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ミッドウェー海戦について

ミッドウェー海戦について、4つの空母はアメリカの艦上爆撃機によって沈められたようですが、山口少将が直ぐに反撃すべき具申したのに、なぜ、南雲中将は魚雷にこだわったのでしょうか? (爆弾のままでも、アメリカの空母に打撃を与えることは出来たはずです。)

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  • eroero4649
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回答No.3

空母のような大型の軍艦は、魚雷すなわち喫水線下に穴を空けないと、基本的に沈まないのです。 ミッドウェー海戦で損害を被った、赤城、加賀、飛龍はどれも最終的に味方の駆逐艦の魚雷により処分されています(蒼龍は諸説あってはっきりしていません)。 「爆弾が当たっただけの空母には深刻なダメージを与えられない」という事例は沢山あります。 まずヨークタウン。珊瑚海海戦で爆弾1発が命中し、至近弾3発を喰らいました。けれど航行能力に問題がなかったので真珠湾に帰還し、わずか3日の突貫工事で修理してミッドウェー海戦に参加したことは広く知られています。 そしてイギリスの空母イラストリアス。1941年1月に地中海で作戦中にドイツ軍のスツーカの空襲を受け、命中6発、至近弾3発ももらいながらなんと自力で帰還しました。その後イラストリアスは第二次世界大戦を戦い抜きました。 さらにアメリカ軍が大戦後半に投入したエセックス級空母は、特攻機の攻撃を受けて何隻も大損害を被っています。しかし、沈没したフネは1隻もありませんでした。特攻機の攻撃は爆弾と同じで、喫水線の上にしか損害を与えられないからです。 「じゃあなんで日本の空母は爆弾を喰らっただけで沈めなきゃいけないくらい大損害を被ったんだ?」という話ですが、これには理由が二つあります。 ひとつは、日本海軍のダメージコントロール能力の低さ。日本海海戦で1隻もやられずに完勝しちゃったもんだから、日本海軍では「被害を最小限にする」という思想がすごく弱かったのです。 アメリカ軍は「ダメージコントロール専門の士官」がいて、被害を最小限にする考えがありました。またエセックス級空母は珊瑚海海戦やミッドウェー海戦などの戦訓を入れて、ダメージを最小限にするための様々な工夫をしました。例えば、ガソリンの管はフネの外側に配置したのです。こうすれば燃えても外側にしかダメージが出ません。また格納庫の外側の一部をあえてシャッターだけにしました。爆弾が格納庫で爆発するとそのシャッターが吹っ飛んで、爆風を外側に逃がすのです。こういった工夫は今の空母にも引き継がれています。 もうひとつの理由が、爆弾の違いです。実は日本軍が使っていた九九式艦爆が搭載できた爆弾は、250㎏爆弾でした。一方のアメリカ軍の艦爆であるSBDドーントレスは、500㎏爆弾を搭載できました。 爆弾の威力が2倍なんだから、そりゃダメージに大きな差が出ます。 なんでドーントレスは九九式艦爆に比べて重い爆弾が積めたのかというと、それは単純にエンジンの馬力の違いです。 ドーントレスで使われていたライトR-1820エンジンは、1200馬力エンジンです。一方の九九式艦爆で使われていた光エンジンは、700馬力。 1200馬力の車と700馬力の車がレースしたら、そりゃ700馬力の車が勝てるわけがありません。 ドーントレスは大馬力エンジンを積んでいましたから、大きな爆弾も搭載できますし、機体そのものを頑丈にして重くなっても支えることができます。機体を頑丈に作れば急降下しても空中分解する可能性は低いですし、敵弾に当たっても撃墜されにくい。ドーントレスは馬力があったので、ゼロ戦に追っかけられたらフルスロットルで急上昇すればだいたい振り切れたのです。 だから実は、ゼロ戦はドーントレスに相性が悪いのです。珊瑚海海戦でも、ミッドウェー海戦でも、ドーントレスはあまり撃墜できてないのです。特に爆弾を投弾して身軽になったドーントレスはほとんどが振り切られています。撃墜数を稼いだのは、当時既に時代遅れになっていた雷撃機のデバステーターでした。デバステーターはほぼ全滅しています。 あと日本軍ファンのほとんどが知らないか見て見ぬふりをしている事実がひとつあります。 それは「ホーネット隊は日本艦隊を見つけられずに帰還している」ということです。ホーネット隊の33機(!)のドーントレスが日本機動部隊に襲い掛かっていたら、ミッドウェー海戦は我々が知る以上の一方的勝負になっていた可能性があります。よくこういう戦記にパラレルワールドものってのがありますよね。「ミッドウェー海戦に日本軍が勝ったパラレルワールド」があるならば「ミッドウェー海戦でホーネット隊が到着してアメリカ軍が完勝したパラレルワールド」もあるはずです。もしそっちだったら戦争が2年くらい早く終わってたかもしれませんね。 また九七式艦攻が爆装して出撃した場合ですが、その場合は水平爆撃になるのでアメリカ軍艦隊に損害を与えることは皆無だったと思います。ミッドウェー海戦でもB17が再三空襲しましたが、日本軍に損害を与えることができませんでした。またそもそも、真珠湾攻撃でも水平爆撃を行った九七式艦攻は命中弾がほとんどありませんでした。止まってるフネにも水平爆撃では爆弾は命中しないんですよ。 戦前にアメリカのウィリアム・ミッチェルという人が航空機で戦艦を沈める訓練を成功させてこれが「第二次世界大戦は航空機の時代であることを先取りして証明した」といわれているのですが、実はこのときは停泊している戦艦に対して行った実験だったのです。それでも全然当たらなくて「止まってるフネにもあんなに当たらないなら、動いてるフネにゃ当たらないだろ」とミッチェルの実験はまともな軍人からは相手にされなかったんですよ。 長々と書きましたが、一言でまとめると「爆弾で大型軍艦は沈まない」なのです。

tahhzan
質問者

お礼

なるほど…あの、爆弾と魚雷の取り替えを繰り返した事には、それなりの理由があったんですね。そうですか。いやはや、大変、詳細な情報をいただき、勉強になりました。ありがとうございました😊

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その他の回答 (4)

  • pri_tama
  • ベストアンサー率47% (679/1424)
回答No.5

>山口少将が直ぐに反撃すべき具申したのに、なぜ、南雲中将は魚雷にこだわったのでしょうか?  作家の澤地久枝さんが関係者(生き残った各艦の航空参謀や搭乗員)への聴き取りと時系列の整理を行ってますが、兵装変換による発艦の遅れ(所謂「運命の5分間」)は存在しなかった旨が確認されています。  ⇒上空直掩機の発艦準備命令が出ていたのを取り違えた。   あるいは、もっと直接的な言い方をすると、戦後に生き残った司令部要員が責任転換(南雲中将は戦死)で言いだした…。  ちなみに、米軍の偵察機(B17)がとった写真には、蒼龍、飛龍、赤城の飛行甲板に航空機は並んでいなかったことが確認されています。  そもそも、陸上用の通常爆弾から魚雷等への変換は訓練時でも2時間もかかる大仕事(しかも空母は右へ左へ激しく回避運動を行っており、まともな作業が出来なかった旨の整備員の証言も有る。)な訳ですし…。  あと、注意しなければならないのは、搭乗員の犠牲割合(被害の7割近くは、飛竜搭乗員)です。  飛竜搭乗員の犠牲は、3空母を失った後の反撃で発生しています。    ⇒準備不十分で発艦させると、被害はこれ程出てしまいます。  ミッドウェイ開戦の初期には、米軍の五月雨式の攻撃がまったく意味をなさず、無為に撃墜されていく様を日本側は目にしているのですから、準備不足な状態での攻撃命令は選択肢に上がらなくとも仕方ないかと思います。  なお、空母上でアメリカ軍機空襲とその後の誘爆により戦死した搭乗員は赤城4名、加賀13名、蒼龍4名、飛龍8名でそこまで多くありません。  (飛竜以外の航空要員の多くは生き残っており、すり減らしたのは、ミッドウェイでなく南太平洋での航空戦【山本五十六司令長官と軍令部の責任】。)  もし仮に、日本側の艦載機が米軍の攻撃前に発艦して米艦攻撃に向かっていた場合、その艦載機が戻って来た時に日本の空母は米軍の攻撃で炎上している訳ですから、着艦できず大半を失う事に成ります…。  ⇒搭乗員の被害はどちらが多かったのやら…。

tahhzan
質問者

お礼

なるほど。そういう状況だったんですね。南雲さんに対する評価は、色々ありますが、気骨のある武人であったのは確かなようですね。ありがとうございました😊

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  • Sasakik
  • ベストアンサー率34% (1714/4924)
回答No.4

既回答のとおりなんだが・・・ あと、ミッドウェイのころ、飛行機から爆弾を落としても狙ったところに当たらなかったと言うモノ大きいだろうな。 日本だけで無く、第二次世界大戦当時にあった爆撃照準装置は至って原始的なモノで、誘導装置も無い、自由落下爆弾の命中精度は極めて低かった。 唯一の例外として、アメリカのノルデン爆撃照準器装置があったけど、英軍に供与したB-17にも旧式のスペリー爆撃照準器を搭載していたなど、最高レベルの軍事機密扱いで、米軍以外に採用されていなかった。 英空母イラストリアスが大破したときは、エクセス作戦というマルタ島へ向かう輸送船団の護衛任務。鈍足の輸送船に合わせた10数ノットという低速航行中に、独空軍のJu 87(スツーカ)急降下爆撃に襲われたもの。 イタリア軍のサヴォイア・マルケッティ SM.79爆撃機による雷撃の後、Bf109(メッサーシュミット)戦闘機の護衛を受けた40機以上のJu87が来襲したもので、イラストリアスにはフェアリー・フルマーという複座の艦上戦闘機が15機載っていたけど、フルマーの性能じゃBf109に勝ち目は無かった。 イラストリアスは33機のJu87から命中6発、至近弾3発を受けて大破している・・・低速で航行している標的に急降下で爆撃しても命中率は20%以下。 戦闘機の上空警戒を受けながら戦闘速度で航行している標的相手だと・・・雷撃が合理的な選択だったんだな と。

tahhzan
質問者

お礼

う~ん… 命中精度ですか…なるほど。素人から見ると、何をモタモタしてるんだろう、とは思いましたが、そんな思惑もあったんですかね…ありがとうございました。

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  • gunsin
  • ベストアンサー率32% (436/1354)
回答No.2

爆弾投下は、動かない標的用です、動く空母には、命中率は低く 命中しても、空母へのダメージは小さく、対空砲火で損害も、 大きいのです。 海面すれすれの飛行技術で魚雷攻撃した方が味方の損害が小さく、 空母へのダメージが大きいのです。 ミッドウエー海戦で空母4隻を沈められた事より、飛行時間が 1000時間を超える強者がゴロゴロいた操縦士を多く失った方が、 ダメージが大きかったのです。

tahhzan
質問者

お礼

そういう事ですか。なるほど。ありがとうございました😊

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  • nagata2017
  • ベストアンサー率33% (7037/20730)
回答No.1

爆弾は近距離から 魚雷は遠距離から攻撃できる。 ということで航空機の損耗を低くする意図だと思います。

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