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筋トレ:「筋持久力」の違い(例:野球投手と水泳)
- 「筋持久力」には、「最大筋力発揮に近いパフォーマンスを、休みは多少ありながらどれだけ繰り返せるか」というタイプと、「コンスタントに最大筋力よりは多少落とした力を連続的に発揮する」というタイプがある。
- 「最大筋力発揮に近いパフォーマンスを、休みは多少ありながらどれだけ繰り返せるか」というタイプの筋持久力を高めるためには、重い重量を使ったトレーニングが効果的とされている。
- 一方、「コンスタントに最大筋力よりは多少落とした力を連続的に発揮する」というタイプの筋持久力を高めるためには、軽い重量を使って長時間続けるトレーニングが効果的とされている。
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#3,4です。 > 次の投球までにできるだけ回復するためには、「(無酸素型の)筋持久力」トレーニング(20回程度の負荷)で良い、という事で合っているとの判断で良いのでしょうか(?最大筋力はそれなりに十分ある、という前提で)。 最大筋力が充分であれば、という部分は、例えば目標とする投手が筋トレで行える重量と同等であるということだと思います。かつ、腕だけではなく、脚から体幹も含めて全身的にバランスよく筋力があるということも、前提とされているものと思います。 そうでありながら、数球の投球で球速が落ちてしまうということなら、まずは筋持久力が低いということを疑うべきでしょう。同じ悩みを持つ過半の人には有効ですから、筋持久力トレ(20回限界)を試す価値はあります。 しかしながら、「過半の人には」なんです。今は質問者様個人の問題をお話ししていることを忘れるわけにはいきません。繰り返しの瞬発力(ごく短時間の高強度)を繰り返す能力を高めるのは筋持久力トレというのは、平均的な話です。同じ状況の人が多数いたら、過半の人に当てはまるだろうということです。 ですので、繰り返しですが、筋持久力トレでうまくいく可能性は高いのではあるんですが、あてが外れることもあります。 ウエイトトレはウエイトを上げ始めるときにウエイトに応じた最大の筋力ではあるものの(←こうなるのは初動で加速度が最大のため)、上げきって下すまではウエイトの重量を維持しています。瞬発力を出したら速度が上がるにつれ脱力していくというのとは、ちょっと違うわけです。 そこが先に申し上げた特異性の原則というものになります。目的とする動作自体が最上のトレということですね。 しかし、投球であれば球速を上げて筋力トレにしようとすると、故障を起こす可能性が大きくなります。以前に少年野球などでは変化球のこともあり、主に投手で大問題ともなりました(直球の速球を頑張ろうとしても故障、怪我は起きやすい)。 そうすると、やはり筋トレで筋力を高めることは必要です。筋肥大トレでも、そこそこ筋持久力は伸びます(筋持久力トレでも筋肥大がそこそこ起こるのと同じ)。同じ球速であれば必要とされる筋力は決まっており、最大筋力が高いほど余裕があることになります。最大筋力の7割で投げるのと、5割で投げるのでは、繰り返せる回数は後者のほうが多くなりますね。 また、速筋を使うと筋肉にたまる乳酸を除去する能力が低いのかもしれません(※ 最近の知見では乳酸は疲労物質ではなさそうとされていますが、今回は便宜的に乳酸ということで)。だとすると、高強度のインターバルトレ(HIIT)が有効かもしれません。HIITでも有効なのが全身的かもしれないし、特定の部位だけを狙うのが有効かもしれません。あるいは、1球投げるごとに腕をぶらぶら振るだけでも改善するかもしれません。 ですので、単純にこうだとは割り切れないのです。先の回答が長くなったのは、そのためです。過半の人に当てはまるからといって、質問者様のケースに当てはまるとは限りません。 だるくなるから筋力と思っても、実は柔軟性不足だったなんてこともあります。動作をよく考えてみると、例えば力こぶを出すように腕を曲げるときには、上腕二頭筋は収縮ですが、上腕三頭筋(二の腕と言われる部分)は伸ばされます。もし上腕三頭筋が非常に硬かったら、上腕二頭筋は硬い上腕三頭筋を強く引っ張る必要があります。そのため上腕二頭筋は無駄に力を発生させなければならず、動作が速くて繰り返されるのなら、上腕二頭筋が疲れやすいという症状になります。 (※ 説明の分かりやすさのため、硬いということが実際にはほんどない上腕三頭筋を例に出しています。ご了解をお願いします。) 巧緻性も問題となることがあります。バランスをうまく保てなくて、しわよせで腕が無理な使い方になって投げてしまうともあり得ますから、症状としては腕が疲れるというものになることもあります。(この場合は、投球をよく分かっている人に見てもらえば、フォームが乱れていると注意される可能性が高い。) 繰り返しになり、しつこくて申し訳ないのですが、質問者様個人のケースのご質問に回答しております。ですので、先の回答でもおそらくは筋持久力トレをするとよいという、確率的にうまくいく可能性が高いことを踏まえつつ、考慮すべき要素をいろいろ説明申し上げました。確率的なのですから、ハズレになることもあるわけです。 ですので、まず筋持久力トレを試す価値はありますが、筋持久力さえやればいいとは割り切らないでください。筋持久力トレが無効だということも、充分にあり得ますので。弱点を具体的に分析して洗い出さないと、有効な方法は見つからないと考えたほうが、面倒くさくはありますが安全で無駄も出ません。 心配しておりますのは、質問者様が単純な原因と対策方法を求めがちになっておられるように感じる点です。100人中80人に有効といったことを研究するなら、それでもよいのですが、お尋ねの件はある個人のケースのはずです。その個人でどうなのかを見極めなければなりません。ジムなら特定の個人に合った方法を提示してくれるパーソナルトレーナーに頼むような事柄であるわけですね。ご自分でパーソナルトレーナーを兼ねるのなら、ご自身をよく分析され、試行錯誤されることが必要です。残念ながら、ネット越しの短い文章ではできないことです。
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便宜上、筋力・瞬発力・筋持久力・全身持久力・敏捷性・平衡性・巧緻性・柔軟性と性質を分類するのは、ボディービルダーに顕著な筋肉量のバランスが問題になったり、病気やケガの療養で衰えた筋力のリハビリなどのために、集中的に鍛える必要があるためです。 そもそもは人間の身体で行う動作は全ての性質が連関したものです。 個別にピンポイントへというのは身体動作の連関を理解した上でのことだと御理解ください。 筋力アップするために発揮した最大筋力の負荷による運動エネルギーという作用に対する、反動としての反作用でのエネルギーを身体で受け止めて耐えること、その負荷のダメージからの回復によって、筋持久力は高まるのだと思います。 無酸素運動による短時間の高負荷トレーニングには、トレーニング⇒休息・回復⇒筋力アップの流れが必要となります。 筋持久力と全身持久力は別々にトレーニングできますし、時間や回数は目安で質問者さん御自身が実際にトレーニングを行って見きわめていただかなければなりません。 十数回限度が八回や十二回のどちらが正解かという問いかけと同じように、それは質問者さん次第としか答えようがありません。
お礼
回答ありがとうございます。またお礼を書く順番が前後してしまい申し訳ありません。頂いた回答、参考にさせて頂きます。 繰り返しになって申し訳ないのですが、前回補足的なお礼になったのは、トレーニングの用語の使い方が異なるようで、私が混乱した(している)からだと思っています。 例えば十数回限度の繰り返し、では(個人差を除いても)筋肥大狙いで筋持久力アップをメインとする方法ではない、という理解を私はしております。もちろん筋肥大も筋持久力アップにつながらないわけではないですが、これは一般的に「筋持久力狙い」の回数ではないですよね? というように、用語の使い方や理解に少々ずれがあるようで、その為「全身持久力」「筋持久力」と仰って頂いている時にそれぞれがどのような事や、どのようなトレーニングを指しているのか、という事が理解できないでいます。 >仰ってくださっている「数時間ほどのトレーニングでやはり辛い所から痛>みを感じるまで行うのが効率的だと思います」に関しては、どのような負荷で、どのような回数を、という事でしょうか? に対し、自分で見つけるしかない、との回答を頂いているものだと理解しますが、私が疑問なのはそもそも全身持久力のトレとしてどのようなトレーニングを具体的に指されているのかがわからないという意味で質問したものです。つまり「数時間ほどのトレーニングでやはり辛い所から痛みを感じるまで行うのが効率的だと思います」という時のトレーニングが、マラソン的なものを想定されているのか、ボクサーがやるようなトレーニングを想定されているのか、サーキットトレーニングのようなものを想定されているのか、というレベルでの質問でした。 何度も回答頂いている事、感謝いたします。
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一般的な話として回答させていただきます。 筋肉の性質としましては、瞬発性の速筋(白い筋肉)と持続性の遅筋(赤い筋肉)があり、体の前面に速筋があり背面(後ろ側)に遅筋があるのが基本となります。 最大筋力を発揮するのが筋持久力で、体勢や移動を持続するのが全身持久力と考えてよろしいかと思います。 では、効率的な鍛え方につきまして。 まず、既に御理解いただいておられる通り、十数回限度くらいの負荷で筋持久力を高めるわけですが、負荷の限度を捉える目安はトレーニングの疲労が辛いから痛みを感じるまでが限界値に当たります。 次に、全身持久力の場合は数時間ほどのトレーニングでやはり辛い所から痛みを感じるまで行うのが効率的だと思います。靴擦れだったり、衣服と体の摩擦などによる擦り傷や水ぶくれになる手前ということです。 これはボディービルダーのような美的な筋繊維の質感を求めるトレーニングとは異なりますので、ぱっと見で変わるわけではなくあくまで筋力の絶対値を上げて力任せにならない適切な動作を身につけるプロセスだと御理解ください。 ようするに、現時点での全力動作を筋力の絶対値を増した上で、鍛えた体格で同じように全力動作を行うようにするトレーニングだと言えます。 そして辛くて苦しいという部分なんですが、それは鍛えた際に生じる体へのダメージを軽く見積もってしまっていることが考えられます。 物理の授業で習う作用反作用の法則で説明される通り、トレーニングをした際に発生させた力というのは同じ分だけ体に戻ってきます。そのダメージに耐えられなければ、動作不能になってしまうわけです。 ですから一般的な人体構造として、動作でどの位のエネルギーを発生させるのかと発生させたエネルギーに耐えることは密接に関わる点は御理解ください。
お礼
回答ありがとうございます。 10数回ぐらいが限度の負荷では「筋持久力」ではなく、ある程度の最大筋力アップも含んだ筋肥大に有効だと理解しております。 「全身持久力」に関してましては、無酸素的な筋持久力とともに、有酸素的なものも必要かと思います。 仰って頂いている「筋力の絶対値を高める」のが高負荷低回数トレーニング、無酸素運動での筋力の持久力を高めるのが中負荷中回数(20回程度限度)トレーニング、それより弱い力で何度も繰り返すのが有酸素的な持久力トレーニングで、これは「全身持久力」の一部とも考えて良いと思っております。 仰ってくださっている「数時間ほどのトレーニングでやはり辛い所から痛みを感じるまで行うのが効率的だと思います」に関しては、どのような負荷で、どのような回数を、という事でしょうか? 私のそもそもの疑問は「連続的な動作での筋持久力(中距離走など)」と「断続的な動作での筋持久力(ピッチングなどで回復を高める、球威が落ちない)」において同じようなトレーニングで良いのか、というところです。このあたり、ピンポイントで何か更にありましたらお願いいたします。 なお、今回頂いた回答では、多少私とトレーニングに関する理解が異なるようです。 「最大筋力を発揮するのが筋持久力で、体勢や移動を持続するのが全身持久力と考えてよろしいかと思います。」 最大筋力を発揮するのは「筋持久力」とは異なると思うのですが、どうなのでしょうか? 「十数回限度くらいの負荷で筋持久力を高めるわけですが」 先ほど書きましたように、これは「筋力アップ」のトレだと思うのですが・・・。 用語の使い方の問題のような気もするので、補足頂ければ助かります。
(#3の続き) 閑話休題。一連の動作において、体のどのパーツがどのように力不足なのか、ということが問題なのでした。ボトルネックはどこに、どのようにあるのか。脚か、腹か、胸か、背中か、最大筋力か、瞬発力か、筋持久力か、スピードか等々、いろいろあり得ます。全身的な有酸素持久力がネックのこともあるでしょう。 それがもし、身体の特定の部位の最大筋力不足なら、その部位の筋力増強に適したトレを行いますし(筋肥大によるなら10回限度、神経系なら3回限度)、繰り返し動作を行うときにある部位が疲労しやすいなら持久力を持たせます(速筋には20回限度、遅筋には有酸素運動強度)。どちらも短縮性収縮のトレか、伸張性収縮のトレかは、弱点の状況次第です。すぐ息が上がるようなら持久走的な走り込みやインターバルトレ。 7.結局は何がどのように弱点なのか次第 その他も言い出せばいろいろありますが、割愛することにいたします。「最初は時速120kmの球速なのに、数回投げたら時速100km以下に落ちてくる」というときでも、上記のようなことを考える必要があります。例えば、最大筋力に余裕がないのか、筋持久力が弱いのか、どちらの原因にせよどの部位か、その部位の特徴は何か、といったことは最低でも考えておかねばなりません。原因次第で処方も違うということで、単純で明快な原則はないということです。 P.S. お尋ねのことが、単純なようでいてややこしいので、どうも長くなり申し訳ありません。 上記のように言っておいてなんですが、問題点を調べつくすまでトレーニングをやるな、ということではありません。野球選手を見ていますと、ハイレベルの選手でも体格は筋持久力(20回限度)の体つきですので、筋持久力メインでとりあえずやっておけばいいということはいえます。全身的に筋トレしていれば、弱い部分、その部分の性質も見つかりやすいでしょう。 ただし、トレがウエイトのような初動負荷か、チューブのような終端抵抗的かは、目的とするスポーツや動作を考えて、最初から正しく選択する必要はあります。神経系ですから、目的とするスポーツや動作で練習して神経系も鍛えることはできますが、あえてそのような手間をかける必要はありません。無駄な損ですから、避けるのがよいです。
お礼
改めて回答ありがとうございます。完全かどうかはわかりませんが、ご教示頂いた事大体理解できたと思います。一般論的な事と、私個人の事、双方にわかりやすい解説を頂いて感謝します。個人的に肩が疲れやすく感じることについては、最大筋力が低い(昔と比べ落ちた)から、ボールが相対的に重くなっているから「疲れやすい」可能性、筋持久力の低下によって「疲れやすい」可能性、それらがどの筋肉で一番おこっているのかなど、色々考えなくてはならないという事、理解しました。 特異性の原則については、私が若いときはまだタイヤを引いて走ったり、重いバットを振ったりしていましたが、そういう動作では上手に筋力が鍛えられる事はなく逆に怪我をする、などということがようやく言われ始めたあたりでした。特にピッチャーは投げる動作そのものが本来不自然で肩に悪いとの事で、それが最善と言ってもあまり何回もできないし、という事で筋トレ中心で考えていました。このあたりも別にまた考えないといけないですね。 投球動作時の体の使い方の解説も、ありがとうございました。最大筋力を使うのは最初の少しという事など本当に参考になりました。元の質問に戻りますが、おっしゃって頂いたことから判断すると、この「一部最大筋力、その後筋力を落としてスピード重視」という動作である投球を一回行ってから、次の投球までにできるだけ回復するためには、「(無酸素型の)筋持久力」トレーニング(20回程度の負荷)で良い、という事で合っているとの判断で良いのでしょうか(?最大筋力はそれなりに十分ある、という前提で)。 改めて、ありがとうございました。
お礼欄も拝読しますと、筋肉の性質としてというご質問と理解いたしましたが、スポーツ等で感じられる疲労が疑問に思われた点と不可分でもありますので、両方を考慮して回答を工夫してみたいと存じます。 1.筋肉の性質 筋力は筋肉自体と、筋肉を動かす神経系(運動神経)の2つが合わさって発揮されます。このため、筋力増大のためには筋肉を太くすること(筋肥大)と、神経系の覚醒の2つを狙ってトレーニングします。 筋肉自体ですが、以前は大別して遅筋と速筋があり、速筋は筋肥大t最大筋力が高く、持久力がなく(7秒で力尽きる)、回復が遅い白筋(Type2b)と、筋肥大と最大筋力がそこそこながら、持久力があり(1分程度まで可能)、回復力もかなりあるピンク筋(Type2a)があるとされていました。 現在の知見では、白筋(Type2b)は人間にはなく、Type2xという怠けていると発達する速筋があり、鍛えて得られるのはピンク筋(Type2a)だということが分かってきています。人体内部的なことは、そのようになっているとしても、経験則で言われてきたことが変わったわけではありません。ですので、トレの要領等では、白筋、ピンク筋、遅筋で考えて差し支えありません。 以前から言われていて今でも通用するのが、お考えの通り、「筋肥大・最大筋力狙いなら負荷が1セット10回限界で追い込む」、「筋持久力狙いなら20回限界で追い込む、ただし筋肥大はそこそこ」といったものです。20回以上は、回数が多くなるほど有酸素になってきます。 2.初動負荷、終端抵抗的なトレ これに神経系の問題が加わってきます。例えば、ウエイトで鍛えた場合と、ラバーチューブで鍛えた場合、筋肉自体の性質は同じです。鍛え方によって筋肉自体の性質や組成等が異なるということはありません。 しかしながら、たいていのスポーツにはウエイトが向き、チューブが向くのは水泳等の一部だけということが経験則としてあります。これは、ウエイトだと持ち上げる最初に最大の筋力を発揮する(初動負荷が高い)のに対し、チューブだと伸ばすほど張力が高くなるわけですから終端抵抗が高いトレになることが原因です。 筋肉を動かすのは運動神経で、運動神経を制御するのは脳です。初動負荷のトレ(ウエイト)を繰り返すと、初動で最大筋力を発揮するように脳が覚え、終端抵抗のトレ(チューブ)を繰り返すと、徐々に筋力を高めるように脳が覚えます。力の出し方の癖が身に着くということですね。トレでの力の出し方を無意識に発揮してしまうということです。 野球のボールを投げるとして、チューブで覚えた力の出し方を発揮してしまうと、スピードを出すのに有効ではなくなってきます。同じ速さのボールを投げるにしても、徐々に力を出す癖で行うと、初動に筋力を発揮するよりも、余計に力を込めなければできなくなります。これがウエイトのほうがたいていのスポーツに向く理由です。初動負荷が高いものが多いからですね。 3.速度と筋力 とはいえ、ウエイトのトレでも上げきるまではほぼ最大筋力を維持しています。ですので、その力の出し方の癖のままにボールを投げると、投げ始めてから投げ切るまで力んでしまうことになりがちです。当然ですが、疲れるのが早くなってしまいます。 ボールを投げることを考えると、手先はボールを離す瞬間に最大のスピードになっています。時速100kmのボールを投げるなら、手先も時速100kmです。腕もほぼ最大スピードになっているでしょう。腕の筋肉が最大スピードになるわけです。 筋肉は最大スピードのときに最大筋力になってはいません。最大速度は無負荷(素手)のときに得られるわけですが、速度と筋力は両立せず(むしろ相反する)、最大筋力の3割ほどです。ボールなどの軽負荷でも4割くらいまで。ボールを投げるとき、投げ始める最初(初動)で最大筋力で加速したら、後は筋力を落としつつスピードを上げる必要があるわけです。 ということは、投球では最大筋力を発揮するのは最初の一瞬、後は筋力を落としつつ、ということになります。しかし、投手が1試合を投げ切ると考えると、そういう力の発揮を非常に多数回繰り返すことになります。一瞬の最大筋力の高さと、次の投球までに回復することの2つが大事な要素となります。 そのためには最大筋力が高いことが必要なことは言うまでもありません。ただ、野球のボールを投げるわけですから、筋力が高くなるにつれ、ボールの重さの影響が薄らいできます。だんだん素手を振るのに近くなるわけですね。そうなると、ボールを投げるために振る腕の重さのほうが重要な要素になってきます。 ですので、野球の投球では際限なく筋力を高めることは必要ありません。ボールが軽いと感じるだけの筋力と、投げてから回復するまでの時間が短いということが必要というわけです。そのために有効な筋トレは、筋持久力狙いの20回限界ということになるでしょう。ただし、一定の最大筋力も必要ですから、筋肉の太さを必要な太さにして維持する10回限界の筋トレ、神経系に有効な3回限界の筋トレも補助的に必要になります。 そのうえで、目的とするスポーツでの筋力の発揮の仕方を繰り返し練習ということになります。技術習得以外に、神経系を適した力の出し方に慣れさせるためですね。 4.短縮性収縮と伸張性収縮 しかし、目的とする動作がどのようなものかも考える必要があります。よくある例としては、階段の上りと下りです。階段を上るときは太ももの前側の筋肉が収縮しながら力を出し、体を持ち上げていきます。これが短縮性収縮です。下りでは同じ筋肉が伸びながら力を出し、体が落ちるようにではなく、適正な速度で降りるようにしています。 このときの筋力の発揮の仕方は根本的に違います。階段を上がるときの短縮性収縮では、まず遅筋が動員され、続いて不足分を補うべく速筋が働き始めます。一方、階段を降りるときの伸張性収縮ではいきなり速筋が働きます。山歩きで上りでは息が切れ、下りでは脚がやられてしまうのは、このためです。下りではいきなり速筋が働いてしまうため、上りと同じ傾斜・歩数でも速筋がへたってしまうわけです。 投球でいえば、前へ体を押し出す脚は短縮性収縮、着地して体の前進をストップさせる脚は伸張性収縮になります。異なる筋肉の使い方になりますので、厳密に言えばですが、違う鍛え方をする必要があります。 短縮性収縮では速筋の動員を早めるようにトレしますので神経系を鍛えることになり、筋力・瞬発力優先の効果になります。伸張性収縮では神経系は最初から自動的に速筋優先ですから、筋肥大優先の効果になります。トレーニングもそれに合うように行う必要があるわけです。 5.スポーツでの全身協調動作 野球の投球で腕が疲れるというのは、腕を使う以上は当然のことではあるんですが、腕力が球のスピードのために最重要かどうかという問題があります。我流でやっていたりすると、しばしば「投げるんだから腕」と、ひたすら腕のトレをしたり、投げるときに腕の力を発揮しようとしていまうようです。 投球で球速を高めるのに最重要なのは、腕ではありません。腕は投球動作で最後に筋力を発揮し、かつ、鞭をしならせるように使います。鞭を振るうと、先端が大変な速度に達しますが、その速度を出すのは根元の動きですね。 投球でも、球速を出すために最重要なのは脚です。片足を踏ん張って踏み出し、身体全体を加速させる必要があります。続いて体幹の力を使って体をひねり、さらにもう一方の足を着地して踏ん張ることによって上体を倒すような力を発生させ、最後にそれを腕に伝えて投げます。 発揮できている脚力が不足なのに、球速を高めようと腕や肩に力が入ってしまうと、球速がそれほど上がらず、しかし腕や肩に負担がかかって疲れる、ひどい場合は故障や怪我を招くことになります。 投球の一連の動作をよく理解して、体の各筋肉を適正なタイミングと速さで筋力を発揮させ、かつすべてがうまくつながるようにタイミングを合わせる必要があるわけです。 6.特異性の原則(目的とする動作が最上のトレ) ですので、投球のためのトレーニングで最も有効なのは投球ということになります。特異性の原則と言ったりしますが、トレーニングした通りに発達するという身体の特徴で、筋トレして得られる最大の効果は、その筋トレ種目が上達することなのです。目的とする動作をするのが最もよいということです。現在持っている身体でベストを尽くした結果に不足や弱点がある場合は、原因を特定する必要があります。 なお、見た目の動作を同じに球だけを闇雲に重く、例えば鉄球を投げてはいけません。動作は負荷を含めてのものなので、球の重量が違えば別種の投球動作になってしまいます。昔の某コミック・アニメの大リーグボール養成ギプスなんてのも、現実には不適切。速く走るために鉄下駄なんてのも愚の骨頂で、怪我を招くだけ。 三浦雄一郎氏がアンクルウエイトとウエイト入れたバックパックで歩き回った事例は別で、あれはエベレスト登山を想定したもの。重いリュックを背負って、雪を含めた不整地を延々と歩くという状況に合わせた適切なトレーニングです。ですので、三浦氏はその恰好で走ったりはしませんでした。登山では決して走りませんから(高地でうかつに走ると命取りにすらなる)。ただ負荷を増やしただけのようでいて、実は特異性の原則通りのトレーニングだったわけです。 (字数制限のため、ここで分けます。)
お礼
本当に詳細な回答を頂き、まず感謝の言葉を述べたいと思います。ありがとうございました。頂いた回答の感じから、前に私が別の疑問を持った時に回答して頂いた方なのではないか、と思い調べてみると、やはりそうでした(その時は超回復理論についてなどの質問でした)。その節も含め、見ず知らずの私に時間をとって、ここまで丁寧に回答頂き本当に感謝しております。 頂いた回答へのコメントはまとめて#4のところにしたいと思います。頂いた回答を理解し咀嚼してからのコメントになりますので、少しお時間を頂戴するかも知れませんが(といっても長くて1日程度でしょうが)、ご理解頂ければと思います。
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確認したいのですが、野球を再開するまでの十何年と言う期間に、体格や筋力に変化は無かったということでしょうか? 加齢による衰えとだけしか回答しなかったのは言葉足らずだったでした。すみません。 例えば腱鞘炎のような職業病として疲労蓄積による慢性化した痛みだったり、何か打ち身や打撲、骨折などのケガをした際の古傷だったり、単純な筋力以前の体質変化については考慮する必要はありませんか? そうであれば、現役時代の勘を取り戻すまでは体を慣らすような軽い動きから徐々に本格的なトレーニングや実践に移行していけるとは思います。 著名人であればマサカリ投法で名を馳せた村田兆治さんのように、現役時代と遜色ないパフォーマンスを発揮されるピッチャーがいらっしゃいますが、明らかに現役時代にも増してトレーニングをされているんじゃないかと思います。 ですから、現役時代との落差を埋めるのではなく、何ら変わらないはずなのにパフォーマンスが持続しないのであれば、一度、スポーツトレーナーや医療機関へ相談されてはいかがでしょうか?
お礼
再度の回答感謝いたします。 こちらも言葉足らずなようで、すみません。 先ほどのお礼でも書きましたよう、私の野球を例に出しているので質問がどっちつかずになっているようです。一度、私の野球については忘れて頂けますか? 私の質問は、「一般論として」 最大筋力(に近い力)を出来るだけ何度も発揮する「筋持久力」と、少し弱い力を持続的に出す「筋持久力」では異なるのではないか? そうであれば、「最大筋力に近い力」を(休みが伴いながらでも)繰り返せるようになるためにはどのようなトレーニングが良いのか?一般的な筋持久力トレとは異なりますか?という事です。これが、私の質問の主旨、趣旨です。私の野球についてはあくまで例として、というか、疑問に持った経緯のために書いたものです。 運動生理学、スポーツ科学の質問で、私ではなく、プロの方のトレーニングに当てはめて頂いても構いません。 150キロを投げれるけど、「筋力が続かないため」球威が続かないピッチャーが続くようにするための肩の(もちろん全身の筋力が要りますが、肩に絞って考えて)「筋持久力」トレーニングと、200メートルをできるだけ早く泳ぐための「筋持久力」のトレは同じ「筋持久力」でも違いますよね、という疑問です。それぞれに対してどのような筋(持久力)トレが最適なのか、という運動生理、スポーツ科学の質問なんです。
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体力には、 行動を起こす力=背筋力や脊柱起立筋といった一般筋力、瞬発力、 行動を持続する力=筋持久力、全身持久力 行動を調節する力=敏捷性、平衡性、巧緻性、柔軟性 といったものがあります。 質問者さんが問題にされているのは行動を持続する力ですから、 ピッチング動作そのものの反復と、 動作に必要な無酸素運動による筋力の筋肥大、 心肺能力を高めるランニングや水泳などの有酸素運動 が必要になるんだと思います。 基本的には、ランニングや水泳はもちろん、サイクリングなどの有酸素運動を長く続けることで心肺能力は高まると思います。 何か目標や目的が必要であれば市民マラソンなどの大会、登山などされてはいかがでしょうか? 体に負荷をかけて休息して回復するトレーニングサイクルについては御理解いただいているかと思いますので、もう一つトレーニングした後に筋力アップを体に馴染ませる必要についてお話しします。 特定の筋肉に集中して負荷をかけるウェイトトレーニングなどの動作は、ピッチングなどの動作や日常動作とは当たり前なんですが動き方が異なります。 普通の動作はパワーやスピードだけで行うものではなく、バランスを取ったり勢いをつけたりした反動動作であり、その結果として生じたエネルギーと考えることができます。 つまり、意図的な筋肥大によって筋力の太さや重さが増すことで変わった体のバランスを再調節する必要が出てくるわけです。 また、加齢による体の衰えというのは必ず生じますので、昔と同じ感覚で体を動かすことには注意が必要となります。今現在の体力を確かめ、過去のベストコンディションを目指し乗り越える方向性になるんだと思います。
お礼
回答ありがとうございます。 全体のアドバイスとしては非常に参考になりました。感謝します。 ただ、申し訳ないのですが、私がピンポイントで疑問に思っている事とは少し趣旨がずれてるかな、と思っています。 私が疑問に思っているのは、全体の体力ではなく、筋力そのものに限ってなのです。具体的に自分の野球の例を出したのでややこしくしてしまったかも知れません。申し訳ないです。心肺機能の衰えはさすがに10球投げた程度でどうこう、という事にはなりません。あくまで「筋肉の疲労」です。もちろん、ピッチング動作に鍛えた筋肉を効果的に発揮させる必要は理解しておりますが、私の疑問は「その前」の段階でもあるのかな、と思います。 具体的に筋トレに限って書いてみます。 例えば、ベンチプレスで70キロ10回挙げれるとします。その後、2,3分空けて70キロで行ったら、もう3回くらいしか挙げられなくなった。次に2,3分空けて行うと1回ギリギリで挙がるか挙がらないかくらいだった。 無理やりかも知れませんが、ピッチングの例で例えるとこんな感じだと思います。120キロが最大球速だとして、数回投げたらもう100キロしか出ない、みたいな感じを想像してもらえればと思います。 この「最大出力」を保つためには、いわゆる「筋持久力」のトレで良いのか、という事が疑問の発端です。筋持久力(トレ)は、最大筋力より多少落とした力を「持続的に」発揮するものですから、インターバルを空けてできるだけ最大筋力を保つのと、異なるのではないか?という疑問です。 もし、異なるのであれば、最大筋力に近い力を発揮するにはどうすれば良いのか、どのようなトレーニングが良いのか、という事なのです。 これに対するアドバイスをもし頂けますなら幸いです。
お礼
何度にも渡る、詳細な解説、本当に恐縮です。 はい、個人的なケース(個人的に最善な方法の発見)が一番大事だという事はわきまえているつもりです。自分の問題解決の方法論として一般論を知った上で、それを個別に当てはめるか知っていく、試していく、というところがあり、これは私の知的好奇心とも絡まって、質問自体が個人的なケースと一般論を同時に聞いてどっちつかずになってしまったところがあります。これはもう一方の回答者様に対しても含め、答えにくくなったと思われ、反省しております。 一般論のところでは、何度か別の回答者様のお礼欄も含め書いてますように、「水泳など持続的に繰り返す筋持久力に対してと、ピッチングのような繰り返しだが断続的な動作に対する筋持久力のトレが同じでよいのか?」というところ、この疑問がそもそもの私の質問に至る最初の動機でしたので、その確認と詳細な解説をして頂き、個人的な部分と一般論、どちらも腑に落ちました。 あらためてお礼申し上げます。