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白金について: 触媒効果が高いことと希少であること
こんにちは、突飛な質問かもしれませんが、常々思っていたことでありまして、どうぞよろしくお願いします。 貴金属、特に白金、は多くの化学反応で触媒として機能するようですが、このことと(触媒効果が高いこと)と希少であること(地球に僅かしかない)は関係があるのでしょうか。 それとも特に関係なく、沢山の化学反応で触媒として使えるのに、希少で高価、とういのは、ただのアンラッキーなのでしょうか。
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こんにちは。おもしろい疑問ですね。 私も物性の専門家ではありませんが、次のような考え方ではいかがでしょう。 ポイントは、「白金の触媒性と希少性とは「重さ」の部分で関係する。他方、白金と水を比べてみると・・・」 触媒の理論は大変に奥深いので、簡素で正確な説明は困難ですが、次のような順序の説明は成り立つでしょう。 まず、「重さ」(密度)からの説明としては、触媒性と希少性には次のような関係がある。 (1) 白金の「触媒性」(他者を変化させつつ、自分は変化しない・いったん変化しても元にもどる)は、原子中の電子の配列のある特性によるもの。 (2) このような電子配列は、構造の単純な軽い原子ではムリ。ある程度の大型の(重く複雑な)原子でなければならない。 (もっとも、重ければ触媒性があるわけではない。高度な思考には大きな脳が必要だが、大きな脳でも必ずしも高度な思考ができこととは別(笑)) (3) 大型の原子は、基本的な宇宙の核反応では生成せず(普通の太陽の中で生成するのは鉄まで)、金や白金、ウラニウムなど大型の原子を持つ物質は巨大太陽による「超新星爆発」によってのみ生成する。その意味では白金は宇宙全体でも存在率が低い。 (4) また、重い物質は、高温の惑星の内部では中心部に集まってしまうので、人間の手の届く範囲では特に稀少になる(この希少性の理由は金なども同じ) 他方、実は、見方を変えれば、次のように、触媒性の高い媒体が希少性と連動しているわけではない。 (1) 「水」も高い反応性と安定性のある媒体。「物質の溶解」として「自分も変化してしまっているように見える」点が白金と異なるが、水の分子そのものが変化しているわけでないので自然の大きな循環の中では「触媒」と呼ぶこともでき、宇宙に多いとされる他の物質(例えばメタンやアンモニア)に比べても反応性が高い。 (2) 地球生物は水を反応の主要媒体として利用してきたので、今さらありがたみを感じていない。しかし、もし、白金(又はメタンなど)を主体とした惑星でそれを主要媒体とした文明が発達したら、「水」の反応性に驚きを感じるだろう。 (3) 同じような考察は、酵素(タンパク・アミノ酸系の物質で、特別の化学反応においては触媒として働く)でも共通。 ということで、白金の触媒性は確かに貴重で、その特性と希少性には多少の関連があるものの、このような触媒は必ずしも希少なものばかりではなく、「いろいろな化学反応に対応するいろいろな触媒の中にはふんだんにあるものもあれば稀少なものもあるが、現代はたまたま"石油系のエンジン"という装置(及び石油化学)が幅をきかせている希な期間でもあるので、たまたま現代は特に白金の触媒性が特に重要に見られているだけ」ということもできるでしょう。 (人類文明の発生から自己破滅まで仮に1万年とした場合でも、石油系エンジン(の自動車とその排気ガス問題)がこれほど社会に影響を与えられる期間は多分500年以下のほんの短い期間。まあ、白金の触媒性はそれ以外にも広いですが。) さてさて、いかがでしょうか。 私が楽しませていただいてしまいましたが、ご参考になれば幸です
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- lupinletrois
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希少であること、つまり存在比が少ないことは、原子核の問題です。 特に重い元素は、超新星爆発でも生成確率が低いということです。 触媒は、化学反応ですから、電子軌道の問題です。触媒に限らず、 反応自体も電子軌道の問題ですが。 超新星爆発での原子核の生成確率がどの程度正確に求められているか は、専門家でないので不明ですが、一般的に重い方が低いでしょう。 ただ、陽子・中性子数が偶数の方が安定で 2,8,20,28,50,82,126 の マジックナンバーは特に安定です。このことは、電子軌道に関係する 周期表とは独立です。 実際の地球の地殻での存在比はもっと複雑です。↓ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E6%AE%BB%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%85%83%E7%B4%A0%E3%81%AE%E5%AD%98%E5%9C%A8%E5%BA%A6 軽い元素のホウ素や窒素でも触媒になる反応が多数あります。 金属に限定でいいんですね。金属でも二酸化マンガンや塩化アルミ等 酸化物の化合物で触媒になる反応が多数あります。ホウ素やアルミは 空位軌道を使った触媒効果、窒素は余剰電子対の供与による触媒効果 があります。 質問が白金なので近くの元素と比較しましょう。 白金の電子配置は 4f^14 5d^9 6s^1 で、6s は金属の自由電子になります。 d電子が満杯以外で最も多い状態です。これに関わる触媒効果は最大です。 白金の次の金は、d電子が満杯です。白金の一周期前のパラジウムも同様の 理由の触媒効果があります。白金の前のオスミウム・イリジウムもd電子が 少ないものの触媒効果があります。 これらの存在比は、Pt>Au>Ir>Os と決して白金が少ないわけではありません。 白金の周期表の下の110番元素Dsダームスタチウムも放射性でなければ 触媒として使えたかもしれません。
お礼
お礼が遅くなりまして失礼いたしました。 大変丁寧な回答を下さり勉強になりました。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
- Tacosan
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金は希少だけど, そのくらい触媒として使えるんでしょうね.
お礼
希少であることが必要十分条件だとは言っておりません。
お礼
なるほど、水も触媒ですね。大変興味深いお話ありがとうございます。勉強になりました。