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「~はこれを~する」という表現
「その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」 上は日本国憲法前文ですが、初めに「権力は」と書かれているので「権力」は主語なのかと思いきや、「国民の代表者」が主語にすり替わり、「これ」(権力)が目的語として使われています。 その後の「福利」も同じです。 この場合、「権力は」という言葉が文中で浮いてしまっている感があるのですが(「権力は」に対応する述語がない)、これは日本語として正しいのでしょうか? 初めは日本国憲法ならではの悪文かと思いましたが、似た表現を結構見かけるので、もしかすると正しい日本語なのだろうかと思いました。
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- mota_miho
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》その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する 意味が明快で分かりやすいので、悪文ではないと思います。
厳密にいうと、助詞の「は」は係助詞であり、主語を表すものではありません。 係助詞の「は」には「提示」という機能があります。 「~については」「~についていえば」という意味です。 わざわざ取り出して強調する意味が含まれます。 「その権力は国民の代表者がこれを行使し」 とは、 「その権力については、国民の代表者が行使する」 という意味です。 つまり「国民の代表者がその権力を行使する」 という文で「その権力を」を強調した意味になります。 この場合、「が」を主格の格助詞として、「国民」を主格(主語)と呼ぶことがあります。 ほかの例でいうと、「今日は天気がいい」という文では、「天気」が主格とされます。 しかし、「日本語に主語や主格はないという」説が最近は注目を集めています。 かなり説得力のある説です。 考え方としてはその方がすっきりすると思います。 興味があったら下記の本を読んでみて下さい。 金谷 武洋 『日本語に主語はいらない』 http://www.amazon.co.jp/dp/4062582309
- otasuke009
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少し難しい言い方になりますが、これは漢文訓読調の文章でよく使われる表現です。 正しいかどうかで言えば、正しい表現と考えていいのです。 このような「これを」は、英文法で言う「形式目的語」と考えて下さい。 この例の場合、「権力」が意味上の目的語です。 しかし、話題の中心となる言葉なので、「権力は」と頭に持ってきて「主語(主題)」となっているので、 本来の目的語の位置に形式目的語としての「これを」が挿入されているわけです。
- kine-ore
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口語文が当たり前となった今日では馴染みが薄くなったのですが、旧来の公用文に使われた漢式和文などでの漢文訓読体に特有の表現法です。 しいて言えば重厚や格調を重んじた文体といえるかも知れません。 「これ【此・是・之・維・惟】 (四)提示された主題(権力/福利)を指定する。述部(行使/享受)の前におかれる。」(括弧は加筆)(「国語大辞典」小学館) 「これ【此(れ)】(2)「言論の自由はこれを束縛しない」(この)例は「之」と書く。「之」は代名詞でないが、こう訓ずる習慣があった。」(「岩波 国語辞典」)
- bgm38489
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「~は」は、必ずしも主語を表す時にはつかないものなのですが、初めの「権威は」は「由来し」の主語としていいでしょう。次の「その権力は」の「~は」は「~については」と置き換えられる。 つまり、行使するのは国民の代表者であるから、主語は置き換わっています。 初めの「権威は」も、「権威については」と置き換えられますね。このように、「~は」は、主語をはっきり定義するのではないといえます。 ただし、この前文は、連合軍が下書きしたものなので、日本語的にはおかしいですね。~は~はで並列させて、最初の文では主格を表し、次の文では「~については」と読み替えさせて、目的格「これを」に受け継がせるなんてこと、普通はしませんね。 条例や、労働組合の要請文などを見ると、独特な表現が見られますがね。 例えば、労働組合の要請文では、「…をされたい」。するのは会社側だから、それを敬語にして「される」として、それに「…たい」とつけてるのか?それとも、単に自分たちが「されたい」だけなのか?判断に迷うことが多々あります。 条例などでも、主語・目的語をはっきりさせるために、余計な言い回しを使うことがよくあります。 あ…そうかもしれませんね。普通の文章では、「これを」は省略されるが、この文章では、目的格であることをはっきりさせるために、わざわざ「これを」といっているのかも。「その権力は国民の代表者が行使し」で、主語は国民の代表者、目的語はその権力とわかるのにね。