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Man nehme nach dem Essen

接続法の練習問題をやっていたら Man nehme nach dem Essen drei Tabletten. という文があり、「ということだから」という話で、話者が製薬会社か医者として表に出ていないけれどいるというで理解はできるのですが、見慣れないので唐突に感じて、命令形じゃだめ?と思ってしまいます。ドイツ語ではこういう場合、接続法にするのが一般的なのでしょうか。

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回答No.1

これはいろいろな点で思い違いがありますが、命令法による文も実は接続法第I式だということに気が付かない人が多いと思います。 Nehmen Sie nach dem Essen drei Tabletten! という命令文の冒頭の nehmen も接続法第I式です。動詞を前に出して倒置の語順にすることだけで命令文になるのではなく、「命令」や「願望」を表す接続法第I式を用いているのです。ただ、二人称 Sie の接続法第I式は現在形と同形になるので、気が付きにくいだけです。もし動詞が sein なら、接続法第I式とすぐわかります。 Seien Sie bitte ruhig! お静かに願います。 sein の現在形なら Sie sind になるので、倒置だけで命令文にできるのなら、Sind Sie bitte ruhig! ということになりますが、そうはなりません。 現在のドイツ語で命令形があるのは、実は二人称親称である du と ihr だけです。これらは接続法第I式ではありません。 du に対する命令形:nimm! (接続法第I式なら du nehmest) ihr に対する命令形:nehmt! (接続法第I式なら ihr nehmet) ところが、敬称単数および複数の Sie というのは、本来三人称複数である sie を二人称に転用したものなので、特に命令法というものはなく、命令文を作るときの動詞は三人称複数の接続法第I式と同形になる、ということはいろいろな文法書(日本のものでもドイツのものでも)に書いてあります。 下のような倒置文ではない通常の語順でも、これは接続法第I式を使った命令文です。 Sie nehmen nach dem Essen drei Tabletten! 食後に薬を3錠飲んでください。 man は三人称単数ですが、三人称単数の命令形というものは存在しないので、これを主語とする命令文を作るには接続法第I式を使うことになっています。man を使わないのであれば、二人称を使うほかないわけですが、説明書や学術的な文章など、読み手に対して Sie と語りかけない文体では、この man を主語とする命令形が慣用的に使われます。『詳解ドイツ語文法』(在間進著)には「要求話法」として紹介されていますが、「三人称の主語(単数、まれに複数)に対する話者の願望などを表す表現形式である。現在では、決まった言い回しや使用解説書、料理説明書などにしか用いない。この用法では、話者が実現を求める事柄を表すため、〈潜在的な可能性〉を表す接Iを用いる」という解説になっています。「~すること」「~してみよ」「~であればよい」などの意味になります。 最初から読者に対し Sie と語りかけるようなくだけた文体の書物であれば、Nehmen Sie nach dem Essen drei Tabletten! でももちろんかまわないのですが、使用説明書のような形式的なものでは、このような要求話法を使うことも多いと思います。基本的には古い語法なので、使われる範囲は限定的ですが、学術書のようなものでは結構頻出すると思います。二つほど例を紹介すると、たとえば数学の教科書などで、「二つの点を結べ」というようなとき。 Man verbinde zwei Punkte (…) https://books.google.co.jp/books?id=lE19BwAAQBAJ&pg=PA100&lpg=PA100&dq=%22man+verbinde+zwei+punkte%22&source=bl&ots=cKvtZ37qm7&sig=ACfU3U1uWVSNluN_Z3aLAePaxbRTo4hWsQ&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwjPw_fIjd3mAhUQyYsBHXl0DMoQ6AEwDXoECAoQAQ#v=onepage&q=%22man%20verbinde%20zwei%20punkte%22&f=false あるいは、現代の文化に見られる多文化性を論じた文章の、芸術の各分野における異文化からの影響を述べている箇所で、「~のことを考えてみてほしい、考えて見よ」というニュアンスで使われている要求話法の例。 (…) man denke z.B. an die Malerei: Picasso und die afrikanische Kunst oder Manet und die japanische Kunst, man denke an die Musik: Cage oder der Fluxus und die orientalische Musik, man denke ans Theater: Artaud und das balinesische Theater (…) https://books.google.co.jp/books?id=xlLTAQAAQBAJ&pg=PA57&dq=%22man+denke+an%22&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwjf2c32-9zmAhXHG6YKHXqcD5sQ6AEIfDAJ#v=onepage&q=%22man%20denke%20an%22&f=false このような使われ方は結構あるので、会話では使わなくても慣れておく必要はあります。

b1856
質問者

お礼

お礼が遅くなり、すみません。ありがとうございます。 実に大雑把に元主文が省略された間接話法のように理解しており、命令法だと気づきませんでした。 手持ちの薄い文法書に、接続法1の要求話法として Man nehme täglich eine Tablette. Die Strecke AB sei 6 cm. というのがありましたが、「現代語ではSie, wir に対する要求を除けば、慣用的用法以外にはあまり用いられない」とあり、しかしお示しくださった例のような使い方は今もいくらもあるとわかって、今後の誤解を防げてたいへん助かりました。(こういうのがあると便利ですね、いちいち'imagine'とか語りかけられると、早く先を言えという気になるので。) いつも万全のご回答をほんとうにありがとうございます。

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