だけ栄養が過剰になり、富栄養化が起こり、アオコや赤潮の発生原因となります。 そこで、その水域で受け持てる栄養量を超えそうな分をカットしてやれば、富栄養化にはならないので、これくらいの濃度を維持できるようにしようと決めたのが環境基準で、その基準を守れるように川に流す排水の処理を行っています。 で、窒素、リンは、両方が必要な割合であって始めて有効なので、たとえば、窒素だけをカットしてやることで、リンが過剰にあっても窒素不足で役に立たないということになります。従って、どちらか一方を減らしてやればよいという話になります。
お礼
お返事遅れて申し訳ありません。多大な労をお掛けしてご回答いただき、大変感謝しています。ありがとうございました。 我ながら図々しいことを忍んではいるのですが、専門家の方ということなので質問させて頂いてよろしいでしょうか? お忙しいでしょうし、ご回答はお暇な時で構わないです。 私もいろいろ調べてみたのですが、富栄養化を防止できる具体的な窒素リンの濃度がわかりませんでした。除去すると言う事ならば、それなりの目標があると感じたので。 >植物にとって必要な割合(重さで言うと、窒素が10に対しリンが1必要)」と書きましたが、この割合は、生体内の割合です。必要量ではありません そこらへんに生えている植物を分析したら、このような割合で窒素リンが含まれていると言う事ですか?
>対策はとろうとしたはったけれど、窒素リンなどの除去方法がなかったということですか? 浄化槽・清掃工場・し尿処理場・下水処理場で1970年ごろから普及した方法では.除去できる割合が決まっています。Bodを100とすると.チッソが50-70.林が1-2しか除去できません。リッソ林を除去する方法を「高度下水処理」(名称疑問)といいあるにはあるのですが.価格的にあわないので実用化はほとんどされていません。 1980年ごろ.大量に生育するホテアオイなどの植物を下水で育ててチッソ・リンを固定する方法が考えられ.霞ヶ浦などで実験プランとが作られ.固定の見こみがたち.ここ10年ですね.茨城県内でリン処理プラントを見かけるようになったのは。 価格的に問題があったこと。 チッソ・リンを固定するには.エサとなるBODをいれる必要があるのですが.いれすぎるとけんきせいになりリンが溶出する(リンを鉄とこうきせいで反応させて固定するという方法しかない。どのような手法でこうきせいにするかが問題)。ほとんどのBOD自体にリンが含まれているのでBOD単体を足すことができない。 チッソを飛ばすことは可能ですが.エサとなるBODを添加する必要がある。 >糞尿をリサイクルしていた江戸をはじめ、高度成長期以前は生活排水の中身(負荷量というのでしょうか?)が違っ ていたと言う事ですか? 糞便は100-150g/日・人で結構多いのです。というのはBOD負荷は200g/日・人ですから。下水に糞便を混ぜないことでBOD負荷が1/2-1/4になります。水洗便所の普及の関係です。 食糧の供給が絶対的に不足しているということは.BOD負荷が極端にかるいのです。
お礼
お返事遅れて申し訳ありません。ご回答ありがとうございました。 窒素リン除去は価格的にあわないので実用化はほとんどされてこなかったのですか。 コストの問題があったのですね、勉強になります。 >食糧の供給が絶対的に不足しているということは.BOD負荷が極端にかるいのです。 やはり、糞便を肥料としてリサイクルしていた分、江戸などにおけるいわゆる生活排水の負荷は現在と比較して軽かったと言う事ですね。 懇切丁寧なご回答ありがとうございました。
- moccha
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江戸時代の人口は6500万人で現在の1/2にあたります。 しかし、人口比以上に、江戸時代の人々は食物を大切に扱い、食べ残しはありません。 現在、河川汚染の第一原因は家庭排水であり、その中で深刻なものは、食生活から出る廃棄物です。 リンが河川に出る原因のひとつに、飲み残しの味噌汁を流す事があげらるそうです。
お礼
ご回答ありがとうございました。 食べ残しを台所から流してしまう自分に反省しています。
- gotoroll
- ベストアンサー率28% (6/21)
江戸時代は・・・については、下のお二方の言われる説明で十分だと思います。要は、当時は、物質の循環システム的にも社会構造的にも、環境に対して大きな影響が起こるほどのことではなく、自然が浄化できる、受け入れられる程度の問題であったということです。 ちなみに、なぜ、窒素・リンかと言いますと、窒素・リンは、植物プランクトンの成長にとって必要な栄養素です。したがって、これらの量が多い状況を、「富栄養化(ふえいようか)」と呼び、この状態になると湖では、アオコの異常発生のようなことが起きたり、水面近くで餌となる植物プランクトンが大量に発生し、それが死滅し、湖底へと降り注ぐ結果、湖底では、それを食べるバクテリアの繁殖し、それらのバクテリアが酸素を必要とするため、湖底では大きな動物(魚など)が生きるのに必要な酸素が減ってしまうという「貧酸素水塊(ひんさんそすいかい)」の発生という問題が起こってしまいます。 窒素・リンは、植物にとって必要な割合(重さで言うと、窒素が10に対しリンが1必要)が決まっているので、少なくともどちらか一方をその割合以下に減らしてやればよく、また、自然が受け入れられる量以下にしてやれば、自然の浄化能力できれいな水質が保てるので、それらの量を家庭から排出するときにあらかじめ減らしてやろうと、あの手この手を考え、各メーカーさんや大学などの研究機関は工夫・努力しています。 また、リンについては、植物の成長、つまり、農業(食物生産)にとって必要不可欠な元素です。リンはリン鉱石から生成するのですが、リン鉱石は日本にはなく(100%輸入しています)、出来れば回収したいとの思惑もあります。それで、除去するだけではなく、利用可能な形で回収出来ないかという研究も、色んな分野でなされています。 ちょっと情報量が多いですけど、何かの参考になればと思います。
お礼
懇切丁寧な回答ありがとうございました。大変勉強になりました。水質浄化の興味が深まりました。 疑問なのですが >窒素・リンは、植物にとって必要な割合(重さで言うと、窒素が10に対しリンが1必要)… 例えば、窒素が10mg/L、リンが0.5mg/Lに抑える事ができればアオコなどの発生を抑制できるのですか? >少なくともどちらか一方をその割合以下に減らしてやればよく、自然が受け入れられる量以下にしてやれば… 自然が受け入れられる量というのは決まっているのですか?環境基準というものを耳にしたことがありますが、富栄養化とは異なったものである気がしたので。 お時間のある時で結構ですので教えてください。素人の質問ですみません。
- nitto3
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人と自然の比率が大幅に変わってきたのです。 自然浄化の限界を超えてしまったのです、 それにもかかわらず高度成長の使い捨て文化から脱却できず 相変わらず100円ショップなど使い捨て経済は加速しています。 安いといって中国からどんどんものを取り寄せ捨てています。 そのせいで中国では工場からの排出物が増えてくることでしょう。
お礼
お答えいただきありがとうございました。 たしかに使い捨て文化も関わっている問題なのでしょうね。 使い捨てを使っている私にとって、耳が痛い話ですが、現実を直視せねばなりませんね。 環境メッセに行った事と質問させていただいた事がとても有意義でした。 ありがとうございました。
>のような対策がなされるように 昔(1970以前)はBODしか除去方法がなかったから.対策が取れなかった。 >発生しているはずですので、そ ほとんど発生していません。例として.文部省唱歌の「春の小川」はたしか.新宿付近のきれいな小川でしたが.昭和40年代にドブ川となり.地下に埋没。私が子供の頃「ドブガワ」はなかったですね。一番ひどい汚れていたのが上野公園の忍ばすの池で手を中に入れると見えなくなったのですから(怒られるのでほとんどしませんが)。川にドジョウはいましたし。 日本は神田上水に代表されるきれいな水の大量供給がある・糞尿は肥料として近隣農家が回収していたために.病気の発生が押さえられ衛生条件が極めて良く.世界唯一の百万都市になれたのです。 なお.水洗便所は京都で平安時代には存在しました。しかし大多数の貴族は使用人に加茂川に捨てに行くことを命じました。「うたかた」は糞便です。 「江戸時代の仮想階級における食料供給は少なく.刑場の頭蓋骨を調べたときに小児気に十分な食料が得られない事を示す眼球の周りの骨に細かい起伏が見られた割合が.千葉県の縄文時代の遺跡での割合よりも多い」というないようを何かで読みました。ですから食料は捨てたとしても仮想階級が拾って食べていたわけで汚染の原因にはなりにくい状態です。 ただし.欧米は垂れ流しで.糞を室内に積み上げていました。 極端に悪化したのは戦後の高度成長期です。高度成長期に悪化させたので最近になって対策をしているといえば聞こえがよいですが.コンボ゜ン的環境汚染対策はなされていません。
お礼
文化を絡めてお答えいただき、ありがとうございます。 2つ質問させてください。 >昔(1970以前)はBODしか除去方法がなかったから.対策が取れなかった。 対策はとろうとしたはったけれど、窒素リンなどの除去方法がなかったということですか? >糞尿は肥料として近隣農家が回収していたため 糞尿をリサイクルしていた江戸をはじめ、高度成長期以前は生活排水の中身(負荷量というのでしょうか?)が違っていたと言う事ですか?
お礼
非常にわかりやすい回答ありがとうございました。