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[思考実験] 中性子線と放射化によるγ線数値上昇
中性子線は放射化を引き起こし、γ線の数値が上昇するそうです。 AKIRAのSOLのような衛星システムから中性子線を強さを調整しつつ、ビーム状に放射できるとします。ある人の住居に中性子線を放射してγ線の数値をあげていこうとなった場合、中性子線による放射化でγ線の上昇がされる範囲は直径何mほどになるでしょうか?中性子線の太さは1〜20cmほどとします(ビーム状を維持できる程度の太さ)。 またできれば、中性子線の強さとγ線上昇の比例グラフデータがあれば教えていただきたいと思っています。よろしくお願いいたします。
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AKIRAを読んでいないので、どんな状況かわかりませんが、 中性子線で物質が放射性を帯びるとしたら、それは中性子が原子核に衝突して、ラジオアイソトープ(放射性同位元素)に変化したことによります。従って、中性子線が当たっていない部分は放射化しません。 つまり、直径10cmの中性子線ビームを照射した場合、そのビームが通過した直径10cmの領域だけが放射化する可能性があります。その外側は放射化しません。 と言っても、放射化するのは、中性子が衝突することでラジオアイソトープに変化するような核種のみです。中性子が衝突しても安定なアイソトープ(同位体)に変化するような核種は放射化しません。 例えば炭素には質量数が12、13、14の3種類のアイソトープが自然界に存在しますが、その約99%を占める炭素12に中性子が衝突しても安定な炭素13になるだけなのでγ線は増加しません。 さらに、中性子が原子核に衝突しなければ原子核の変化は生じないのですが、原子核の直径は原子の直径の10万分の1です。ダーツを的に向けて投げることを想像してみてください。的の直径が1mあったとすると、その10万分の1は0.01mmです。1mの的の中心にある直径0.01mmの円に当てなければならないわけです。 ほとんどの中性子は原子にぶつかってもそのまま素通りしてしまいます。 結論としては、中性子ビームを住居に照射して放射化を起こし、ダメージを与えるというのは、攻撃手段としては極めて効率の悪い方法です。 中性子線の強さと放射化によるγ線との関係ですが、ここでいう「中性子線の強さ」には2種類の「強さ」があります。 1つ目の強さは、個々の中性子がどれだけ大きなエネルギーを持っているか、です。 2つ目の強さは、その中性子が単位時間当たり、単位面積内を何個通過するか、という「強さ」です。 中性子が原子核にぶつかったとき、その中性子が持つエネルギーによって、アイソトープになるなりやすさが変わります。エネルギーが大きすぎても小さすぎても、うまくアイソトープに変化してくれません。どのくらいのエネルギーの時にアイソトープに変化しやすいかは、その原子核がどんなアイソトープであるかにより異なります。 たぶんそういうデータはどこかにあるかと思いますが、その部屋の構造物がどんな元素でできているのかがわからないと、どの程度γ線が増加するのかはわかりません。 中性子線が木の天井にあたるか、石膏ボードの天井に当たるか、石膏ボードの石膏だけの部分に当たるか、強度を増すための鉄心の部分に当たるか、石膏ボードとボードの間の木の枠に当たるか、その枠が木ではなくて鉄でできているかアルミでできているか、などによりγ線の量が変わります。 木のテーブルに当たるか、それともスチールのデスクか、引き出しの中の紙(炭素と水素と酸素)の書類に当たるのか、その紙に書いてある文字のインクの中の金属イオンが何か、などによっても変わります。 結論は、γ線の量はわからない、ということです。
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