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小林多喜二は外国でも読まれているのですか?
小林多喜二が特高によって虐殺された時、ロマンロランが抗議の声明を出したということを知りました。 またウィキペディアによると、 生誕100周年を迎えた2003年以来、白樺文学館多喜二ライブラリー主催「小林多喜二国際シンポジウム」が2年連続で開催され、2005年秋には、中華人民共和国河北省の河北大学で「第1回多喜二国際シンポジウム」が、中国各地および日本をはじめ中国国外から研究者約200名を集め開催された と書かれていました。 外国の研究者たちは、日本語のものを読んでいるのでしょうか? 英訳されたものがあって、一般の人たちも多喜二の著作を読めるのでしょうか? 宜しくお願い致します。
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「蟹工船」は最近でも翻訳が相次いでいます。 青空文庫に「蟹工船」が収められており、翻訳ソフトを使って読んでいる非日本語読者も多いようです。 昨年もジェリコ・シプリスさんによる新しい英語翻訳がハワイ大学出版会から刊行されました。 「安子」「党生活者」の英訳刊行は初です。同書の解説は、小森陽一(東京大学大学院教授)です。 2008年のやや古い情報ですが以下のサイトに関係情報がまとめられています。 http://www.asyura2.com/09/bun2/msg/268.html 注目はこれら非日本語言語での翻訳に取り組んでいる研究者の交流がたびたび企画されていることです。 それは多喜二ライブラリー主催の数次にわたる「小林多喜二国際シンポジウム」の取り組みが起点となり、 2009年『世界は「蟹工船」をどう読んでいるか+「蟹工船」上映会』が開催され翻訳者たちが集まった。 会場となった代官山ヒルサイドテラスで、5月17日、小林多喜二原作「蟹工船」をテーマに4カ国の文学研究者を招くトークイベント『世界は「蟹工船」をどう読んでいるか』の開催された。 会場では、実際に同作の翻訳に関わった訳者たちを招いて、『「蟹工船」が世界でどう読まれているか』をテーマにトークイベントを開催。出演は、「蟹工船」フランス語翻訳作業中のエブリン・オドリさん、昨年「蟹工船」韓国語新訳を出版したヤン・ヒジンさん、小林多喜二に関する研究、著作を多数発表しているフェリス女学院大学教授・島村輝さん、アートディレクター・北川 フラムさんの4人。 「蟹工船」スペイン語版を刊行したマリア・テレサ・オルテガさん、リディア・ペドレイラさんもメッセージでコメントを寄せた。 また、トークイベント後には、1953年に公開された山村聡監督による映画『蟹工船』も上映。「蟹工船」をモチーフにして、フランス、韓国、スペイン、日本の4カ国の労働意識の違いを捉えた今回のイベントの意義は大きい。 さらに2012年には、多喜二の母校小樽商科大学の創立百年記念事業の一つとして「小樽・小林多喜二国際シンポジウム」が開催された。このシンポジウムには諸外国から翻訳者が招待され研究成果が交流された。 シンポジウムの報告集『小林多喜二の文学、世界へ』は紀伊国屋書店から刊行された。 発行は小樽商科大学出版会、発売は紀伊国屋書店です。定価は2000円。 主な収録内容は以下の通り。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ●記念講演 ノーマ・フィールド「小林多喜二を21世紀に考える意味」 第1分科会「多喜二文学の国際性」 第1部「多喜二文学翻訳の可能性」 ファリエーロ・サーリス(イタリア) 「「蟹工船」の現在」 エヴリン・オドリ(フランス) 「フランス語『蟹工船』翻訳をめぐって」 マグネ・トリング(ノルウェー) 「『蟹工船』における方言と歴史」 ジョルディ・ジュステ、小野志津子(スペイン)「スペイン語『蟹工船』翻訳をめぐって」 梁 喜辰(韓国)「『蟹工船』の韓国語翻訳をめぐる読者の階級認識」 第2部「多喜二と国際プロレタリア文学運動」 高橋 純「多喜二生前の国際的評価:1932年に見られるその一端」 嘉瀬達男「多喜二「母たち」の中国語訳の意義」 ヘザー・ボーウェン=ストライク「国際モダン・モガのジレッマと『安子』」 秦剛(中国) 「『戯曲蟹工船』と「留用」日本人」 第3部「多喜二の「反戦・平和・国際主義」をめぐって」 サミエル・ペリー(アメリカ)「フェミニズムを赤で書く:姜敬愛の『人間問題』における文学的な矛盾」 ジェリコ・ツィプリッシュ 「多喜二の世界中の同志達」 今西 一「『蟹工船』とマイノリティ」 第2分科会 「多喜二「ノート草稿」を読み解く」 島村輝「「蟹工船」から「党生活者」へ――ノート・草稿に見る多喜二の挑戦」 高橋秀晴「「一九二八年三月一五日」草稿ノート考」 尾西康充「小林多喜二「工場細胞」草稿ノートの分析――女性労働者の描き方――」 神村和美「「独房」に秘められた想い――草稿ノートからの展望――」 第3分科会「多喜二研究の諸相」 山崎眞紀子「小林多喜二『防雪林』――防雪林に込められた比喩表現」 鳥木圭太「多喜二・身体・リアリズム――「工場細胞」「オルグ」をめぐって」 楜沢 健「壁小説の集団芸術性――「オペレーター」としてのプロレタリア作家――」 荻野富士夫「多喜二の戦争観・軍隊観と北洋漁業――「蟹工船」から見えてくるもの――」
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- ghostbuster
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海外で読まれている、ということを、どのように解釈するかにもよると思うのですが……。 共産党というのは“インターナショナル”な組織ですから、各国共産党間での交流も密です。 当時小林多喜二も加わっていた、日本のプロレタリア文学の担い手たちによる「作家同盟」も、「国際革命作家同盟」(モルプ)に加盟しており、この組織はドイツ、アメリカ、中国、ポーランド、フィンランド、ラトビア、チェコスロバキア、ハンガリー、オーストリア、ブルガリアなどにも支部がありました。ですから、『蟹工船』や『一九二八年三月一五日』(日本共産党に対する一斉検挙が行われた事件を題材に採ったもの)など、早くから中国語訳、ロシア語訳、そこからさらにイギリス、ドイツなどにも翻訳されていました。 ロマン・ロランは(スターリンの登場やドイツ軍のポーランド侵攻の際のソ連軍の黙認のころから、共産主義から離れていくのですが)、入党こそしなかったものの、1930年代前半はかなり深く共産主義に傾倒しています。 そうしてアンリ・バルビュスや、アンドレ・マルローらとともに、1932年、国際反戦大会の開催を呼びかけるのですが、これに片山潜を代表とする日本の共産主義者たちも参加するのです。そうして、日本における共産主義の弾圧に対する抗議の決議がこの大会で採択されています。 ロランが小林の作品を読んだかどうか、わたしはその知識を持ちませんが、多喜二の死は、世界的なファシズム勢力の台頭と、ふたたびの世界大戦の危機が目前に迫っていた時代だったこともあり、多くの進歩的知識人らの抗議を引き起こすことになります。 魯迅は弔電を送っただけでなく、ほかの中国人作家と一緒に遺族のために募金を始めたし、フランスでは共産党機関紙『ユマニテ』が抗議活動を呼びかけました。アメリカのInternational Publishers(マルクス主義系の作品を中心に出版しているところ)は1933年に出版した "The Cannery Boat and Other Japanese Short Stories"(『蟹工船 その他 日本短編集』)の末尾に、小林多喜二の死が警察による拷問だったことを記しています。 > 外国の研究者たちは、日本語のものを読んでいるのでしょうか? > 英訳されたものがあって、一般の人たちも多喜二の著作を読めるのでしょうか? たとえば『源氏物語』が広く読まれているように、小林多喜二が読まれているというのとは、意味合いが異なります。けれども、日本で読めなかった1930年代にも、ロシア語でなら、さらにそこから重訳されたものなら、共産党系の雑誌や書籍を通してよむことができたのです。
お礼
回答ありがとうございます。 長らく回答がなかったので、悲観していたのですが、回答を読ませていただいて色々なことが分かりました。 魯迅もそう言えば抗議していましたね。 勉強になりました。ありがとうございます。
お礼
回答ありがとうございます。 日本では余り省みられていないような印象を受けていたのですが、海外からは脚光を浴びているのですね。 あの偉大な小林多喜二が忘れ去られるはずはないでしょう。