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さっきの、サイエンスZEROについて【iPS細胞】
カテゴリはここであってるかな…?iPSって生物学ですか? 以下質問内容 若いマウスと老化したマウスを繋いでいましたが、あんな単純なことで若返りってできるんですか? 繋いでるのは血管だけですか? 神経や脳細胞も繋いだら、若い時の気持ち、快感、わくわくが再燃するんですか? あと、どちらか一方が死ぬと、両方死ぬんですか? ていうか、ドラキュラが血を飲むって、大腸で若返り成分が吸収されるという認識でいいですか?
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まず、ご質問それそれについて。 >若いマウスと老化したマウスを繋いでいましたが、あんな単純なことで若返りってできるんですか? そういう期待を持てる可能性がある、というデモンストレーションの意味合いが強いです。我々視聴者にとってはアンチエイジングと長寿が可能かもしれないという、希望的な興味をかきたてます(ある意味、それだけ)。その関連の研究者にとっては自分たちの研究の啓もう活動であるとともに、予算獲得活動の一環という意味もあります。 >繋いでるのは血管だけですか? その通りです。 >神経や脳細胞も繋いだら、若い時の気持ち、快感、わくわくが再燃するんですか? まず無理です。それは技術的に神経をつなぐことが難しいだけでなく、脳に実現された知能や感性をメチャクチャに混ぜ合わせることになってしまうからです。仮になんとかそれを制御しても、例えば年齢に応じて深くなった思慮が浅くなってしまうといったことも起こってきます。 >あと、どちらか一方が死ぬと、両方死ぬんですか? あのように二体を血管レベルでつないだままだと、そうなります。死なないまでも、疾病も共有してしまいますね。一方が怪我すれば、他方にもかなりの悪影響を与えます。 >ていうか、ドラキュラが血を飲むって、大腸で若返り成分が吸収されるという認識でいいですか? そうです。吸血鬼の場合は食料として血液を摂取しています。二体をつないだマウスがやっているのは、常時互いに献血するということですから、根本的に違うものです。吸血鬼は単なる喩えですね。 直接的な回答は以上までとしまして、あの番組内容について。ありていに申せば、あの内容は、一種のおとぎ話です。ツッコミどころ満載です。断片的に実現しそうなものがあるんですが、あえてバラバラにして紹介しているものもありました。 老若二体をつないだマウスについて考えてみましょう(※以下、ホルモンなどはヒトのもの呼称も用います)。 老いたマウスに注目すると、直接的に変化したのは血液成分です。毛並みも回復していましたが、筋肉の再発達が著しかったと言っていましたね。その筋肉の太さは若い頃に持っていた太さ近くまで戻ったでしょう。 血液成分ということで考えると、筋肉肥大に密接に関わるテストステロン(男性ホルモン)があります。普通に暮らしている場合、思春期終了後で若い頃のほうが多いホルモンです。これを老いたマウスは若いマウスから得ますから、当然、筋肉は再発達します。要はドーピングということです。これは一部のアスリートが悪用したことが、報じられたりしていますね。 また、見た目の若さについて、成長ホルモンが有効なことが知られています。これも普通の生活で若い頃に多く、老若二体のマウスでも、老いたほうが若いほうから得ていたことは確実です。成長ホルモンはスロトレなどの運動で増えることがよく言われていますし、注射による補充療法もあります(かなり高額)。 でも、あの番組内でも言っていましたが、ガン発生などにも働いてしまいます。老化と寿命はまだ研究途上ですが、一部の研究結果としては、老化を防げば寿命が縮み、寿命を伸ばそうとすると老化を早めることが必須という、なんとも皮肉な結果がいくつも、かなりはっきり出ています。若々しいことと長寿は、ジレンマの関係にあるかもしれないわけです。 番組の最後のほうで、運動の効果を紹介していました。強弱を繰り返す運動でしたね。それは、無酸素運動と有酸素運動を交互に行うということです。テストステロン、成長ホルモンの分泌は盛んになります。そのため、筋肉は再生してきますし、新陳代謝も盛んになります。 老若二体のマウスを思い出してみると、血液を共有しただけではないことが分かります。老いて動くことが少なくなっていたマウスは、若くて活発に動くマウスについて行かざるを得なくなり、以前より活発に動くようになったはずです。つまり、若い頃のような運動を再開したわけです。 老化(防止、逆転)と長寿は非常に多くの研究が行われています。以前は減る一方だとされていた脳細胞も、有酸素運動で増えることが分かってきました。確実に分かっているのは、マウスの海馬です。脳細胞の数を調べるには脳を取り出して壊さなければなりませんから(要は死ぬということ)、ヒトでは直接調べられません。しかし、運動習慣と認知機能の相関関係を調べた限りでは、マウスと同じことが起こっていると強く推測できます。 食事もそうです。高度肥満を招いてはいけませんが、老化防止と長寿のためには、栄養素の不足がないように食べるべきだということは、ずっと昔から言われていました。そのことについて、最近では低カロリーのほうが加齢が遅い(これは老化防止と長寿双方を意味する可能性がある)という研究がいくつか出て、話題になりました。しかし、それについての疑義・反論の研究結果もいくつも出て、今も調べ続けている最中です。 人間では百歳以上の人を被験者に、生活習慣だけではなく、遺伝子を調べることが行われたりもしています。長寿は遺伝による影響はあるのか、あるならどの遺伝子で、どういう働きをしているのか、ということですね。遺伝子の働きが分かれば、それを人工的に補うこともできる可能性があります。 不老長寿は人類の長年の夢であり、実際にトータルでは巨額の費用を長期に渡ってつかいつつ、極めて多種多様の研究が多数行われ続けています。あの番組で紹介していた内容など、ほんの一部でしかないし、個人的予想ですが無駄に終わる可能性が高いと思われます。 そもそも加齢以外も含めて、具体的な新発見というものは、数百の研究例で一つくらしか有効性のあるものは見つからず、しかもたいていは1%未満くらいの効果です。1割近い効果となると、数万の研究に一つあれば幸運でしょう それでもあの番組をおとぎ話だという感想で終わらせないとするなら、そういう不老長寿に研究の一つであり、役立つことが出て来るかどうか分かるのはだいぶ先ではあるものの(だからこそ言いたい放題だった)、もしかすると原因物質や関与する遺伝子を明らかにする一助になるかもしれない、ということです。そして、あの番組では紹介されていない、同様の研究は山ほどあります。 P.S. しかし、そんなことを待っている必要はありません。あの番組でも、最後に高い効果が確認されているアンチエイジング(加齢現象対策&長寿)の方法が紹介されていました。適切な食事と適度な運動です。人類も経験的に最先端の研究で確認されたことを昔から実行し、推奨してきたわけですね。
お礼
回答有難うございます。 言われてみれば、たしかに…予算捻出のため定期的に発表するのは、NASAもそうですよね。 私はその真意を、見落としていました。ハッとさせられました。 逆に、私にもまだ、純粋にものを楽しめる心があった事を嬉しく思いました。 それだけで、生物学って楽しいですね。 趣味にするとお金にならなそうだけど…醜い打算をしてしまう… ところで、血管だけ繋いでいるということは、やはり血が大事なのですね。 つなぎ目の、周囲の細胞も、多少関係するかと少し思ってました。 やはり、片方が死亡すれば両方…よく考えてみれば、医学的にも厳しいですね。 一つの心臓で二人分の血は、運べませんね。それこそ、iPS細胞が必要になってきますね。 人工心臓もあるか…いや、死亡したらまた切り離せばいいだけか… うーん、謎が深まる。 ホルモンですか、おお、なるほど! アスリートの禁止薬物もそうですし、脱毛症や様々な症状に用いるホルモン注射なんかも同じ部類ですよね。髪や、筋肉は、隠居細胞のように、あとはご勝手に…の部分に各当するのでしょうね。 私は、正直、生物学関係の人は、変人が多く分かりづらいイメージがありましたが、回答者様は、正しい理解に努めていて、とても、分かりやすく伝わってきました。 補充療法など、初耳の言葉もあって、調べるうちにますます興味がでてきました。 ホルモン補充(HRT)に関して、面白かったのは、エストロゲンに似た作用をもつ、フィトエストロゲンです。とにかく、大豆製品とフルーツをよく食べようと思いました。 そして、ちょうど今作っていたミソ汁が、改めて良い食べ物だと気づきました。 味噌と豆腐で大豆イソフラボン、わかめや海藻類で、フィトエストロゲン、にんじんも入れたので、βカロチン、かぼちゃも入れたので、ビタミンD…etc 味噌汁は素晴らしい食品ですね。下手にサプリとかやらないほうがいいですねこれは。 運動についても、そういえば、老化したマウスが若いマウスに面倒そうについていっておりました(笑)そんな映像の細かいところまで、気づきもしませんでした。しかも、そんなに冷静に見ていたのですね。完全に着目点や思考が、プロですね。その姿勢に、納得を通り越して、関心しました。かっこいい。 長寿と若返りは、比例しないのですね。残念です。言われてみれば、私も、食事が粗末だった貧乏な時に、見た目が若いと言われておりましたが、余裕がでてきて、長生きしたいという気持ちにシフトチェンジしたら、一気にふけこんだね、と言われました。 つまり、長寿が科学的に約束された感じで、嬉しいです。 栄養が足りなかったりすると、名前忘れましたが、眠っていた若返りの細胞が活性化するらしいですね。飢えてるから、食料確保しやすいように、細胞レベルで変化するんですね。人間の適応力凄すぎる…その事象が、まるで人生を巻き戻し再生したかのように、感じてしまうのですが、そうでもないようですね。 色々話し込んでしまいましたが、今後は、食事と運動を気をつけたいと思います。 どうも有難うございました。