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ナトリウムの放射化
ナトリウムの放射化を教えてください ナトリウムは、強いガンマ線で、放射性ナトリウム22になるとのこと。 この強いガンマ線エネルギーは何MeVでしょうか? つまり、ナトリウムのガンマ線による放射化のしきい値を教えてください。 よろしくお願いいたします。 (中性子線でなく、ガンマ線での場合です。人体のナトリウム)
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- kagakusuki
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まず回答No.2様の御回答に貼り付けられているURLへのリンク先の中の4番目の項目「(γ,n)反応」を御覧下さい。 【参考URL】 γ線による誘導放射能に対する考察(10MeV以下の光核反応) > 4. (γ,n)反応 http://foodirra.jaea.go.jp/dbdocs/001001000004.html#section00004 そこには >反応のしきい値:(γ,n)反応のQ値は中性子の separation energy(分離エネルギー) に等しい。しきい値は(γ,n)反応の場合Q値に等しい と書かれています。 一方、 >陽子の separation energy は陽子が原子核から離れる時、クーロンエネルギーにより得をしているから、(γ,p)のしきい値は陽子の separation energy にクーロンエネルギーを加えた値となる。 とも書かれておりますから、γ線のエネルギーで原子核から中性子を弾き出すよりも、陽子を弾き出す方が必要となるエネルギーが少なく済む事が判ります。 ところがナトリウムの場合、天然に存在するナトリウムは全て11個の陽子と12個の中性子からなるナトリウム23であり、その原子核から陽子を1個取り出したとしましても、放射性ではないネオン22になるだけですので、陽子を弾き出すエネルギーのしきい値を求めても放射化のしきい値を求めた事にはなりません。 一方、ナトリウム23から中性子を1個取り除いた場合には、半減期2.609年の放射性核種であるナトリウム22になります。 ではQ値とは一体何かと言いますと、核反応の前後の質量の差をエネルギーに換算した値の事です。 以下の参考URLのページ 【参考URL】 ナトリウムの同位体 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8A%E3%83%88%E3%83%AA%E3%82%A6%E3%83%A0%E3%81%AE%E5%90%8C%E4%BD%8D%E4%BD%93 の情報に拠りますと、ナトリウム23の質量は22.9897692809u、ナトリウム22の質量は21.9944364uですが、ナトリウム23の原子核にエネルギーを与えて中性子を弾き出した際には、直接ナトリウム22原子核になる訳ではなく、「ナトリウム22の原子核が高いエネルギー状態となっているもの」であるナトリウム22m原子核となります。 ナトリウム22m原子核はナトリウム22原子核と比べて583.04keVだけ高いエネルギーを持っていますから、その分を計算に入れて考えねばなりません。 そして、以下の参考URLのページ 【参考URL】 中性子 - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E6%80%A7%E5%AD%90 統一原子質量単位 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B5%B1%E4%B8%80%E5%8E%9F%E5%AD%90%E8%B3%AA%E9%87%8F%E5%8D%98%E4%BD%8D E=mc² - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/E%3Dmc%C2%B2 電子ボルト - Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%88 の情報に拠りますと、中性子の質量は1.674927352kg、1u≒1.66038922×10^-27kg、1eV≒1.602176565×10^-19Jなのですから、ナトリウム23が「ナトリウム22m+中性子」に変わる際のQの値は Q=((22.9897692809[u]×1.66038922×10^-27[kg/u]×299792458[m/s]^2)÷(1.602176565×10^-19[J/eV]))-((((21.9944364[u]×1.66038922×10^-27[kg/u]+1.674927352×10^-27[kg])×299792458[m/s]^2)÷(1.602176565×10^-19[J/eV]))+5.8304×10^5[ev])≒-13085336.1[eV] になります。 これはナトリウム23が「ナトリウム22m+中性子」に変わるとエネルギー収支が13085336.1eVだけ赤字になるという事を意味しますから、ナトリウム23が「ナトリウム22m+中性子」から、ナトリウムが放射化するしきい値は大きくとも13.0853361MeVという計算になります。 因みに、自然界には13.0853361MeVを超えるエネルギーを持つγ線粒子が存在します。 例えば、高エネルギーの宇宙線の粒子が高空において空気を構成しているガスの原子核と衝突しますとγ線やπ粒子(パイオン)を始めとする多数の粒子が発生します。 π粒子には正電荷を帯びたπ+粒子、負電荷を帯びたπ-粒子、電荷を持たないπ0粒子の3種類があり、この内のπ0粒子は平均寿命8.4×10^-17±0.6×10^-17秒で崩壊し、2個(稀には3個)の光子になります。 π0粒子の質量はエネルギーに換算して134.97MeVもあり、これが2個の光子に崩壊する訳ですから、生じる光子のエネルギーは60MeV以上にもなります。 又、宇宙線の粒子が空気の原子核と衝突した際には、π粒子以外にも多数の高エネルギー粒子が生み出され、その高エネルギーの粒子がまた別の空気の原子核と衝突する事で更に多くの粒子が作り出され、という事が繰り返されます。 その際に生み出される粒子の中には、高エネルギーのγ線粒子も含まれています。 この様な高エネルギーの光子(γ線)の大半は大気に遮られて、地上に到達するまでに個数を減らしてしまいますが、一部は地表にまで到達します。 宇宙線粒子は四六時中地球に降り注いでいますから、地表にまで到達するγ線もまた、放射性物質が出す放射線の粒子と比べれば大した数ではないものの、それなりの数が存在します。
- Tann3
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また追加でご質問ですね。 ナトリウムがガンマ線で放射化することはないと思います。 ガンマ線で放射性ナトリウムNa22ができる反応は、 Na23 + ガンマ線 → Na22 + 中性子 という反応(「ガンマ、n反応」と呼ばれるもの)かと思いますが、これは通常ではエネルギー的に起こらないと思います。 「ナトリウムは、強いガンマ線で、放射性ナトリウム22になるとのこと。」の出典は何でしょうか? たとえば、インターネット上で検索した下記の論文でも、10MeV以下のガンマ線で起こり得る「ガンマ、n反応」のリストに、ナトリウムは出てきません。 http://foodirra.jaea.go.jp/dbdocs/001001000004.html 10MeV以上ならあるかもしれない、とおっしゃるかもしれませんが、自然にそんな高いエネルギーのガンマ線が、そう存在するものではありません。実験用の加速器とか、原子炉の中で短時間だけ生成する物質の中ではあり得るかもしれませんが、普通の空間や人体内でそのようなガンマ線は発生も存在もしないと思います。 以上から、体内でのナトリウムの放射化は起こり得ません。
補足
いつも申し訳ございません(涙) 次から次に分からないところと不安が出てしまいお手数をおかけします。 10MeV以下のガンマ線で起こり得る「ガンマ、n反応」のリストに、ナトリウムは出てきません。 との事、サイトを読みました(素人の主婦には解読困難ですが。。。) Be の1.665MeV(次H-2 の2.22MeV)が最少しきい値でよかったでしょうか? (英語なので難しすぎて・・・。)
- nerimaok
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こういう反応に「閾値」はそもそも有りません。 変化するエネルギー量が一定の値な訳では無くエネルギーが上昇するにつれて変化する確率が上がるだけです。
補足
誠にありがとうございます。 心より感謝いたします。 10回以上、読んでみましたが、素人の主婦には難しすぎて泣けてきます・・・。 理解力が乏しくて、申し訳ございません・・・。 つまり、「体内のナトリウムが放射化するしきい値はどれくらいでしょうか?」 に対し、 「大きくとも13.0853361MeVで、宇宙線がそれに匹敵するガンマ線を出す場合がある」 でよかったでしょうか?? よろしければ、「大きくとも」でなく、最少での「少なくても」の値はお分かりになりますでしょうか? 何度も申し訳ございません・・。