1、偉い人物が2人以上出て来ても、その・位・身分の差により敬語表現に差をつけるので、敬意が高いものほど位が高いことになり、区別します。区別をするには作者を含め登場人物の位・身分の上下を考え、具体的な人名が分かる部分から敬語表現の差を考慮して人物を類推することになります。
さらに、天皇・中宮などの最高身分には、最高敬語・二重敬語が用いられることが多いので一つのヒントにはなります。ただし、この二重敬語の場合でも地の文ではほぼ最高身分に使われますが、会話文などには同等身分の者にも使われますので注意が必要です。
2、ここ部分の登場人物は、作者・伊周・中宮定子ということですが、身分は中宮定子・伊周・作者の順です。ここで「取りはやして」の動作の主体が伊周であることが分かっているとして、次の文は接続助詞の「て」*でつながっていますので、動作の主体の移動はありません。つまり、次の「まゐらせ給ふ」の動作の主体も伊周ということになります。ここに謙譲語の「まゐら」が使われていますが、伊周の動作に謙譲語が使われる=動作の客体(動作の受け手=ここでは「御前」)の身分が伊周より高いことになります。ですから御前は中宮定子のことを指しています。
ただし、「まゐら」の後に「せ給ふ」という二重敬語が使われているのは、内大臣で摂関に準じる内覧であった伊周の身分が、作者である清少納言よりよほど高いので作者から伊周への敬意を表すために使われています。
御前の関しては中宮だけでなく、一条天皇などにも使っていると思いますが。
*文中の接続助詞について、「て」「で」で変わらず、「ば」「ど」「を」「に」で変わるという言葉があります。これは動作の主体・主語が接続助詞によって変化するかどうかを表した言葉です。原則なのですべてに当てはまる訳ではないのですが、おおよそ原則通りですので、覚えておくと参考になります。
以上、参考まで。
お礼
参考どころか、得るべきこと満載というところです! ウルトラベストアンサーを差し上げたいところですが、そのようなものはないのが残念です。 それと、もっと知識を増やしたいので便宜上まだベストアンサーは保留にしたいと思います。 もしも、他に心動かす回答があり、その人にベストアンサーをあげたときは、申し訳ない。 でも、今、私は丁寧な回答にこの上なく感謝しています! 回答ありがとうございました。