私も,線形代数を習い始めた頃,行列って分からなかった記憶があります。
まず「行列の積」の定義。
かけ算の規則は覚えたし,練習もしたから行列の掛け算はできる。
しかし,どうしてこんな規則で掛け算・足し算するのか,分かりませんでした。
その後になって,xからyへの変換
y1=a11*x1+a12*x2
y2=a21*x1+a22*x2
と,
yからzへの変換
z1=b11*y1+b12*y2
z2=b21*y1+b22*y2
を合成して,xからzへの変換
z1=c11*x1+c12*x2
z2=c21*x1+c22*x2
にしたとき,その係数cをaとbで表すやり方なのか,
と納得した覚えがあります。
つまり,行列とは,xからyへの変換を
y1=a11*x1+a12*x2
y2=a21*x1+a22*x2
と変数を含めて書いてると面倒くさいので,
係数だけを
(a11,a12)
(a21,a22)
と書いてあるのだ,と思うと,なんとなく納得しました。
y1=a11*x1+a12*x2
y2=a21*x1+a22*x2
の形の式は,座標変換とか,連立方程式とかに出てきますよね。
線形代数の本を読み進めるうちに,
「有限次元の線形写像は,適当な基底をとると,行列で表せる」
という定理がでてきて,
この辺が行列のすごいところなのかな,と感心した覚えがあります。
その後,工学部の専門へ入って,
「多変数の入力(x1,x2,・・・,xn)を与えると,
多変数の出力(y1,y2,・・・,ym)が決まる系。
ただし,これらの関係は線形とする」
という形にしばしば出くわしました。
「なるほど行列で表すと便利なんだ」
と納得した覚えがあります。