#5です。
>「維新後の武士階級の処遇への悩み」と共通点があるのでしょうか???あるいは、もっと大胆に空想すると「征韓論」なども。
明治維新より、徳川幕府のほうですね。戦国時代をビジネス的に解釈すると、武士たちは大名に従って合戦をして、それに勝ったら負けた連中の土地を奪うことで自分たちを成長させていたわけです。これは正社員武士です。会社が大きくなることによって役職が上がり、給料も上がる。
その他に、合戦のときだけ臨時雇用されるフリーター武士がいました。年がら年中兵士を正規雇用で扱ったら大変じゃないですか。合戦をイベントだと考えれば、イベントのときにアルバイトを雇うのは当然ですよね。映画「七人の侍」に出てきた武士たちはこのフリーター武士です。
で、天下統一となったら、まず戦国大名という企業は成長が止まります。もうこれ以上役職も増えないし、給料も上がらない。これは不満ですよね。それまで「会社がどんどんデカくなるぞ!給料上がるぞ!」でイケイケでやってきたのにね。
そしてもっと死活問題なのが、フリーター武士です。合戦というイベントがなくなるから仕事がない。しかも彼らは戦うことに関しては非常に経験豊富で長けています。彼らは自分の土地を持たないから城下町という都会に出てきます。大阪の町に槍や刀を持った戦争の経験豊富な連中が失業してウロウロしてるのです。これは治安に対して非常に不安ですよね。かといって「じゃあお前ら農民になれ」といったところで「農民やりたくないからフリーター武士やってんだ」といわれるわけです。特に戦国時代後期は兵農分離が進んだから、合戦がない武士はやることがないのです。
この雇用問題に対する豊臣秀吉の政策は「国内で合戦がないなら、国外に出ればいいんでね?」だったのです。国内市場に成長が見込めない分野の企業が海外進出に活路を見出そうとするのと同じですよ。もう日本ではバイクは売れないとなったら、バイクが売れるインドネシアやベトナムで売ろうとするじゃないですか。
しかし豊臣カンパニーには、絶望的な欠点がありました。それは「成長し続けないと死ぬ」ってことなんです。朝鮮を領土にしたら次は中国に行かないといけません。でも成長はどこかで止まるから、そうなると組織が持たないのです。
これと全く同じなのが、ファーストリテイリング(ユニクロ)とソフトバンクです。成長戦略命で、創業者のカリスマに頼っている。周囲にはイエスマンしかおらず、カリスマがいなくても会社が回る官僚組織がありません。だから私は常々「ユニクロは柳井さんが死んだら、ソフトバンクは孫さんが死んだら会社も終わる」といっています。歴史の法則からするとそれはもう明らかです。特にソフトバンクは豊臣カンパニーと全く同じですからね。
で、徳川幕府はどうしたか。ここがソフトバンクとトヨタの違いです。
徳川幕府は、まず大坂の陣を仕掛けました。フリーター武士たちは、こぞって豊臣方につきました。豊臣家も資金は豊富だったのでじゃんじゃん彼らを雇った。でも結局彼らは敗れました。それで彼らは散り散りになった。別に死ぬ必要はないんです。槍やら刀やらを失って「もう武士は終わりだなー。商人にでもなるか」って思わせればいいのです。
そしてもうひとつが、島原の乱でした。実は幕府は、島原にキリシタンが集まるときに失業フリーター武士も活躍の場を求めて集まっていることをあえて止めませんでした。島原に集めさせたのです。島原の乱で幕府軍がやたらと苦戦したのは、もう幕府側の正規雇用サラリーマン武士は合戦の経験がない官僚たちで、一方のキリシタン側は戦場経験豊富な失業フリーター武士だったからです。
で、これも鎮圧することでテロリスト予備軍を潰したのです。
しかしそれでも失業武士問題は完全解決には至らず、三代目家光の時代の由井正雪の乱まで続いたのです。
明治政府の征韓論は、豊臣カンパニーの朝鮮進出にやや似ていますね。日本国内に新しい市場がまだ存在しなかったので、朝鮮に出兵することで朝鮮特需を生もうとしたのです。ただ、西郷さんは経済はからきしダメな人ですから、その見積は相当甘いといわざるを得ないですね。征韓論に関していえば、大久保利通の言い分のほうが正しいと思います。
>もっとむかついてもよさそうな国があるような気がするのですが。例えば、中国とか、特にモンゴルとか。これは「陸続きだから許せる」ということなのでしょうか?
中国は彼らにとって「格上」の国ですし、モンゴルはもう今は人畜無害な国だから嫉妬心を燃やす理由もないのでしょう。
テレビで豪邸拝見しても何も思わないですが、隣の家がなんかリッチだったら嫉妬するじゃないですか・笑。
お礼
再度、ご回答いただきましてありがとうございました。それに、いつも分かりやすい「比喩的表現」に感動しています。ちょっと大袈裟かな!!! 恥ずかしながら、今になって、「秀吉の朝鮮出兵」、「大坂の陣」、「島原の乱」、「由井正雪の乱」の背景が体系的に理解できたような気がします。歴史オンチはどうしようもないですね。(T_T)(T_T)(T_T)(T_T) 豊臣カンパニーには、絶望的な欠点がありました。それは「成長し続けないと死ぬ」ってことなんです。……全く関係が無いのですが、「マグロは常に泳ぎ続けていないと死ぬ」というのを聞いたことがあります。ただ、何かを「し続けていないと、それは死を意味する」というのは、私のような怠け者には、なにか、憐れというか、「悲しい宿命」みたいなものを感じます。 これと全く同じなのが、~~全く同じですからね。……的はずれかも知れませんが、ふと、「ダイエー」のことなんかも思い出してしまいました。それと、「時代の変化」の激しさは、一人の人間では、とてもカバーできないほど、「急流」という以上に、それこそ「滝」のようになっているのかも知れませんね。気がついたら、「あっという間に」というような。 明治政府の征韓論は、豊臣カンパニーの朝鮮進出にやや似ていますね。……今、永年の懸案であった司馬遼太郎の「翔ぶが如く」を読み始め、ちょうど、第1巻の「征韓論」のくだりを読みはじめたところです。参考になります。大河「西郷どん」は観なかったので、「翔ぶが如く」のおおまかな流れを掴むために、年末の総集編は観てみようかなと考えています。安直すぎますかねぇ。(*^_^*)生まれてから、今日まで、「ボーっと生きてきた人間」ですから、たいした疑問も湧きませんが、私の質問を見かけ、気が向いたらで構いませんので、ご回答をお願いいたします。m(_ _)m 隣の家がなんかリッチだったら嫉妬するじゃないですか……やはり、朝鮮半島にとっては、文化を伝授してやった国が、「豊か」というのは許せないのですかねぇ。もう、そんなことにこだわっておられるような時代でもないと思うのですが。もっとも、なにも「日韓関係」だけに限ったことでもありませんが。何か、いいようのない漠然とした不安が……(T_T)