毛細管現象は表面張力をもつ曲がった界面では圧力に差がある、ということにより発生します。その圧力差ΔPは曲面が球面として
ΔP=2σ/r...(i)
です。圧は曲面に包み込まれる方が高く、外側が低いです。(完全に表面張力の性質に対応していませんが、ゴム風船を思い浮かべればわかると思います。)
水が管を完全に濡らして管璧と水の接触角(気液界面の接線と固液界面の間の角)が0°ならば、界面は半球で、その曲率半径rは毛細管の半径Rに一致します。
となります。
管の立っている容器の水平面は大気圧でおされています。管の中にできた曲面の水側は(1)だけ圧が低いですから、水面が上昇し、その水柱の水の重さの齎す圧が、(1)に一致した時、水平面での菅の外の圧と管の中の圧が一致し、上昇は止まります。即ち
ρgh=2σ/r...(ii)
ということです。
もし管の上端が開放されていなかったら、水面の上昇と合わせて上からの圧も上昇します。管の長さをHとします。管の中にもともと1気圧の空気があります。初めに水に管を立てた瞬間は管の中の空気圧は1 atmで、状態方程式は管の断面積をSとして
Po=nRT/SH...(iii)
と書けます。ここでPo=1.013x10^5 Pa、R=8.314 J/K/molです。 S, Hの単位はそれぞれm^2, mです。
仮に水がh' mだけ上がったら、その時のつり合いは
管に閉じ込められた気相の圧=nRT/S(H-h')...(iv)
管中の水側上端圧=nRT/S(H-h')-2σ/r...(v)
管内下端の水平面位置の水圧=nRT/S(H-h’)-2σ/r+ρgh'...(vi)
管の外側の水平面の圧(大気圧)=nRT/SH...(vii)
(6)と(7)は圧が釣り合っているなら等しい筈です。これより
nRT/S(H-h')-2σ/r+ρgh'=nRT/SH...(viii)
となります。一方管の上がふさがっていないときは(ii)が成立しますから
nRT/S(H-h')-ρgh+ρgh'=nRT/SH...(ix)
即ち
ρg(h-h')=(nRT/S)(h'/H(H-h')=(nRT/SH)(h'/(H-h'))...(x)
nRT/SH=Po(大気圧)ですから
ρg(h-h')=Po(h'/(H-h'))
となり、これより
ρgh'^2-(ρgH+ρgh+Po)h'+ρghH=0...(xi)
となります。これをh'について解けば
h'={(ρgH+ρgh+Po)±√Δ}/2ρg...(xii)
です。ここで
Δ=(ρgH)^2+(2ρgPo-2(ρg)^2h)H+(ρgh)^2+2ρgPoh+Po^2...(xiii)
です。Imageがわかないですから数値計算してみます。計算すれば分かりますが±のうち-の方の解をとるべきです。
管の半径が0.1 mm=0.1x10^-3 mだとします。水のρ=1000 kg/m^3, 表面張力72x10^-3 N/m、重力加速度g=9.8 m/sec^2の場合を考えます。水柱の高さをhとして管の上端開放ならば
(2x72x10^-3)/(0.1x10^-3)=9.8x1000xh
h=0.14 m (14cm)...(xiv)
です。ここで同じ半径で上端を塞いだ管を考えます。水に入れた瞬間の1 atmの時の管の空隙をH mとしてきましたが、これが0.5 m(50 cm)だったとします。これらの数値を(xii), (xiii)に代入すると釣り合った時のh'の値は6.5 x10^-3 m=6.5 mmとなります。少しはあがるようです。
お礼
回答いただきありがとうございます。 物理的な根拠の数式も参考になりました。