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抗体の大量生産

抗体の大量生産って難しいみたいですが、モノクローナル抗体細胞のビーカーというか培養槽による培養は何がネックでできていないのでしょうか? モノクローナル細胞というか哺乳類細胞全般なんでしょうけど。

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  • Dr_Hyper
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回答No.1

抗体の産生については,コストや細胞密度,老廃物の処理などが問題になります。一般に2-30Lの培養でも同じ問題に直面します。 ご存じかと思いますが通常の細胞培養では高価な血清を使用します。 実験室レベルでは高密度に細胞を培養し抗体の産生を促そうとすれば,5-10%の血清を入れる事となり,100Lのcultureに5-10Lの牛の血清などを入れる事になります。この血清高いときで6-10万/Lはしますので,100Lの培養液を作るだけで培養液等の値段も考えると100万円はかかると言う計算です。 そんなのは高い価格をつければ帰ってくるという考え方もありますがこれはあくまでも培養液の量であり,そこに含まれる抗体はその何万分の一以下の量しか含まれません。 余計な抗体(他の動物種)の混入を防ぎたければ無血清培地を用いることになりますがこれだと細胞の増殖や密度が血清で培養するときよりも低下するため十分な抗体産生をできないため余計にコストが掛かります。 またスケールが大きくなればなるほど老廃物の処理問題がでてきます。抗体だけを残して不要な物を取り除かないと細胞の培養環境は悪化しますし,撹拌しながら培養しなければ細胞は底にたまってしまいますので,緩やかに撹拌しますが,この撹拌でも細胞はダメージを受け有る割合で死んでいきます。この死細胞も蓄積されれば大きな問題です。この程度の分子を取り除こうとすれば培養液にでてきた抗体も失ってしまいます。水槽の魚のポンプのようには行かないのです。 半透膜のような物をつかった高密度培養器も売られていますが一般には高価ですし,性質上使い切りになりますからもし巨大なシステムを作り上げたとしても細胞がダメージを受けてしまえばすべて交換しなくてはいけません。 特に人間に用いる場合にはとても厳しい検査をくぐり抜けますので,抗体も高度に精製が求められ,そんじょそこらの大量培養ではなかなか十分な量を得られません。 哺乳類細胞全般に関しては足場依存的な増殖を好む細胞が多くさらに問題はおおくあります。浮遊培養に適応できるのはある種の癌細胞のみです。 培養ディッシュで培養する場合は細胞数を稼ぐのにものすごく広い面積が必要となりますので,CO2濃度や温度管理をした巨大なスペースが必要となりこれも現実的ではありません。 技術革新としては,安価で目詰まりをしない抗体だけをトラップできる半透膜のようなものができれば培養を続けながら抗体を回収するということが平行してできるかも知れません。

jkpawapuro
質問者

お礼

ご回答ありがとうございます。 作る部分はまったく門外漢なので丁寧な回答にうならされました。

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