臨床心理士です。
端的には、No.1の方の回答の通りですが、若干、補足をさせていただきます。
まず、IQは、知能の高さを全体的に表す数値です。
ここでは、WISC-IV、WAIS-IIIなどのWechsler(ウェクスラー)式知能診断検査に基づいて説明させていただきますが、これらの検査で得られる、とくにFSIQ(全検査IQ)は、全体的な知能水準を表す指標です。
Wecshsler検査でのIQは、統計学的には、標準得点といい、ある年齢集団の中で、平均的な成績を取ったときに、IQ=100となるよう設定されており、IQ=90~109に50%の人たちが含まれます。
そして、このIQ=90~109が、「平均」とされます。
Wechslerの検査では、このほかに、言語性IQ、動作性IQが分けて算出できますが、これは、No.1の方が書いていらっしゃるように、最近では、理論的及び実証的根拠には乏しいという理由で、次第に用いられないようになっています。
それに代わって、群指数という指標で評価をする傾向にあります。
群指数についての詳しい説明は、今回は、割愛しますが、言語理解、知覚統合、注意記憶(作動記憶)、処理速度の4つがあり、それぞれの能力を示す指標です。
群指数も、IQと同様の性質の指標で、群指数=100が、平均的な能力を持っていることを示します。
発達障害の方では、これらの群指数の間でばらつきが認められることが多くなっています。
しかしながら、逆に群指数にばらつきがあるからといって、それが発達障害であるというエビデンスにはなりません。
また、発達障害の診断を行うにあたっての診断基準は、それぞれの発達障害の心理/行動上の特徴があげられていて、それらについて該当するか否かという方式で行われます。
つまり、その方の心理/行動上の特徴が、発達障害という状態に該当するか否かという、「状態診断」に基づきます。
厳密には、発達障害に、知的障害や学習障害は含みませんが、知的障害や学習障害では、IQの高さ、群指数、さらには下位検査の評価点におけるばらつきがかなり重視されますが、発達障害の診断においては、知能検査の結果は、あくまでも参考データ、補助資料という位置づけでしかありません。
したがって、ご質問のように、
>『IQが高いから』という理由だけで
『検査間のIQのバラつきが少ないから』という理由だけで
発達障害を否定できるものですか?
という点については、「否定されません」という回答となります。
ちなみに、今回のご質問で気になりますのは、むしろ
>自他共に認める、アスペルガー&ADHDの人が
というところです。
ネットなどで、発達障害(アスペルガーなど個別の障害も含め)のチェックリストなどが載っていて、それに基づいて、表現が悪いのですが、「素人判断」をしていらっしゃる場合が多いのですが、やはり、専門家にきちんと診断を仰ぐ必要があると考えます。
精神科医(心療内科は、心身症やうつ病などが専門ですので、発達障害を相談するには必ずしも適切ではありません)でも、発達障害の診療経験が少ない方が多いので、本来の意味での専門家を見つけるのは、難しく、また、そういった専門家が診療している医療機関は混雑していますので、診察を受けるのも容易ではないという現状がありますが、それでもやはり専門家に相談することが、望ましいでしょう。
補足
ありがとうございます。 これまで数名の精神科医にアスペルガーを疑われてきました。 ですがIQが138あり、また、WAISIIIの群指数のバラつきも少なく、否定されました。 コミュニケーションに障害がある、空気が読めない、社会性がない、 注意不足、多動、忘れ物が多い、記憶力が弱い、落ち着きがない等、 散々、散々、何人もに言われてきて、本当に悔しい思いをしてきたのに、 これが障害じゃないなら何なんだと思ってて…。 毎日本当に悔しいです。