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樋口一葉「十三夜」
1.主人公は、なぜ実家に帰ったのか? 2.お関の行動に対してどのように考えるか? 3.父親の説得をどう考えるか? 4.高坂録之助が人力車夫になった理由? 5.この後、二人はどのようになっていくと考えるか? 6.お関の苦悩とは? この質問に対してわかる方がいたら回答お願いします。
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以下のとおりお答えします。 >1.主人公は、なぜ実家に帰ったのか? ⇒夫からひどい仕打ちを受けて、離縁を覚悟で婚家を出た。夫の原田は、息子の太郎が誕生したころから、お関に対して冷酷な態度を取るようになった。一日中小言を言ったり、怒鳴ったり、無視したりする。お関にとっては、何が気に入らないのか、どうすればいいのか見当もつかないのだ。 >2.お関の行動に対してどのように考えるか? ⇒何よりもわけが分からないことで怒鳴られるのが何とも気の毒である。夫原田の理不尽な振る舞いや怒りは一体何なのか。そのあたりの状況については、彼の視点からのセリフや説明のないことが気になる。それがあれば少し見方が変わるかも知れないが、原作はそのあたりについては一言も言及がない。したがってその範囲で考える限り、お関の行動は至極もっともである。 >3.父親の説得をどう考えるか? ⇒父親としても困ったことになったという気持ちは分かるが、八方美人的、事なかれ主義的に見える。悪く言えば、利己的とさえ言える。お関が離縁したらまた貧しい思いをすることになると哀れに思う気持ちもあるが、そうかといって自分が原田と話し合ってみることを買って出ることもしない。世間で褒められる働き手は、家ではわがままな者が多い。外での不満を当たり散らされるのは辛いだろうが、それを聞くのも高級官吏を夫にもつ妻の役目だ、などとお関を諭す。そして、原田の恩を受けている弟亥之助のため、息子の太郎のためにも、どうか胸のうちに納めて帰ってくれないだろうか、などと言う。涙は各自で分けて泣こう、などと目を拭くという気弱さだ。貧しさに負けた、負け犬のような感じである。何とも情けない父親の言いぐさである。 @自分や弟(男)の利のため女を犠牲に?そしてお関に言います。 >4.高坂録之助が人力車夫になった理由? ⇒高坂録之助はお関の幼馴染で、お関の実家の近くにあった煙草屋の息子で、よく学校帰りに寄っていたのです。お互いに好き合っていた間柄であった。お関が結婚したと聞いた時から、一度でも会えたらと願っていたと言う録之助。お関の結婚をきっかけに放蕩し荒れた生活を送っていました。見かねた親が、杉田屋の娘との縁談を薦め、結婚させた。子どもにも恵まれたが、録之助の放蕩癖は治らなかった。遊び歩き、飲み歩いて過ごす録之助に愛想を尽かし、妻と子どもは実家に帰った。懐かしさに話しかけるお関に、録之助は今自分の家もない身で、ある安宿でごろごろと過ごし、気が向くと今日のように車夫をしていると言う。 >5.この後、二人はどのようになっていくと考えるか? ⇒二人の寄りを戻してほしいが、お互いがすれ違ったまま、不幸を背負って生きていくような状態が続くように思われる。残念ながら、昔の思い出を封じ込めたまま、それぞれの不運に翻弄されながら流されていくような行く末が暗示されいる、としか考えられない。 >6.お関の苦悩とは? ⇒すでに見たとおり、お関は夫からの仕打ちに悩み、離縁したいと実家へ帰る。夫の振舞いは理不尽そのものである。お関は耐えられないほど辛い仕打ちを受けているのに、両親や産まれた子どものことを考え、離縁することを諦める。かなり昔の小説ではあるが、現代に生きる女性の苦悩とも通じるところがある。帰り道ではかつての思い人と再会する。彼もまたお関を思っており、彼女が他家へ嫁いだ後、自暴自棄な生活を送っていた。普通の恋愛小説であればここで駆け落ちしても不思議ではないところだが、二人はまた別れて元の生活へ戻る。この点が、現代とは異なる社会風潮が背景にあることをうかがわせる。