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微結晶性樹脂とは
微結晶性樹脂とは何なのか。非結晶性樹脂と何が違うのか。と、言ったことについて質問を受けました。 私の認識としては、 高分子材料=組織中で結晶化している部分と結晶化していない部分が共存 微結晶:高分子組織のモデル上で結晶組織が集まっている部分 結晶性高分子:高分子組織全体の領域の内、結晶領域の割合が多いもの。 非晶性高分子:高分子組織全体の領域の内、非晶領域の割合が多いもの。 です。 高分子材料は結晶性か非晶性かによって分類されるかと思うのですが、微結晶性樹脂とはどちらに属するものなのでしょうか? また、結晶性か非晶性かのどちらかに属するとして、その中で微結晶性であることでどのような差異が生じるのでしょうか? これらのことについて述べられている書籍等ありましたらあわせて教えていただけるとありがたいです。
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「微結晶性樹脂」聞いたことの無い表現です。 質問者がどういう関連でbeleagueredさんに聞いたか興味有るところです。 <高分子(樹脂)材料は結晶性か非晶性かによって分類される>ので、 「微結晶性樹脂」という表現は「結晶粒が特別に小さい」または「大きな 結晶粒ができ難い」樹脂と言う意味の可能性が有ります。 前者の「結晶粒が特別に小さい」は、樹脂に造核剤を添加し、結晶化を速め 樹脂の成形サイクルを短縮する為に使われます。微結晶の数は多くなりますが サイズは小さくなります。急冷した場合と同じ様な効果を持ちます。 後者の「大きな結晶粒ができ難い」は、本来結晶性の樹脂の分子鎖中に 結晶化を阻害する要素を組込み込んだ(または置換えた)ものです。 例えば、透明ポリアミド(ナイロン)が有ります。 http://www.daicel-evonik.com/products/manufacture/cleanness/index.html 質問者が、前者、後者、それ以外の意味、または勘違いから聞いているのかを 判断する必要があります。 認識<結晶性高分子:高分子組織全体の領域の内、結晶領域の割合が多いもの。 非晶性高分子:高分子組織全体の領域の内、非晶領域の割合が多いもの。> は必ずしも正確とは言えません。 結晶性か非晶性かは、基本的には分子鎖の立体規則性と阻害性から定まるもので、 結晶領域の大小で線を引かれる性質のものでは有りません。 http://okwave.jp/qa/q4060473.html 結晶化する傾向を持つ高分子でも、結晶化条件や添加剤によっては結晶化度が低く 非晶の様に見える時があります。よく混同される点です。下記を参考にしてください。 http://okwave.jp/qa/q4489786.html 正しいのはNo.1の方で、「結晶部分が有意なだけ存在するか否か」が問題です。 例えば、結晶の融解ピークとして観察される程の微結晶もできない、分子振動が 非晶域と結晶域の違いを示さない、等が非晶です。 No.2はいわゆる誤れる俗説です。 結晶化し易さから、低結晶性や高結晶性という区別が使われる時があります。 立体規則性の高いPPは結晶性ですが、立体規則性が低下すると結晶化し難くなり、 いわゆる低結晶性PPとなります。立体規則性が完全に失われたアタクチックPP は結晶化しません。 <微結晶性樹脂とはどちらに属するものなのでしょうか?> は結論として、字義通りに解釈すれば結晶が有るので結晶性樹脂となります。
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- drmuraberg
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まぎらわしい表現でした。 無定形高分子の構成要素をAとします。 この分子鎖は AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA の様に表わされます。 この分子が微結晶を作るように、鎖中に結晶性の構成要素Cを導入すると、 この分子鎖は AAAAACCCAAAAAAACCCCAAAAACCAAAA の様に表されます。 AとCから成る分子が近接した時、CCCの部分同士が微結晶を形成します (単一分子鎖内でのCCC部の折畳み結晶も可能です)。 このAC鎖の高分子の耐熱性や耐薬品性が、純粋にはAだけからなる 鎖の性質より高いと言う意味です。
お礼
なるほど! 理解しました。 始終丁寧に解説していただきありがとうございました。 大変勉強になりました。 論点が、本来の質問から少し離れてしまって申し訳なかったです。 最後までお付き合いいただいたことに本当に感謝しております。 また、どこかで私を見かけたらかまってやって下さい (笑)
- drmuraberg
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ご無沙汰しておりました。 最近あまり聞かないですが「無定形高分子」と言う言葉が有ります。 無定形高分子=非晶性ポリマー=非結晶性樹脂=amorphous polymer とも言い換えられています。 特徴は、下記URLに有るように、分子鎖に結晶の様な規則性が無く、不規則に 曲がり絡み合ったスパゲティの様なイメージです。 http://www.koito-j.com/tigai.htm 分子が絡み合いで纏まっているだけなので、分子運動も活発で、溶媒分子等が浸透し易く 耐熱性や耐薬品性に劣ります。 代表的な例は、ポリスチレンやゴム分子です。 結晶性樹脂は、この一部に纏まって並列して付いた部分の有る、茹で具合の悪い スパゲティの様な物です。付いた部分が有るために、絡み合いは強固になり、 溶媒(ソース)の浸透も悪くなります。 ゴムの例では、硫黄で架橋して分子相互を繋ぐ事に相当します。 架橋点の数を増やすと、ゴムは堅くなり、溶媒に対する膨潤も小さくなります。 これは化学架橋ですが、高分子中に微結晶が有ると、物理架橋として同じ様な 機能を果たします。 つまり、樹脂の耐熱性も耐薬品性も上昇します。 この微結晶が光の散乱に対して十分小さければ、外見上は透明で、しかも耐熱性や耐薬品性が 本来の無定形高分子よりは高い物となります。
お礼
ありがとうございました。
補足
ご回答ありがとうございます。 スパゲティに例えての耐薬品性の説明など、大変分かりやすく、理解することができました。 ありがとうございます。 おそらく、記入間違いだとは思うのですが、以下の点確認していただけないでしょうか。 <この微結晶が光の散乱に対して十分小さければ、外見上は透明で、しかも耐熱性や耐薬品性が本来の無定形高分子よりは高い物となります。> 上記の文章で、「本来の無定形高分子より~」となっているので、文章の意味が「無定形高分子だけれども、微結晶が十分小さければ、耐熱・耐薬品性が高い」になっています。 伝えたかったのは、「微結晶が十分小さければ、外見上は透明で、結晶性樹脂としての耐熱・耐薬品性を損なわない」ということで理解して問題ないでしょうか? せっかく丁寧に説明していただいたので、腑に落ちない部分を残したくはないです。 よろしくお願いします。
お礼
ご回答ありがとうございます。 詳しく説明していただき、大変勉強になりました。 <質問者の意図> drmurabergさんも参考として挙げられている、ダイセル社のHPを見て疑問に思い質問してきたようです。 質問者は、 透明樹脂=非晶性、耐薬品性悪 不透明樹脂=結晶性、耐薬品性良 との認識があったため、「透明なんだから非晶性樹脂なんだよね?なんで耐薬品性が良いのか。」と。 ですので、「結晶性だけど、結晶が細かいので透明に見える」と回答することにします。 しかし、ご回答いただいた中で一点疑問な点がありますので質問させてください。 「結晶粒が特別に小さい」または「大きな結晶粒ができ難い」樹脂と分類されているのですが、両者の間で、物性などで何か違いが生じるものなのでしょうか。 結晶が小さくなるといった点では違わないと思うのですが…