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民法の規定と最高裁の判決。どちらが優先ですか。
婚外子の遺産相続が1/2なのは違憲であると最高裁の判決が出ました。これが立法化しなかった場合、実際の遺産分割はどうなるのでしょうか。民法の規定が変わらない以上1/2は有効になるのが当然と考えるのですが。法律と最高裁の判決、どう考えたらいいのでしょうか。
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結論から言うと学説に対立のある難しい話です。違憲判決の効力、という問題で憲法訴訟の中でも重要な論点とされています。 もし質問者の方が、実際に遺産分割に悩まれている方で、実務上どういう扱いになるのか知りたいというのであれば、婚外子だからといって、相続分を嫡出子の半分としても、結局訴訟になればその主張は認められないと覚えておけばよいでしょう。 もし、憲法学に興味があるということであれば、以下のように説明されます。 憲法98条第1項に宣言されているように、およそ違憲の法律は効力を持ちえず、裁判所により違憲とされた以上はその法律は当然に無効である、と主張する学者(一般的効力説を採る中田先生)もいますが、一応通説ないし有力説とされているのは、個別効力説と言われるもので、最高裁が下した法令違憲の判決と言えどもその効果は当該事件どまりであり、違憲と判断された法律は当該事件についてだけその適用を排除されるにとどまると言う説です。 しかし、個別効力説が妥当であるとしても、他の国家機関は最高裁の違憲判決を十分尊重することが要求されるので、国会は意見とされた法律を速やかに改廃し、政府はその執行を控え、検察はその法律に基づく起訴を行わないなどの措置をとることを憲法は期待していると見るべきであるとされています(礼譲期待説) なお最高裁による法令違憲の過去の例としては、薬局距離制限規定、森林法共有林制限規定、郵便法免責規定、在外選挙権制限規定の各条項は、違憲判決後まもなく、国会が廃止の手続きをとり、尊属殺重罰規定は暫くの間改廃されませんでしたが、運用上は法務省の通達で普通殺人罪の規定が適用されていました。 いずれの学説を採るにせよ、いずれ当該民法の規定は改廃されるはずであり、改廃されないという事態は考えにくいですが、もし改廃されないとすれば、過去に例の無い事態であり、三権分立という憲法の大原則を無視する非常事態としかいいようがありません。 憲法 第98条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。 2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
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- yuubikaku
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>裁判で訴訟をして平等の判決が出たとしますが、その時民法を理由に拒否したらどうなるのでしょう。いわゆる「上告」してまた争うのでしょうか。 日本の訴訟では、原則三審制が保証されていて、1審の判決に不服があれば上級審で争うことができます。 そして、民事訴訟制度は民事紛争を強制的に、しかも終局的に解決するための手続きであり、判決が確定すれば、強制執行(判決で示された権利の実現に向けて国が公権力を発動し、債権者の満足を得させることを目的とする手続きのこと)することが出来ます。
- hekiyu
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”たとえば裁判になって遺産分割が平等にする判決が出た場合に民法を理由に あくまで1/2と譲らなければ、どうなるのでしょう。” ↑ 勝訴した相手が、強制執行手続きをとれば 否応なしに、平等にされてしまいます。 この意味で、その事件に限っては判決が法律に優先するということに なります。
- cypress2012
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どちらが優先するかと比べるものではありません。 判決がすなわち法律ではありません。 最高裁の判決が確定したとしても、法改正が国会で行われ施行されるまで、行政は現行の法の下で粛々と業務を遂行します。逆に言えば、行政は現行の法律でしか動けません。勝手に行政現場の判断で、判決に直接従うなどしたら大混乱になるでしょう。 しかし、立法権を持つ国会は速やかに立法の義務を果たすことが求められます。立法時に遡って適用ということもあるでしょう。ある時点からのみ施行となれば、それより前の事案には適用されず、諦めることになります。それは従来通りということです。 現在も、選挙における一票の格差の問題で最高裁判決が注目されています。違憲となれば、国会は早急に法改正を求められるでしょう。遡って以前の選挙が無効などとなれば、それはそれで大変なことです。無効の選挙で選ばれた人達(国会議員)が作った法律の有効性の問題も生じるでしょう。
- trajaa
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行政側は法律に記載している通りに解釈し 司法は最高裁の判例に従った判決を出す 実際の遺産分割に際しては当事者間で 法律に従って分割するか? それとも司法判断に基づいて分割するか? 協議すればよい で、合意出来ればどちらでも構わない 合意できないのであれば、不満な方が裁判所に判断を求める と言うことは、最終的には司法判断が優先されると言うこと <-但し個別の訴訟が必要
- hekiyu
- ベストアンサー率32% (7193/21843)
判決というのは、訴えがあったその事件だけにしか 効力がありません。 それは最高裁の判決でも同じです。 だから、民法の改正がなされない限り、その法文は 有効で、そのまま効力を維持し続けます。 従って1/2は有効になります。 しかし、それに不服な婚外子が裁判に訴えれば まず間違い無く平等にしろ、という判決が出ます。 結果、婚外子が勝訴して1/2は無効と同じ結果に なります。 つまり、裁判沙汰にしない限り1/2のままで 効力を維持し続ける、ということです。
補足
わかりやすい説明ありがとうございます。たとえば裁判になって遺産分割が平等にする判決が出た場合に民法を理由にあくまで1/2と譲らなければ、どうなるのでしょう。「強制的に」遺産を取り上げられるとかですが。また教えてください。
- Sat_H
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下級裁判所は最高裁判所の判例に従うはずですので、訴訟トラブルになったら最高裁同様、違憲判決を出して平等に分割されると思います。
補足
わかりやすい説明ありがとうございました。裁判で訴訟をして平等の判決が出たとしますが、その時民法を理由に拒否したらどうなるのでしょう。いわゆる「上告」してまた争うのでしょうか。