εーδ論法の表記方法と意味
数学表記とその意味についての質問です。
εーδ論法を例にとります。
∀ε>0, ∃δ>0 s.t. ∀x∈R, 0<|x-a|<δ⇒|f(x)-b|<ε
は、
「任意の正の数 ε に対し、ある適当な正の数 δ が存在して、 0 < |x - a| < δ を満たす全ての実数 xに対し、 |f(x) - b| < ε が成り立つ。」
ということであり、
「s.t. は such that の略で ∃ の条件を示し、 s.t. 以後の条件を満たすような正の数 δ が存在するということである。」
ということであり、
「任意の正の数 ε に対し、ある適当な正の数 δ が存在して、 0 < |x - a| < δ を満たす全ての実数 xに対し、 |f(x) - b| < ε が成り立つ。」
という意味であるとありました。
表記と意味についてすっきりと理解できないので、質問させてください。
(1) 変数についての定義は、xは実数(∀x∈R)とだけあるのですが、他の変数のε,a,bに対する定義はありません。なぜ、xのみを実数であると定義するのですか。定義しないと何か困るのですか。なぜ、εとa,bは定義の必要はないのでしょうか。定義しなくてもεとaは実数であると必然的になるということですか。通常は「<」は複素数では使用できないので、必然的にε,a,bは実数になるということですか。
(2) ∀ε>0, ∃δ>0は、「任意の正の数 ε に対し、ある適当な正の数 δ が存在して」と読んでますが、その中の「に対し」が表記のどこの部分から読み取ることができるのですか。∀ε>0と∃δ>0は、「,」で分けられているだけなので、「に対し」と読むことがすっきりと理解できません。単に、”全てのεが0より大きい”ことと、”0より大きいδが存在する”こと、の並列的な記述としてなら理解できます。なぜ「に対し」が必要なのか、「に対し」と読まないといけない理由も教えてください。
(3) 「∀ε>0, ∃δ>0」を「∃ε>0, ∀δ>0」と書くと間違いになるのですか。日常的な感覚からいうと、0<|x-a|<δ において、あるδを与えると、|f(x)-b|<ε を満たすεがかならず存在する、と考えるのが自然な感じがします。なので、「∃ε>0, ∀δ>0」の方が自然に理解できそうなのですが、間違いでしょうか。このような理解の方法はよくないのでしょうか。
(4)「∃ε>0, ∃δ>0」と書くと間違いになるのでしょうか。「 |f(x) - b| < ε 」はあるεでは成り立つが、成り立たないεも存在します。つまり、「∀ε>0」で定義したεの内、あるεだけが式を成り立たせるので、はじめから「∀ε>0」ではなく「∃ε>0」する方が正しいように思いますし、自然な感じがします。
私の印象ですが、数学的な表記(言語)は日常的な思考とは何かが異なる感じがします。若いときに数学を専攻していれば、“そういうもの”として受入られるのかもしれませんが、他の専門分野の人(私のように)にとっては“なぜ”と思うことが多いように思います。
文化の違いもあると思いますので、すみませんが、分かりやすく、教えて頂けないでしょうか。宜しくお願い致します。