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※ ChatGPTを利用し、要約された質問です(原文:帝王切開=kaiserschnitt の語源)

帝王切開=kaiserschnitt の語源

このQ&Aのポイント
  • 帝王切開という言葉の由来と意味について調査した結果、その語源はローマ人作家のラテン語の誤解釈から広まった「手術による分娩」であることがわかりました。
  • 帝王切開という言葉は、ローマの作者プリニウスがジュリアス・シーザーの名前の由来を調べた際、ラテン語の動詞Caedereの変化形と誤解し、シーザーが手術によって産まれた子供であると結論づけたことが始まりとされています。
  • 結論として、帝王切開には「切る/手術」という意味はなく、ローマ人作家の誤解釈から広まった「手術による分娩」という意味があることがわかりました。

質問者が選んだベストアンサー

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回答No.2

帝王切開という用語とシーザーの件に関してはかなり複雑ないきさつがあり、Duden のこの解説では短すぎて要領を得ないと思います。まず、解説文の読み方です。 (1) Lehnübersetzung von mittellateinisch sectio caesarea 中世ラテン語の sectio caesarea の逐語訳(である) (2) nach der von dem römischen Schriftsteller Plinius (23–79) versuchten Deutung des Namens Caesar als „der aus dem Mutterleib Geschnittene“ 古代ローマの作家プリニウスによって試みられた、カエサル(シーザー)という名前の「母胎から切り取られた者」としての意味解釈による (3) zu lateinisch caesum, 2. Partizip von: caedere = herausschneiden (古典)ラテン語での caesum、「切り取って出す」を意味する(動詞)caedere の第2分詞に当たる (1) の文は難しくないと思います。ただし、「中世ラテン語」とここには書かれていますが、sectio caesarea という用語が現れるのは16世紀になってからなので、中世に既に存在した用語ということではありません。 (2) の文には冠飾句が挿入されていてわかりにくいかもしれません。「von dem römischen Schriftsteller Plinius (23–79) versuchten」が冠飾句なので、それを一度はずしてみると、 nach der Deutung des Namens Caesar als „der aus dem Mutterleib Geschnittene“ となります。nach(~による)を除いて1格の名詞として考えると、 - die Deutung ← des Namens Caesar 「カエサルという名前の」→「意味解釈」 - die Deutung ← als „der aus dem Mutterleib Geschnittene“ 「母胎から切り取られた者としての」→「意味解釈」 というように、Deutung に対して二つの修飾句が後ろにあります。そして、前に置かれている冠飾句も Deutung にかかるので、 - (die) römischen Schriftsteller Plinius (23–79) versuchten → Deutung 「古代ローマの作家プリニウス(23-79)によって試みられた」→「意味解釈」 と、全部で三つの修飾句があるので、これを全部つなぎ合わせると、 古代ローマの作家プリニウスによって試みられた、カエサル(シーザー)という名前の、「母胎から切り取られた者」としての、意味解釈 となります。わかりやすく意訳すれば、 カエサルという名前が「母胎から切り取られた者」という意味であるという、古代ローマの詩人プリニウスが試みた解釈による ということです。注意したいのは、(2) の文と (3) の文は区切られているので、(3) の文に書かれている「caedere の第2分詞 caesum に当たる」というのは Duden による説明であって、プリニウスがそう書いているわけではないということです。実際、プリニウスの『博物誌』には、そのような文法的解釈は書かれていません。そこには、「一番目の caesarは切り取られた(caeso)母胎から生まれ、それが caesar と呼ばれる理由である」(…prior natus primusque Caesarum a caeso matris utero dictus, qua de causa et Caesones appellati)とだけ書いてあります。 (3) の文の冒頭の zu は、「ほかの言葉で言いかえると」の意味で使われるもので、「er wohnt im Souterrain, zu Deutsch »im Kellergeschoss«(彼は Souterrain に、ドイツ語で言う Kellergeschoss に住んでいる」というような場合の zu と同じです。 さて、帝王切開という語とその由来については、ありとあらゆる説が交錯しています。これはインターネットの大きなデメリットの一つですが、それほど専門知識のない人たちが、いろいろな議論や主張をあちこちでしているので、十や二十のサイトをのぞいただけではどれが信頼できるのか全く分かりません。 まず、「帝王切開」が誤訳かどうかという議論がありますが、これには、「日本語の帝王切開が誤訳である」という主張と「ドイツ語の Kaiserschnitt が誤訳である」という主張の両方が存在します。たとえば下のサイトでは、医療ジャーナリストが「それ、ウソです」と題するコラムで、「ドイツ語の Kaiserschnitt は誤訳ではなく、日本語の帝王切開が誤訳なのだ」と主張していいます。 http://www.ortic.co.jp/column/maruyama/index_72.html しかし上のコラムの主張は、語学的にも時系列的にも成立しないので、こちらの方が「ウソ」です。ここには、「caesar は分家という意味なので、Kaiserschnitt は誤訳ではない」と書かれています。確かに caesar には、cognomen(家名、Familienname)としての意味があり、「ユリウス家から切り離された一族」という解釈がありますが、ドイツ語の Kaiser には「分家」という意味はありません。Kaiser の語源はゴート語の時代にラテン語の caesar が入ってきたものですが、caesar という語は、シーザーの死後すぐにローマ皇帝の称号として使われるようになり、Friedrich Kluge のドイツ語語源辞典で Kaiser を引いても、「最初は(有名な)シーザーと結びついていたが、ローマ皇帝たちが称号として caesar を使うようになってから皇帝という意味になった」とあります。もちろん、「切る」という意味もありません。ですので、ドイツ語の Kaiser を「帝王」とした日本語訳は誤訳ではないのです。Schnitt が「切る」の意味なので、「帝王切開」でよいはずです。下の「語源由来辞典」というサイトなども、「一般の国語辞典でも誤った説を載せている」と言って正そうとしながら、逆に誤った説明をしています。 http://gogen-allguide.com/te/teiousekkai.html ドイツ語の Kaiserschnitt が誤訳だという指摘もドイツ語圏に昔からあります。やや古いドイツの医学用語辞典の一つ(1959)にも、「caesarea は〈切る〉を意味する caedere に由来するので、Kaiserschnitt は誤訳」と出ています。Quora の回答も同様の内容ですが、「切る」を意味する caedere の活用には caesarea という形がありません。一方、「皇帝の」を意味する形容詞 caesareus にはこの形があります。 https://www.frag-caesar.de/lateinwoerterbuch/caesareus-uebersetzung.html ドイツの新聞 Die Welt の記事にも、sectio caesarea を der cäsarische Schnitt = der Kaiserschnitt と説明しているものがあります。 https://www.welt.de/kultur/history/article13545976/Was-Caesar-mit-dem-Kaiserschnitt-zu-tun-hat.html そもそも、sectio が「切断」の意味なので、caesarea が「切断された」の意味だとすると、「切断された切断」になってしまうという指摘もあります。Duden の解説の冒頭で、端的に「逐語訳」とだけ書かれているのは、むしろ「帝王(皇帝)切開」が正しいというのが現在の判断のようにも見えます。つまり、ドイツ語の Kaiserschnitt も誤訳ではない可能性がかなり高そうです。 シーザーの時代には、まだ現在の帝王切開の技術はありません。ただ、お産に際して母親が死に瀕している場合やすでに死亡している場合、子供を救うため、もしくは、子供と母親を別々に埋葬するために切開が行われていました。妊婦をそのまま埋葬することが嫌われたためといいます。そしてこれは、シーザーが生まれる500年ほども前に、ローマ法で定められているので、シーザーに由来するともいえません。そもそも、シーザーの母親は出産で死んではいません。プリニウスの『博物誌』は、ほかの著作者たちによる二千冊ほどの書物(現存する者はほとんどない)からの引用ということなので、プリニウス以前に誤った言い伝えが広まっていた可能性があります。 字数オーバーなので、続きはNo.3 に分割します。

その他の回答 (3)

  • SPS700
  • ベストアンサー率46% (15297/33016)
回答No.4

 #1です。補足です。 >>教えていただいたこと、理解するのに少し時間をいただくことお許し下さい。 私の知識レベル:ラテン語は70歳を過ぎてから、放送大学に入学、選択科目で、一学期習ったに過ぎません。先生は音楽大学ピアノ科を卒業されたドイツ人という変わった経歴の方でした。ドイツ語は昔のエンジニアですから、そこそこの知識はあります。  僕は、ラテン語は怪しく、医学の方は真正のド素人で、申し訳ありません。身内に手術をしたものがいたので、つい身の程を忘れてしまいました。

BASKETMM
質問者

お礼

有り難うございました。お礼が遅れました。 「身の程を忘れてました。」と書いておられますが、とんでもない、いつも頼りにしております。 年寄りの愚問もありますが、今後ともよろしく。

回答No.3

続きです。 母胎の切開を定めたローマ法は、Lex Caesarea というのですが、これは当初 Lex Regia という名称でした。regia は「王宮」「王権」などの意味なので、Lex Caesarea も「皇帝の法」のような意味合いになり、日本語版 Wikipedia でこれを「遺児法」としているのは誤りだという指摘を含む下のブログの記事は、短いながらかなり適切なのではないかと思います。そして、この Lex Caesarea に section caesarea が由来するというのも辻褄が合います。 https://blog.ousaan.com/index.cgi/language/20161216c.html なお、caesar が「分家」だという説は、ドイツのラテン語辞典にも「Fammilienname」などとなっているので間違いではないと思いますが、この語源についても異説があります。「(頭髪が)ふさふさした」という意味の caesaries で一族を区別したというものや、古代カルタゴ語の「象」を意味する言葉が語源とする説もあります。最後の「象説」もいろいろなところに紹介されていますが、これは Historia Augusta(ローマ皇帝群像)という書物によるもので、同書は誤り、虚偽が多く歴史書としての信頼性が高くなく、根拠となる語が見いだせないという議論も見受けられます。 長くなってしまいましたが、いろいろな資料を見た結果、今のところだいたいこのようなことではないかと思った結果を書きました。

BASKETMM
質問者

お礼

有り難うございました。お礼が遅れました。 補足に書いた、「Duden の説明は辞書であり、動詞のない文章である」が私としては、前進の大きな一歩でした。いつもながら、隙のないご回答に感謝いたします。

BASKETMM
質問者

補足

度々お世話になります。 1.Duden の説明は辞書ですから、動詞のない文章であることを教えていただいた途端に、理解が易しくなりました。 2.Kaiserschnitt の語源/由来にはいろいろな説があることをご指摘いただきました。 3.ラテン語の変化は、全てを確認した訳ではありません。 ということで、ご教示いただいたこと、もう少し検討いたしますので、時間を下さい。 注:私のラテン語水準はごく初歩的なのです。70歳を超えてから、放送大学に入学、選択科目として一学期習いました。教授は、ドイツ人、ドイツでは音楽大学ピアノ科卒業、日本でドイツ語、ラテン語を教えておられうという変わり種でした。君が代の歴史などにも詳しい方でした。

  • SPS700
  • ベストアンサー率46% (15297/33016)
回答No.1

1。Kaiser には切る/手術という意味はない。  おっしゃる通りです。 2.Kaiserschnitt にはローマ人作家のラテン語(誤)解釈から広まった「手術による分娩」という意味がある。  下記のように「特定の帝王切開と言われている手術による分娩」で、何でも手術によれば Kaiserschnitt  と言える訳ではないと思います。  https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%9D%E7%8E%8B%E5%88%87%E9%96%8B   大プリニウスがダジャレを言ったのが広まって、今でも下記のように繰り返している例があります。  https://www.news-medical.net/health/Cesarean-Section-History.aspx 3。構文  ローマの作家プリニウス(23-79)が、切開する= caedere の第2分詞であるラテン語のcaesumに(由来する)「子宮から切り出された」という意味だとカエサルの名前を解釈しようとした試みに従ったもの  動詞のない情報ですから、辞典の記事の書き方です。

BASKETMM
質問者

補足

いつもお世話になります。この様に素早くお返事をいただけるとは思っておりませんでした。 私はDuden の中で見つけた解説が正しいと思っておりましたので、書かれたドイツ語を理解することに努力しました。他にも参照すべきことがあることを教えていただき驚きました。有り難うございます。 教えていただいたこと、理解するのに少し時間をいただくことお許し下さい。 私の知識レベル:ラテン語は70歳を過ぎてから、放送大学に入学、選択科目で、一学期習ったに過ぎません。先生は音楽大学ピアノ科を卒業されたドイツ人という変わった経歴の方でした。ドイツ語は昔のエンジニアですから、そこそこの知識はあります。 今後ともよろしく。

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