ヒートシンクの放熱能力は ℃/W すなわち熱抵抗で表されます。
放熱フィンの無いヒートシンクの場合、放熱能力はその体積Hv(cm3)で決まります。そしてHvが大きければ大きいほど放熱能力は高くなります。すなわち、熱抵抗は小さくなります。面積が同じで厚みが異なる場合は厚みが厚いほど体積Hvは大きくなりますので、厚みが厚くなるほど放熱能力は高くなります。
従って、この場合厚みが一番大きい2mmのアルミ板が一番放熱能力が高いと言うことになります。
アルミの場合のヒートシンク体積 Hv(cm3) と熱抵抗(ヒートシンクと周辺の空気の間の)Rh-a(℃/W)は以下の様な関係がある(某大手ヒートシンクメーカの資料より)といわれてます。その関係は
Rh-a={10^(-2/3)}×log10{Hv(cm3)/1150} (1)
と言う式で表されます。この式を使って3種類のアルミ板の熱抵抗 Rh-a を計算すると、
t=1.2mm: Rh-a={10^(-2/3)}×log10{10×10×0.12(cm3)/1150}=20.9 (℃/W)
1.5mm: Rh-a=18.1 (℃/W)
2mm: Rh-a=14.9 (℃/W)
と計算されます。
また、3WのLEDチップのジャンクションの最大許容温度は100度が普通です。そして、LEDのチップ-ヒートシンク接合面間の熱抵抗 Rj-c はデータシートにはなかなか載ってませんので、推定で少し悪目に見積もって 5(℃/W)程度に見積もります。また、LEDを使用する環境の最大温度 Tamax を仮に50℃ とします。
まず、この条件から放熱に必要なLEDチップのジャンクション温度 Tj と周囲温度 Ta 間の熱抵抗 Rj-a を計算します。
Rj-a(℃/W)=(100℃-50℃)/3W=16.66(℃/W) (2)
と計算されます。ここで、ヒートシンクの熱抵抗を Rh-a として、Rj-a は
Rj-a(℃/W)=Rj-c(℃/W)+ Rh-a(℃/W) (3)
という関係がありますので、 Rh-a は
Rh-a(℃/W)=Rj-a(℃/W)- Rj-c(℃/W) (4)
で求められますので、この式(4)に Rj-a(℃/W)=16.66(℃/W)、Rj-c(℃/W)=5(℃/W)を代入して、 Rh-a(℃/W) を求めると、
Rh-a(℃/W)=16.66(℃/W)- 5(℃/W)=11.66(℃/W)
と求まります。この値は2mm厚のアルミ板の熱抵抗 Rh-a=14.9 (℃/W)では少し足りませんが、Rj-c(℃/W)の値を少し大きめに見積もったのでギリギリで周囲温度50℃程度まで放熱が十分と見てよいでしょう。
お礼
ご連絡遅れてすみません! いつの間にかこんな素敵なアンサーがついていたなんてっ! 数式はよくわかりませんが、科学的な数字で説明して頂いてありがとうございました。