マクロ経済学における貯蓄の「内容」とは何でしょうか?
マクロ経済学の一番最初に出てくる投資と貯蓄の事後的恒等に関する質問です。日常用語やビジネス用語での使用法と経済学的な使用法の差異については心得ています。
マクロの教科書の最初に出てくる単純な閉鎖経済モデルを考えてみます。「所得」は「消費」支出と「投資」支出が販売者側の収入になることによって発生しますよね。「消費」は家計が主に行なう消費財への支出が行なわれたことであり、「投資」は生産能力を拡大・発展させるための支出であるということで簡単に把握できます(事後的集計なので、細かいことを言えば、在庫増加に帰結する支出が投資に含まれることも理解しています)。つまり所得も消費も投資もその内容が何であるのかすぐに理解できます。ところが、「貯蓄」という行為は(あくまでも経済理論的にいって)何をしたことを意味するのでしょうか?。貯蓄≡所得-消費の定義によって、仮説例をおけば貯蓄の「数量」は分かるわけですが、「何をしているのか」はさっぱり分かりません。
****(以下は補足です)***
主体甲と主体乙の二人閉鎖経済の数値例が以下のようだとします。
・甲→乙の貨幣の流れが(消費支出甲→乙)=3、(債券購入甲→乙)=2
・乙→甲の貨幣の流れが(消費支出乙→甲)=3、(投資支出乙→甲)=2
この二人経済の(貯蓄)=所得-消費=8-6=2、と計算できるし、投資(2)と貯蓄(2)が確かに数量的に一致しています。大学の先生にかつて質問した際に、「経済学上の貯蓄は金融資産の純増」と返答がありました。それに従うと上記の例では(甲の金融資産の純増)=残高の増加(0)+債権の増加(2)であり、(乙の金融資産の純増)=残高の増加(0)+債務の増加(-2)となって二人合計すると0なので、それが貯蓄の内容だとすれば、投資と貯蓄は一致しません。つじつまが合わなくなります。
つじつまを合わすために、解釈を変えます。
・(貯蓄甲)=残高の増加(0)+債権の増加(2)
・(貯蓄乙)=残高の増加(0)+債務の増加(-2)+投資支出(2)
とするならば、投資(2)=貯蓄(2)となります。要するに、貯蓄は投資そのものを含むと定義すれば、投資≡貯蓄は満たされます。この定義の上では「貯蓄をする」ことは「投資をする」(ことによって実物資産を増やす)ことを含んでしまうわけです。そうなると、どの教科書にも書いてある「貯蓄は需要からの漏出である」という性質はなくなります。経済学上の貯蓄っていったい何なのでしょうか?
お礼
熱力学第二法則などは適用できないのでしょうか。