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漢字語の読み方を教えてください。

南北朝時代の軍記物語「梅松論」内の言葉であるという 「併仏神の御加護とぞ人申ける」は どう読むのでしょうか?博学の方、ぜひ教えてください。

みんなの回答

  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.4

#3です。 >ということは、「かたかた、加護、申ける」が文書として元だと言っていいということですか。  : 次のように受け取ってください。 1)かたかた=かたがた そのような畳語を、当時の筆書きでの繰り返し記号である「くの字点」で記した場合、濁点の有無は大差ありません。 2)加護≠御加護 その筆者の身分階級の考証の参考ともなります。万一「御加護」を選んでも「おおん/おん/お/ご」など読み方の問題が残ります。 3)申ける このような用言の語尾表示の有無は同類項で大差ありません。 >最後の〈異本印にて「併」を添えています〉を簡単に説明していただけませんでしょうか。(「異本」まではわかったのですが・・・  : 1)古写本であるということ この「梅松論」は室町前期(貞和5(1349)年頃)の成立とされていますが著者不明です。 そして、室町末期以前に書写された古い年代のものを狭義の「古写本」と呼んでいます。古写本は誤写による異本が多く、また誤字脱字や加筆改竄も少なくなく、扱いが手強いものとされます。 2)群書類従版について 「第拾參輯」(153頁) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1879780/81 この後、「新校. 第十六巻」(112頁下段)においてなされた注記は直接ご確認ください。 ここで「かたがた」を「併」としている異本の傍注がなされています。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1879789/84 そして、その傍注のやり方については、次の例言における「一、梅松論は…」と「一、異本併載の形式は…」の説明文をお読みください。このたびの校合においてこの「併」傍注箇所は「古写本の補充」に該当するということでしょう。 http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1879789/11 3)異本としての古写本 足利時代の古写本として、ここで上げられている京大本、他にも天理本などありますが、毛筆本で「併」とあるものとして、次の箇所をご確認ください。 http://mahoroba.lib.nara-wu.ac.jp/y05/html/111/s/p034.html これは質問者さんの上げられた「併仏神の御加護とぞ人申ける」と一字一句同じ(「とぞ」は濁点なしの「とそ」ですけど)であることが確認できます。 そして、これは遥か後代、寛永期頃の写本とされています。 http://mahoroba.lib.nara-wu.ac.jp/y05/shahon-r.html このような考証の真似事も面白いものですが、申し上げたいことはただ一つ、読み方が分からないままでの、しかも出所を明記しない原文引用はどだい信用できないということのみです。 古写本類の異同を論じる以前に、読み方の分かっている写本を取り上げないで、あえて読み方の不明な漢字のままにしての転載は問題を招くに決まっています。 現に今回の音訳がその好例です。その執筆者は安易な引用の丸写しではなく、自身の校注を加えた読み仮名振りをすべきであり、それができない場合はほかの古写本での仮名書きで、もしくはせめて傍注を加えるなど執筆責任を果たすべきだと思っております。 ネット上でのコピー&ペースト全盛時代ですが、その一方で日本国中にある古写本類がネット上で一般市民でも自由に閲覧できるようになっていることを再認識し、一つひとつ読み方の実際へと迫りたいものです。

violeta
質問者

お礼

kire-ore 様 本当に本当にありがとうございました! 「あー奥が深い…」というのが先ずの思いです。 それで、kire-ore様のご説明を参考にして、「かたがた{漢字 へいごうのへい}かたがた ぶつじん の ごかごとぞ ひと もうしける」と読むのがいいかと思っています。仏神をぶつじん あるいは ぶっしんと読むかなど、音訳の先達にも相談してみようと思います。 kire-ore様の執筆者に対するご意見、まったく同感です。 音訳していて、このような読み方が容易にわからないことに本当に苦労します。聞くことで文書の内容を理解する方々の目の代わりとして録音でいかに正確に伝えられるか、勉強しています。 本当にいい勉強になりました。

  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.3

#1です。 >また、こちらでは「御加護」が「加護」だったり、送り仮名も「申しける」とあったりして、いろいろ違いがあることがわかり、興味深く勉強になりました。  : これは「内閣文庫所蔵古写本」に「かたかた」「加護」「申ける」とあるものに準じたものです。ですからこちらによれば、「かたがた」と読みます。これを漢字一字「併」とあてるのは異本においてなのでしょうが、それはあくまでも漢字で記されており読みがありませんから読みは勝手と言えば勝手でしょうが、そう読める根拠がありません。 ですから既に素性の確かな内閣文庫版古写本では仮名書きで「かたがた」と読ませているだけに、それが唯一の根拠だと申しております。 実際「群書類従」では「かたかた」として異本印にて「併」を添えています。

violeta
質問者

お礼

kire-ore 様 再度お礼申し上げます。 ということは、「かたかた、加護、申ける」が文書として元だと言っていいということですか。 それから、お手数をおかけしますが、よろしかったら、最後の〈異本印にて「併」を添えています〉を簡単に説明していただけませんでしょうか。(「異本」まではわかったのですが・・・ 「異本印」の読み方は「いほんじるし」でしょうか。 どうぞよろしくお願いいたします。

回答No.2

「梅松論」も知らず博学でもありませんが、 私は極く常識的に読んでしまう。  「併わせて、仏神(ぶっしん)の御加護(おかご)とぞ人申ける」。 神仏のお加護がありますようにと、申しました。 でしょうね。

violeta
質問者

お礼

krya1998 様 さっそくご回答いただき感謝いたします。やはり「併仏神の~」は「あわせて仏神の~」と読んでいいですよね。実は音訳中の本に出てきて、どう読むのが正しいのか、わからず困っています。 ありがとうございました!

  • kine-ore
  • ベストアンサー率54% (808/1481)
回答No.1

こちらの「梅松論」では「かたがた」と仮名書きになっています。 「干潟にて有りし事、かたがた仏神の加護とぞ人申しける。」 参照:「新釈日本文学叢書. 第10巻 梅松論上」31頁(コマ番号124/382) http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2627934/124 一般には「方々/旁(かたがた)」なのでしょうが、この場合の意味としては「合い兼ねて」よりは「あれやこれや」、さらにいえば「偏(ひとえ)に」「普/遍(あまね)く」といった意味合いに当たると思われます。

violeta
質問者

お礼

kire-ore 様 ご丁寧に回答してくださりありがとうございました。 おかげさまで教えて戴いた国会図書館のデジタルコレクションでの当該文書も見ることができました。手持ちの辞書等では「併」を「かたがた」と読むとは出ていなく、素人にとってなかなかハイレベルな知識だと思い知りました。また、こちらでは「御加護」が「加護」だったり、送り仮名も「申しける」とあったりして、いろいろ違いがあることがわかり、興味深く勉強になりました。感謝いたします。

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