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広汎性発達障害についての疑問
- 広汎性発達障害(アスペルガー症候群)と診断された31歳の男性が、広汎性発達障害に関する疑問を持っています。
- 広汎性発達障害者には知的障害がある場合もあるが、どのような根拠があるのか知りたいです。
- また、広汎性発達障害にはまだメカニズムが解明されておらず、知的障害も少ない可能性があるという見解もあります。
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心理士です。 No.1の方のご回答にも、一部正しいとはいえない内容もありましたので、補足も含めて書かせていただきます。 1.広汎性発達障害について 広汎性発達障害という概念は、広義には自閉症と同じ意味になりますが、DSMや、ICDなどの診断基準では、さらにいくつかの下位分類が行われています。 たとえば、DSM-IV-TRというアメリカ精神医学会の診断基準では、次のように5つに分類されます: (1)自閉性障害 (2)レット障害 (3)小児期崩壊性障害 (4)アスペルガー障害 (5)特定不能の広汎性発達障害 2.知的障害について 知的障害は、上記と同じくDSMでは、 (1)全般的な知的既往のが低い水準にある(より具体的にいえば、標準化された知能検査で、平均マイナス2標準偏差未満の知能指数;WAIS-IIIでは、全検査IQが70未満;ちなみに、IQ70~85は、境界線クラスとされます) (2)実際の社会生活や日常場面において、適応機能が制約されている (3)上記の状態が、満18歳までの発達期に発現している 3.広汎性発達障害と知的障害の関連 広汎性発達障害のうち、(1)自閉性障害では、その多くに知的障害が合併することが知られています。 知的障害が合併しない方たちも一定数ありますので、知的障害ではない、つまり、IQ70未満ではない自閉性障害の方たちを、「高機能自閉症」と呼んで区別します。 「高機能」というのは、繰り返しになりますが、ここでは、「知的障害」がないという意味で用いられています。 アスペルガー障害も、原則としては、知的障害がない場合にこの診断名がつけられます。 そのため、アスペルガー障害の診断を受けた方では、全検査IQは、70以上あるものと考えられます。 4.アスペルガー障害とWAIS-IIIの所見 これまで述べましたように、全検査IQは、70以上となっていることが原則です。 ただし、言語性IQと動作性IQの間、また、群指数同士、下位検査の評価点の間では、かなりのバラツキ(言語性IQと動作性IQの間の差を、とくにディスクレパンシーと呼ぶことがあります;なお、最近の研究により、言語性IQと動作性IQには、理論的、実証的根拠があまりないと考えられ、次第にこの分類は用いられなくなりつつあります。児童用のWISC-IVでは、言語性IQ、動作性IQの2つの指標は廃止されています)があります。 つまり、全検査IQ出示されるような、全体的な知能水準には低下はないものの、群指数や、下位検査評価点でみると、バランスが悪い方もたくさんいらっしゃいます。 詳細は割愛しますが、これがいわゆる「空気が読めない」など、よく指摘される特徴と関連し、アスペルガー障害をお持ちの方が、一般社会で適応しにくいことの要因になっていると考えられます。 また、アスペルガー障害や、高機能自閉症の方たちの中には、知的障害がないというよりも、全検査IQなども「平均(90~109)」を越え、非常に高い知能水準をお持ちの方もたくさんいらっしゃいます。 しかし、こういう高い知能水準をお持ちの方であっても、群指数や下位検査評価点におけるバラツキが大きく、認知能力にアンバランスがあることはよく見受けられます。 4.「手帳」の交付について 私は、福祉関係のことには必ずしも詳しくはありませんので、間違っているかも知れませんが、精神障害者手帳や、知的障害者手帳の交付基準は、全国共通のものが定められていると思います。 しかし、細かいところは、各自治体で差異があるようですし、さらに、その具体的な運用となりますと、自治体による違いがあるものと思われます。 「手帳」についてお考えになり、議論される際には、この点も考慮に入れられた方が、誤解や行き違いがないと思います。 5.質問者様の知的状態について アスペルガー障害という診断が下っていらっしゃるということですが、知能指数が130であったという事実とは、矛盾はしません。 したがって、薬剤師免許を取得されたことも、薬剤師としての能力があり、それできちんと働いていらっしゃることも、何ら不思議はありません。 ただ、広汎性発達障害と、知的障害について知られている事柄は、上記1~3に述べたとおりで、これらのことと、質問者様の状態は、矛盾するものではありません。 No.1の方が書いていらっしゃるように、WAIS-IIIの結果を詳しくご覧になると、言語性・動作性IQの間の差、群指数や下位検査評価点におけるバラツキはあるかも知れません。 日常生活や、仕事をなさる上で、困難(よくあるのは、不注意であったり、注意が持続しなかったり、同時に2つのことができなかったり、忘れ物をしやすかったりなどということです。ただし、これらはよくあるというだけで、必ず当てはまる特徴ではありません)がおありであれば、認知的なバランスの悪さが存在していれば、それと関連すると思われます。 もしこういう生活や仕事上の困難がおありでしたら、専門医や、臨床心理士に相談されるか、最近は、一般向けの図書で、これらの内容を扱ったものがたくさん出版されていますから、参照されると、生活や仕事をスムーズに行えるヒントが得られると思います。 以上、長くなりましたが、ご参考まで。
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- くりはら にゃーにゃ(@kurinya)
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今年の2月にアスペルガーと確定診断を受けた48歳男性です。 アスペルガーでのIQは、トータルとしてのIQは、それほど意味がないように思います。 IQを構成する要素にばらつきがある(ディスクレパンシー)ことが特徴のようです。 私の場合は、 言語性:130,動作性:138 群指数での言語理解:124,知覚統合:135,作動記憶:145,処理速度:130 で、定型発達の場合、この群指数のばらつきは大きくありません。 私の場合は、ばらつきが15あります。これは、定型発達のケースでは出てきません。 知的障害として認められる通常のケースでは、IQが75以下とにりますが、アスペルガーの場合、ばらつきがあることにより、IQに関係なく、知的障害が認められる自治体も存在します。 (私の住んでいる札幌市では「知能指数(I Q )が高くても実用性の乏しい知能つまり知的機能障害とみなす」という扱いで、知的障害者手帳(療育手帳)が交付されます。(私も持っています。) http://www.city.sapporo.jp/kosei-sodan/reha/rehabook2010.html の第2章(2) アスペルガーの属するものが「高機能性自閉症」「高機能広汎性発達障害(HFPDD)」と呼ばれることもあります。旧来のカナータイプの自閉症では知的障害を伴いますが、アスペルガータイプの自閉症は「高機能」=知的には高機能、ということですね。 アスペルガー、とすれば、知的でこぼこが特徴的ですが、トータルのIQでは、知的障害とみなされないことが多いと思います。 広汎性発達障害(PDD)は、アスペルガー以外にもカナータイプ・レット障害・小児期崩壊性障害なども含みますので、PDDだけでは、知的障害の有無は意味をなしません。 一度、WAIS-IIIなどで、各群指数レベルででこぼこが出ているか、を確認して見るといいかもしれません。