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未遂犯を設定している意義
既遂と未遂があると思います。 主観的(行為者の危険性)か客観的(客観的な法益侵害の危険)など関係あるのでしょうか?
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これは、違法性の本質をどう考えるか、という 問題です。 結果が総てだ、という考え方もあります。 その場合は、未遂と既遂は峻別することになります。 極論すれば、未遂は一切処罰しない、ということ になり、運不運で処罰が決められる、という ことにもなりかねません。 反面、過失と故意は同じに扱われます。 すると面白半分に殺しをした人間と、 誤って死に到らせた人間を、同じように 処罰することになります。 それでいいの? という問題があります。 一方で、主観が総てだ、という考え方もあります。 この場合は、未遂と既遂は同じに扱われます。 反面、過失と故意は峻別されます。 この主観説に従うと、未遂だけでなく予備陰謀 の段階でも既遂と同じに処罰すべきだ、という ことになります。 更にいえば、心で思っているだけでも処罰して しまえ、更に、そもそも悪い性格の奴は 何もしなくても処罰しろ、隔離しろ、という ことになりかねません。 実際に、ナチスやソ連の刑法にはそれに近いような ことがやられました。 こういうことを色々考えて、現代のように 主観と客観を総合して、処罰することにしたのです。
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- jg5dzx
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はじめまして。 自分の復習の意味で、日本の刑法における未遂犯に限定して、思い出せることを書いてみます。 間違いなどあるかもしれませんので、詳細はお調べください。 日本の刑法において、処罰の対象となるのは原則として「すでに発生した結果に対する責任」を問うもの(既遂犯)です。(※故意犯と過失犯、罪刑法定主義を参照) 但し、一定の罪種については、たとえその結果が行為者の予想通りに発生しなかったとしても、そのまま看過することが公共の秩序維持の観点から好ましくない場合に、明文で「過失犯も処罰する」とあらかじめ規定されているのです。 例として、殺人罪を挙げます。 刑法第199条により、人を殺した者は、殺人罪を問われます。 殺人罪の構成要件は、人を殺す意思を持って、実行行為に着手し、人の死亡という結果が発生すれば足ります。(※正当業務行為を除く、刑法第35条) 構成要件を満たせば既遂となりますが、人の死亡という結果が発生しなかった場合、殺人罪を問うことはできません。 警察官Aの面前で、犯人Bが殺意を持って被害者Cに向け、実弾が装填された拳銃のひきがねを引いたが、弾丸が当たらなかったためにCが死亡しなかった場合、(銃刀法など他罪は別論として)警察官AはBを殺人罪で捕まえることができないのです。 未遂罪を設定することによって、着手行為があれば人の死亡という結果の発生を待たずに殺人未遂罪(刑法第203条)が成立することとしているのは、侵害される法益が重大であるため、結果の発生をまたずとも違法とすることにより、法益の確実な保護を図る意図があるのです。(同じ意図で、殺人罪については殺人予備罪(刑法第201条)も規定されています。こちらは着手前の準備段階でも違法とするものです。) これがご質問の、「未遂犯を設定している意義」に当たると思われます。 日本の刑法においては、未遂を処罰するかどうかはあらかじめ罪種ごと個別に指定されています。 障害未遂、中止未遂なども併せてお調べになったらよろしいかと思います。
お礼
詳しくありがとうございます。 難しいですけど、なんとなくわかります。 解説ありがとうございます。
お礼
組み合わせでどう考えるかわかりました。 わかりやすいです。 ご回答ありがとうございます。