aosora2さん、またお邪魔します。店終いされていなくて良かったです。
MiJunさん、お久しぶりです。なんだかプレッシャーを感じてしまって焦ってます。MiJunさんからの質問で、私も前々から気になっていたので、図書館で調べてみました。…といっても、現場で実際にモノクローナル抗体を作製しているような立場ではないので、つたない豆知識ですが。
モノクローナル抗体は「ハイブリドーマ」の技術開発をきっかけに、作り出されるようになったのですが、そのきっかけとなったのが、1975年にNatureで発表されたKohlerらの論文でした。
・Kohler G, Milstein C.
Continuous cultures of fused cells secreting antibody of predefined specificity.
Nature. 1975 Aug 7;256(5517):495-7
・Kohler G, Howe SC, Milstein C.
Fusion between immunoglobulin-secreting and nonsecreting myeloma cell lines.
Eur J Immunol. 1976 Apr;6(4):292-5
Kohlerらは、ヒツジ赤血球(SRBC)で免疫されたマウスの脾細胞とマウスのミエローマ細胞を融合させることにより、永久的に特異的な抗SRBC抗体を産生する細胞系を確立し、この報告をきっかけに様々なモノクローナル抗体の作製が試みられるようになりました。
・ Pearson T, Galfre G, Ziegler A, Milstein C.
A myeloma hybrid producing antibody specific for an allotypic determinant on "IgD-like" molecules of the mouse.
Eur J Immunol. 1977 Oct;7(10):684-90
・Koprowski H, Gerhard W, Croce CM.
Production of antibodies against influenza virus by somatic cell hybrids between mouse myeloma and primed spleen cells.
Proc Natl Acad Sci U S A. 1977 Jul;74(7):2985-8 …等々
ヒトの細胞抗原に対するモノクローナル抗体の作製についての最初の報告は下記の論文です。
・ Barnstable CJ, Bodmer WF, Brown G, Galfre G, Milstein C, Williams AF, Ziegler A.
Production of monoclonal antibodies to group A erythrocytes, HLA and other human cell surface antigens-new tools for genetic analysis.
Cell. 1978 May;14(1):9-20
このハイブリドーマ技術はマウス細胞において用いられることがほとんどでしたが、1980年代に入ってからは、ヒト由来モノクローナル抗体の作製が試みられるようになり、ヒト-ヒトハイブリドーマの作製により、診断や治療に有効なヒト由来のモノクローナル抗体の作製もされるようになっています。(特に癌特異的ヒトモノクローナル抗体は薬剤を直接癌細胞に運搬するためのドラッグ・キャリアーとして応用可能と言われています。臨床家ではないので実際に使われているかどうかは知らないのですが)
この回答をきっかけにMiJunさんの優れた検索能力でさらに奥深く検索していただけたら、もっと詳細でわかりやすい情報が得られるかも知れませんね。
それでは。
補足
ポリクローナル抗体では、そういった研究に全く貢献できないですか?