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硫酸銅5水和物の脱水について
硫酸銅5水和物は銅イオンの周りに4つの水が配位結合し、銅イオンの上下に硫酸イオンがイオン結合し、残り1つ水は硫酸イオンと水素結合していると聞いたのですが、硫酸銅5水和物を加熱すると、先に銅イオンの周りの水から取れていきますよね? 加熱した時は結合の弱い順からとれていくのに、水素結合よりも強い、配位結合している水から取れていくのは何故ですか?
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#3です。 (1)水素結合をしているH2Oから抜けていくのであれば CuSO4・5H2O → CuSO4・4H2O → という順番になりそうに思うのですが。 4水和物が出てこないのはどうしてでしょうか。 明らかに性格の異なるH2Oですから4水和物ができても良さそうです。 その後は4つのH2Oの中の半分が外れるという事で CuSO4・5H2O → CuSO4・4H2O → CuSO4・2H2O → CuSO4 となりそうです。 (2)3水和物ができるとします。 水素結合をしているH2Oが1つ離れたとします。 でももう一つ配位している水が離れないといけません。4つの中で1つだけ離れやすいH2Oがあるようには思えません。4つのH2Oは対称性による違いはあるかもしれませんが特別強いものではないように思います。 水分子が2つ離れる温度は固体を加熱して行った時には50℃付近です。 水溶液の中でさえ3つしかH2Oが付かないのです。 100℃付近の硫酸銅水溶液にCuSO4・5H2Oの結晶を放り込むとCu^2+に配位している4つのH2Oの中の少なくとも1つは離れてしまうのです。 (3)水素結合をしているH2O この相手は何でしょうか。無意識にCu^2+に配位しているH2Oだけを相手だとしているのではありませんか。H2OとH2Oの結合です。水素結合はそれほど強いものではないと言っているのはこのような結合に対してです。でも5つ目のH2OはCu^2+に配位しているH2OとSO4^2-の両方にまたがって配位しています。 硫酸と水との結合が強いというのは高校でもよく出てくることです。混合した時の発熱は授業で必ず触れることです。硫酸とくっついているH2Oを加熱で取ってしまうことは難しいです。 98.3%の水溶液は沸点338℃の共沸混合物であると書かれていますからかなりの強さで結びついていると考えていいのではないでしょうか。50℃付近で離れてしまうというようなものではないと言うことはできませんでしょうか。 以上は単なる推測です。誤っているかもしれません。
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- 101325
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> 飽和溶液と接触しているという条件で実現する状態と、固体を加熱して行った時に起こる状態とが同じであるという保証はありません。 はい、そうです。実験してみるまでは、同じであるという保証はありません。そこで実験してみたらどうなるか、を調べた人の論文をみると http://dx.doi.org/10.1007/BF01909690 実験してみたら同じになったよ、とのことです。 ちなみに、三水和物をさらに加熱して得られる一水和物も、水熱合成により得られる一水和物と同じ構造になるようです。 http://dx.doi.org/10.1007/BF01167093 また、無水物粉末に水蒸気を吸収させると一水和物と三水和物と五水和物の粉末が順次生成されますけど、これらの水和物の結晶構造は、やはり水溶液から析出させた結晶の構造と同じになるとのことです。 http://dx.doi.org/10.1039/B918702B > 固体を加熱して行った時にはまわりの水蒸気圧によって何ができるかは変わるようです。 はい、そうです。水蒸気圧のほか、結晶の大きさや加熱する速さなどによっても、できるものが変わります。かなり複雑に変化しますので、詳細は省略します。 > どの場所の水分子が抜けるかという事については何も書かれていません。 > どの水が抜けたかというようなことは分からないのかもしれません。 はい。どの水が抜けたのかを調べることは、原理的には可能なはずなのですけど、実際にはとても面倒で難しい実験になります。しかし、重要なことは、 CuSO4・5H2O→CuSO4・3H2O→CuSO4・H2O→CuSO4 のように配位水や陰イオン水が順次抜けていく時には、原則として結晶構造の変化が起こる、ということです。ここのところが格子水の脱水や水和酸化物の脱水とは大きく異なる点です。 CuSO4・5H2O → CuSO4・3H2O + 2H2O という脱水反応は 2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 のような熱分解反応と同じようなものと考えて下さい。CuSO4・5H2O と CuSO4・3H2O は互いに組成も物性も反応性も違うのですから、NaHCO3とNa2CO3が互いに異なる物質であるのと同様に、互いに異なる物質です。 > 英文のwikiには 化学IB・IIの新研究にも似たようなことが書いてありますね。 「CuSO4・5H2Oの結晶を加熱していくと、102℃でまず、Cu2+の配位水であるH2O 2分子が失われ、113℃ではCu2+の配位水であって、しかも陰イオン水にも水素結合している残りのH2O 2分子が失われ、250℃をこえると、最後の陰イオン水が失われると思われる」(p.400:私の持ってるのは古い版です) “思われる”とあることから、この記述は五水和物の結晶構造だけをみて考えたことなんじゃないかなあ、結晶構造が変化しうることを見落としてるんじゃないかなあ、と思われます。この考えに従うなら、一水和物ではCu2+が2配位になるんだということでしょうし、200℃を超えても水分子が水素結合だけで結晶内に残るんだということでしょう。少し無理がある考え方だとは思いませんか?
- htms42
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#2に示されている資料で見ると確かに3つの水が銅イオンに配位しています。残りの一つの場所に硫酸イオンが入っています。この3水和物の結晶は硫酸銅の飽和溶液から95.0℃から116.6℃の間で析出させることができるようです。 化学辞典(東京化学同人)で硫酸銅を引いてみます。 「空気中で徐々に風解する。5水和物の結晶を加熱すると30℃で2個の水分子を、110℃でさらに次の2個の水分子を失い、250℃で無水物になる」と書かれています。(英文のwikiでは63℃、109℃、200℃になっています。加熱中に起こる状態というのは平衡状態ではありませんのでハッキリとした値を求めるのが難しいのでしょう。) 飽和溶液と接触しているという条件で実現する状態と、固体を加熱して行った時に起こる状態とが同じであるという保証はありません。 固体を加熱して行った時にはまわりの水蒸気圧によって何ができるかは変わるようです。 amorphous trihydrateが生じる場合とcristalline trihydrateが生じる場合の境界はp(H2O)=10mmHgであると書いてある資料が見つかりました。amorphaous trihydrateであるというのはどこの水が抜けたかはハッキリしない、結晶構成粒子の再配列も起こっていない状態であるという事ではないでしょうか。3水和物の結晶ができるためには硫酸イオンの位置が大きく変わらなければいけません。 http://books.google.com/books?id=i9nyvTYBQtAC&pg=PA229#v=onepage&q&f=falsecrist どの場所の水分子が抜けるかという事については何も書かれていません。 どの水が抜けたかというようなことは分からないのかもしれません。 英文のwikiには Dehydration proceeds by decomposition of the tetraaquacopper(2+) moeity, two opposing aqua groups are lost to give a diaquacopper(2+) moeity. The second dehydration step occurs with the final two aqua groups are lost. Complete dehydration occurs when the only unbound water molecule is lost. http://en.wikipedia.org/wiki/Copper(II)_sulfate と書かれています。これはご質問の内容と同じものではないでしょうか。 (moeityという単語は辞書に載っていませんでした。検索するとmoietyが出てきました。)
- 101325
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> 硫酸銅5水和物を加熱すると、先に銅イオンの周りの水から取れていきますよね? いいえ。硫酸銅三水和物の結晶構造から考えると、配位していない水から取れていくようです。 http://dx.doi.org/10.1107/S0567740868002748 http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Crystal_structures_of_copper%28II%29_sulfate_trihydrate 硫酸銅三水和物の水分子はすべて、銅イオンに配位しています。 加熱した時は結合の弱い順からとれていく、と考えれば、配位結合よりも弱い、水素結合している水から取れていくのは自然です。
>水素結合よりも強い、配位結合している水から取れていく 失礼ですが、これは現実より理論(?、幻想?)を重視した考え方です。
お礼
硫酸と水の結合が強いという基本的なことを見落としていました。 これで納得がいきました。ありがとうございます。