1)私は非常にゆっくり食べます。
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一般的には、
「私はとてもゆっくりと食べます。」
「私はかなりゆっくり食べるほうです。」
この「ゆっくり(ゆっくりと)」は一番シンプルな<動作レベル>での「様態の副詞」です。
「食べる」という動作・行為の様子を説明しています。
このような「様態の副詞」を更に「程度の副詞」がよりその度合いに踏み込んで限定説明する形なので、普通には「すごく」「とても」「かなり」「けっこう」「そこそこ」「それなりに」などで仕分けします。
ここで形容動詞から程度副詞となった「非常に」ですが、いまや「普通の程度をはるかに越えている様子」(「新明解国語辞典」)を担う言葉として、もはや上限度を指す副詞「非常に~だ」として、「間違いなく~だ」「絶対に~だ」のような<判断レベル>として使われています。ですから、本来の程度表現としては、日常会話ではいざ知らず、少なくとも文章語においては不適とされましょう。
2)非常にゆっくり食べてください。
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このように相手に向かって話をする場合には、本来は伝達のモダリティの副詞が求められます。
まだ「食う」動作が生じていない段階ではそこに勧誘の言葉も求められます。
つまり<伝達レベル>の副詞を使って、一般的には、
「どうかゆっくり食べてください。」
「どうぞごゆっくりお召し上がりください。」
このような「どうか」「どうぞ」「ぜひ」は<願望と呼応>する陳述副詞と言われています。
これらを使わないで、程度副詞を使う場合は、
誘導の従属節を前提させてから、程度副詞も加えるとか、
「どうかお気遣いなさらず、存分にゆっくりとお食べください。」
また、すでに相手の「食う」動作が始った時点という前提では、
「もっとゆっくり食べてくださいね。」
「もう少しゆっくりと食べましょう。」
さらに、「食う」動作が終わった段階では、
「とてもゆっくりと食べましたね。」
「かなりゆっくりと召し上がっていらっしゃいました。」
この段階であれば、「非常に」も挿入可能かも知れません。
「非常にゆっくりとお食べいただいたので安心しました。」
お礼
大変参考になりました。どうもありがとうございます!!