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イギリスのポストモダン小説で分身を扱っている物
イギリスのポストモダンの時代に属する小説で、分身が登場する物語を探しております。 分身(double)は、ポーのウィリアム・ウィルソンのようにはっきりとした肉体的相似がなくても構いません。 コンラッドのロード・ジムにおけるマーロウとジムのような精神的な分身を扱っているもので十分です。 勿論、ディケンズの二都物語のように、肉体的にはそっくりだけど性格は全く似ていない、という肉体的相似のみが見られる分身でも構いません。 とにかく分身としてみなせる小説を探しております。 もしご存じでしたら、どうかご指導下さい。
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クリストファー・プリーストのことを もう少し書こうと思って、 忘れてしまいました。 まず『奇術師』は、クリストファー・ノーラン 監督で 映画化され、原題の『プレステージ』 で DVDも かなり廉価で手に入ります。 結末などが 少し異なるのですが、 とても映像化できそうにない 部分ですし、 それなりに 面白い展開になっています。 付録に 思いがけず プリーストの インタヴューがあって、おもしろかったです。 最初に翻訳されたのは SF のジャンルだったかと。 『伝授者』、 『逆転世界』 は、カフカと 数学的なイメージが混ざって 圧倒的な世界が 展開されていました。 『スペース・マシン』では、H・G・ウェルズの 『タイムマシン』を展開させ、時間軸に 空間軸を加えての 移動をひもといてくれます。 『魔法』も、少しドッペルゲンガーを 思わせる 処があるのですが、これは ネタバレになり過ぎて 書けないので、よければ 読んでみてください。 ちょっと違うかな とも思いますが。 このような方面では、またしても イギリスでは ありませんが、 ジョン・クロウリー (『ナイチンゲールは夜に歌う』)、 ポール・オースター (『最後の物たちの国で』 『偶然の音楽』*)、 スティーヴン・ミルハウザー (『エドウィン・マルハウス』 『幻影師アイゼンハイム』* 『ナイフ投げ師』)、 スティーヴ・エリクソン (『ルビコン・ビーチ』 『黒い時計の旅』)、 トマス・バーマー (『世界の終わりのサイエンス』)、 マイケル・カニンガム (『めぐりあう時間たち』 『星々の生まれるところ』) 等 も 試みられているようですね。 ちなみに、*は、映画化されています。 かなり違う展開と、そのもの とに分かれますが、 現代通りの DVDで、著者も出演 のほうは、すごい 出来ですが、逃げ場がなく、つらい程でした。 ともあれ、プリーストの『双生児』は、 期待に違わぬ 出色の出来にて、 ご興味の尽きない 近作と 思われます。
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- hazar
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Wiki の ドッペルゲンガー などは もう ご覧になられて おられるか と存じますが、 その 文学における、の 章中の アルフレッド・ ノイズ (Noise) は、詩人の アルフレッド・ ノイズ (Noyes) (1880-1958) (英国バラッド 詩 アーカイブ HP) とは 違うのか と思ったら、 「深夜特急」 アルフレッド・ノイズ (Noyes) 鈴木 清太郎 訳 という HP に 全文訳が 載って いるようで、 この話は、クリス・プリーストリー (1958-) の 『船乗りサッカレーの怖い話』 の 中の 『スクリムシャーの悪魔』 や、 H・G・ウェルズ の 『白壁の緑の扉』 を 想い起させるような 気がします。 また、アルフレッド・ノイズ の 詩を 原作とした 脚本による 『追いはぎ』 という 映画 (1951) も あるようで、映画 というと、(『追いはぎ』 自体は、 そうでも ない ような のですが、) ドッペルゲンガー 主題を かなり 扱った ポーランドの クシシュトフ・ キェシロフスキ (1941-1996) 監督 の 『偶然』 『ふたりのベロニカ』 『デカローグ』 等が 想い 起こされます。『偶然』は、おそらく ピーター・ ハウイット の 『スライディング・ドア』 の 下敷き になっている と思われ、列車に乗れたか、乗れなかった かで、異なる 運命を 担った 同一人物の 生涯が パラレル に 進む という ものですが、『偶然』 の 最初に あった 以下 カッコ内 ネタバレ (戦火の 中での 誕生時に おける、母の死と おそらくは 双子の兄弟の死 という) その異なる運命が 派生し得る 理由の ようなものには 言及されていません。 そのような 部分で、少しだけ、ジョン・バンヴィル の 『バーチウッド』にも その要素が みられた のでは と。 映画では 他にも、ショーン・エリス が 監督した 『ブロークン』 や やはり 東欧 (マケドニア) の ミルチョ・マンチェフスキ 監督 の 『ビフォア・ザ・レイン』 『ダスト』 『Shadows』 にも、その要素が 多分に あるかと。 文学に 戻ると、やはり 東欧から、ドッペルゲンガーの 故郷 (?) ドイツ、そして フランス 辺りに 何か 基になる 伝説・古謡 の類が あると 考えられ、 アルトゥール・シュニッツラー 『闇への逃走』 ハンス・へニー・ヤーン 『鉛の夜』 『十三の不気味な物語』 の 中の 幾つか、『ふたご物語』 等 ヴォルフガンク・ボルヒェルト 『戸外の外で』 イスマイル・カダレ 『誰がドルンチナを連れ戻したか』 ミロラド・パヴィチ 『風の裏側』 『ハザール事典』 パスカル・キニャール 『舌の先まで出かかった名前』 ディーノ・ブッツァーティ 『待っていたのは』 の 中の 幾つか、 表題作 や 『忘れられた女の子』 等 等 は、その要素が 多分に あるかと。 英国に 戻れば、児童文学に 分類される ディヴィッド・アーモンド の 『闇の底のシルキー』 『秘密の新像』等、アレックス・シアラー 等 の作品にも その要素は あるように 思われます。 アレックス・ガーラント 『コーマ 昏睡』 また、英国から 外れますが、 ドン・デリーロ 『白い部屋』 『ボディ・アーチスト』 更には、ジャン・エシュノーズ や パトリック・ドゥヴィル にも 色濃く うかがわれる かと。 最後に 映画のほうに 舞い戻って、パトリス・ルコント 監督 の 『列車に乗った男』 は、全く 異なる 二人の 男の 人生が 交わって (双方の 望んでいた 通りに)入れ替わる という 興味深い 展開で この テーマを 扱っているので、フランス ですが、是非 ご覧ください。 そこに 底流する 詩も、とても 惹かれるものが ありました。
お礼
詳しく教えて下さり、本当にありがとうございます。 No.3のご回答の方にお礼をまとめさせて頂きます。
- hazar
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クリストファー・プリースト 『双生児』『奇術師』『限りなき夏』 これは はずせないかと あとは 今、出先なので、また想い出し ましたら
お礼
ありがとうございます! クリストファー・ブリースト、早速読んでみます! 今少し調べてみましたら、とても評価を受けておられる作家のようなので、とても楽しみです。
お礼
改めまして、細かくご指導下さり、本当にありがとうございます。 分身を扱う話がこんなにも沢山あることに驚くと共に、分身というテーマの需要を改めて拝見させて頂き、このテーマについての興味が深まりました。 映画化されている作品も多いとのこと、小説を読む余裕がないものは映画でストーリを掴み、時間が出来てから改めて小説の方を読ませて頂くことにしようかと今思っております。 貴重なお時間を割いて下さり、本当に本当にありがとうございました。 とても助かりました。