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カオスの初期値敏感性とは?
カオスでは、条件の初期値に、どれほどの大きさの差があれば、系の、その後の変化に、時間に関し、指数関数的な差が出ますのでしょうか。初期値の差が無限小でも、その様な差が出ますのでしょうか。
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- QCD2001
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>時間に対してではないとしますと、何に対して、 カオスというのは、複雑に変化するために、決定論でありながら結果の予測が困難であるような事象を分析する概念です。 時間的に変化するような系を考えるならば、時間的な変化がどうなるかという考察に唸りますし、パイ生地を折りたたむ系を考えるなら、時間ではなく折りたたむ回数により変化することになります。 カオス理論というのは、時間的に変化する系だけに限定されたモノではありません。 考えている系がどのような系であるかによります。 >初期値の微動が無限小でも たとえば、角度が1度で交わる二本の直線を考えてみます。直線を伸ばして交点から遠ざかると、線と線との間隔は開いてゆきます。角度を0.5度にすると、開く距離は減りますが、やはり交点から遠ざかると線と線との間隔は開いてゆきます。 角度をもっと小さくしてゆき、無限小にするとどうなると思いますか? 角度を無限小にしても、線を無限に延長すれば線と線との間隔は開いてゆきます。 これは「無限」という概念の持つ性質によります。 カオスで時間的に拡大するような系を考えたとして、初期値の変化を無限小にしても、時間を無限大にすれば結果は大きく開きます。これは「無限大」という数学概念の持つ性質によるものなので、それがカオス理論とは関係なく大きな変化になります。 ここでさらに、無限にもいろいろな種類があるから・・・、という議論をするとしたら、それは「無限」に関する議論であって、カオスに関する議論ではありませんので、無限と極限についてお調べください。カオス理論はそれを扱いません。
- QCD2001
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カオスというのは複雑な事象を扱うものなので、変化が時間に関して指数関数的になるというような単純に変化するのは極めて特殊な場合だけです。一般的には指数関数的にはなりません。 カオスによる、初期値に対する大きな依存性の例としてしばしばパイ生地が上げられます。 パイを作るとき、小麦粉を発酵させて作った生地を適当な大きさに広げ、その生地の上にバターの塊を載せて、バターが中に入るように生地を二つ折りにします。伸ばした生地を二つ折りにしましたが、間にバターが入っているので二つ折りにした生地はくっつかずに二つの層になります。 これを伸ばして最初に伸ばしたのと同じ大きさにしてからまた二つ折りにします。すると4つの層が折り重なった形になります。 これをまた伸ばして二つ折りにすると、8つの層になります。 これをまた伸ばして二つ折りにすると16の層になります。 これを10回繰り返すと、1,024層になります。20回繰り返すと約100万層になります。 もしパイ生地を最初に伸ばしたときに、パイ生地に2つの点を付けておいたとすると、20回伸ばして二つ折りにしてを繰り返したときに、その2点はどういう関係になっているでしょうか? 2点が十分に接近していれば、その2点は1つの層の中にあるでしょう。 ほんのわずかに離れていると、伸ばしてたたんでを繰り返して最後の折り畳みの時に別の層になるかもしれません。その場合はパイ生地の1番上と一番下になるかもしれません。 最後から2番目の折り畳みで別々の層になると、パイ生地の一番下の層と、パイ生地の真ん中の層になるかもしれません。もう少し離れるとパイ生地の一番下と下の4分の1あるいは下の4分の3の位置の層の中になるかもしれません。 このように最初の位置関係がほんの少し変わっただけで、最後の位置関係が大きく変わるのを「初期値に対する大きな依存性」と呼んだり「初期値敏感性」呼んだりするわけです。 上記のパイ生地の例では、20回伸ばして折りたたんでを繰り返した結果がどうなっているかを考えています。20回の後は何もしませんから、その後の時間的な変化はありません。 また、20秒かけて生地を伸ばし、10秒で折りたたんで形を整えるとすると、伸ばしている20秒間は、2点の距離は時間に比例的に広がります。折りたたんでいるときは、折りたたむ場所が2点の間でなければ距離は変化しません。2点の間で折りたたまれると、距離が縮むことになります。と言っても単純に距離が近くなるのではなく、別々の層になるわけです。いずれにしても時間に対して指数関数ではありません。 時間に関して指数関数で変化するためにはそのように移動するような操作を考えなければなりません。それは単純に引き延ばすような操作になると考えられます。あまりカオス的ではないように思います。 2点が接近していても、物質は原子からできているので、隣接する2つの原子よりも近接した2点は存在しません。原子の大きさは1億分の1cmですから、パイ生地を伸ばしたときに長さが10cmであったとするとパイ生地の端から端までの間に原子が10億個並んでいることになります。従って、伸ばしてたたんでを10億回繰り返せば、2つの原子の間で折りたたむことになり、2つの原子が離されることになります。 2つの原子が、間にもう1個の原子を挟んで離れていると、5億回で2つの原子が離されることになります。 つまり、2点が隣接するとなりの原子であったときと、間に1個の原子を挟んだとなりのとなりの原子であったときとでは、2点が離れるまでの折り畳み回数に5億回もの開きが生じるわけです。 折りたたむ前の状態で2点が隣接する2つの原子であった場合(初期値が隣接2原子)と間に1個の原子を挟んだ場合(初期値が一つ跳んだ2原子)であった場合とで、結果に5億回という大きな差が生じたわけです。つまり、折りたたんだ結果が初期値に敏感に反応したわけです。これが初期値敏感性と呼ばれる概念です。 時間的に急激に変化する、という意味ではありません。 ところでバタフライ効果というのは、ある事象が生じたことによる影響が広範囲に広がることを指しているものです。 チョウチョがひらひらと飛ぶと、チョウチョの直下の空気が動きます。するとその空気の動きにより、チョウチョから5cm離れたところの空気も少し動きます。この空気の動きにより、チョウチョから10cm離れた場所の空気も動きます。 するとその空気の動きによりチョウチョから20cm離れたところの空気の分子もわずかに動きます。すると・・・ ・ ・ ・ するとチョウチョから10m離れたところの空気の分子も、たぶん原子数百個分程度は動くでしょう。 ・ ・ ・ そして地球の裏側の空気の分子も原子1個の数億分の1か、数兆分の1か、もっとわずかですが、動くであろうと予想されます。 このようにして、ある事象が、たとえそれがごく小さなものであったとしても、ある事象が生じるとその影響が広い範囲に波及する、ということを述べたのがバタフライ効果です。 この時、チョウチョが飛んでいる場所が1cm高かったり低かったりしても、地球の裏側の空気の動きへの影響が大きく変化するようなことはありません。たとえばチョウチョがある高さをひらひらと舞ったときに、そこから10m離れた場所の空気が北へ向かって原子100個分動いたとします。チョウチョの舞う高さが1cm高かったら、10m離れた地点の空気の動きはどれだけ変化するでしょうか? チョウチョの舞う高さが1cm高いと10m離れた地点の空気の動きが北へ原子百個分ではなくて南へ原子5000個分動き、2cm高いと空気の動きは西へ原子2万個分動き、3cm高いと東へ原子5万個分動いたとすると、初期値であるチョウチョの舞う高さにより、結果が敏感に反応することになります。これが初期値敏感性です。 実際には1cm高くても、空気の動きは北へ101個分か、100.1個分か、100.01個分か、いずれにしても、結果にはほとんど影響はないでしょう。つまり、バタフライ効果は初期値によって敏感には変化しないのです。ですから、バタフライ効果は初期値敏感性ではありません。全く別の概念です。
お礼
誠に有難うございました。
補足
時間に対してではないとしますと、何に対して、「指数関数的に」変動率が増加すると言われていますのでしょうか。また、初期値の微動が無限小でも、そうなるのでしょうか。
お礼
御世話様でした。