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「ていた」の用法・文法について
- 「ていた」の用法とは、「過去のある状況や状態」を表す表現です。
- 一方、「ている」は「現在のある状況や状態」を表します。
- 「広がっていた」「澄んでいた」は過去の状況を表すのに対して、「車が止まっている」「展望所に到着する」は現在の状況を表しています。
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その記事の筆者が必ずしも何らかの効果を狙ったとは限りませんが、過去形と現在形でどういう効果や印象になっているのか、説明してみたいと思います。 文章を一文ごとに箇条書きにし、番号を振っておきます。 01:この日の朝は月齢27の細い月がさそり座の尻尾近くに昇って来る。 →(まだ月は昇っておらず、月を見てもいないので、ここは過去形にはできない。) 02:うまくすれば天の川も見えるかもしれない絶好の日。 →(体言止めで現在形、過去形を明示していないが、予想を述べているので現在形のニュアンス。) 03:乙女峠で撮影を終えた後に竜ヶ岳に向かった。 →(過去形によって、乙女峠から既に出発したイメージを表している。筆者が乙女峠と竜ヶ岳の間にいる感じがする。) 04:未明3時半に本栖湖キャンプ場の駐車場に到着。 →(体言止めだが、05を考えると筆者は既に到着した感じを表したいように思われる。) 05:1台だけ車が止まっている。 →(現在形により、止まっている車を見ながら言っているような臨場感を表している。) 06:見上げる空は澄んで満天の星空が広がっていた。 →(過去形にすることにより、到着前から満天の星空になっていたようなイメージを表している。現在形にした場合は、空を見上げて、はじめて満天の星空に気が付いた感じになる。なお「澄んで」も過去か完了のニュアンスがある。) 07:霞んでいた御殿場の空が嘘のように山梨県側の空は澄んでいた。 →(「霞んでいた」は過去形で、この文を言う時点では過去になっているから。「空」は06で述べている星空と同じ空なので、過去形の06と合わせて過去形にしてあると思われる。) 08:黙々と登って4時45分ごろ休憩ベンチのある展望所に到着する。 →(「登って」は「登った」の過去形で、登り始めてからかなり時間が経過している感じを表し、現在形の「展望所に到着する」はたった今到着したかのような臨場感を表している。) 09:小休憩しながら三脚を出していると、早くも富士山の裾野から月が昇り始めた。 →(「小休止しながら」「出している」は現在進行に近く、今まさに行っている感じがある。 そういう現在進行の前段に対して、後段で「月が昇り始めた」と始まったのが過去の言い方にすると、気が付いたら少し月が昇っていた感じになる。つまり、月が昇っていたことに多少の驚きがあるような印象になる。) 何らかの効果を狙ったとすれば、あくまでも一例ですが、上記のような解釈が可能と思われます。 ただし、経験を語るのは過去形が基本です(思い出して語るということは、起こったことは既に過去だから)。しかし、過去形でずっと言っていると単調になりがちなので(「~した」という文ばかりになったりする)、単調さを避けるためだけに現在形を使うことがあります。 つまり、調子を整えるためだけに過去形と現在形を混ぜることがあるのです。現在と過去の感じを使い分ける意図がないこともあるので、注意なさってください。お読みになった文章も、単に調子を整えるためだけに過去形を現在形を混ぜて使った可能性は、充分あります。
お礼
詳しく説明してくれてありがとうございました