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油入変圧器絶縁油および巻線の温度上昇限度について
- 絶縁油および巻線の温度上昇限度について質問があります。絶縁物の最高許容温度が定まっているのは絶縁破壊を起こさないためであることは理解できます。しかし、周囲温度によって巻線の温度上昇限度が変わるのか疑問です。
- 周囲温度が低い場合、巻線の温度上昇限度を設定する理由がわかりません。絶縁物の最高許容温度を超えることはないので、温度上昇限度は高くても問題ありません。
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JEC-2200(1995)2.8節で, 温度上昇とは「変圧器各部の測定温度と基準冷媒温度との差をいう」 基準冷媒とは「変圧器周辺の冷却媒体の温度を冷媒温度といい, 変圧器の温度上昇を定める時の基準となる冷媒温度を基準冷媒温度という」 と定義しています。 平たく言うと,冷却風取り入れ口の気温に比べて巻線が何℃上昇したか,が温度上昇です。 > 温度上昇の基準周囲温度とは >「その時の周囲温度(夏は高く、冬は低い)である」 その通りです。 なぜ,温度上昇を規定するかと言うと, 温度試験のしやすさ,温度試験データの使いやすさ,から来ているようです。 すなわち,冬場は冷却風も冷たく,巻線温度も低い。夏場は冷却風が暖かく,巻線温度も高い。 しかし,その温度差は,変圧器内で発生する熱量(損失)と冷却系の熱抵抗(冷却性能)で決まります。 よって夏場でも冬場でも,その温度差(温度上昇)はほぼ同じになります。 常規使用状態で,周囲空気温度は最高40℃と定めています(3.1節)。 巻線の温度上昇限度を50Kとすれば, 夏の暑い日でも冷却風温度が40℃を超えない条件で, 巻線温度を90℃以下に保証できます。 逆に,周囲温度が5℃の寒い日であれば,多少,過負荷運転しても, 巻線温度は許容最高温度を超えない事になります。 周囲温度が5℃なら,温度上昇が85Kあっても巻線温度は90℃なので, 機内発熱量と温度上昇が比例するとして, 85/50=1.7倍の発熱してもかまわない, すべてを負荷損として, 定格の1.3倍の負荷電流を流してもかまわない, という計算になります。 > 周囲温度が5℃の場合は、巻線温度上昇限度を100℃にしても > 絶縁物の最高許容温度を超えないので、温度上昇限度は100℃で > 問題ないのではないかと考えてしまいます。 例えば,寒冷地で夏でも周囲温度が5℃以下の環境なら, 温度上昇限度は,JECによらず,100Kとかに指定して特注品を 作ってもらう事も出来ると思います。
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- FT56F001
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> ということは、冬場の高負荷時に変圧器の冷却装置(ファン)の > 一部を停止しても問題ないのでしょうか? > 冷却装置の一部を停止することで温度上昇限度を超えて > しまったとしても、周囲温度が低いため巻線の最高許容温度には > ある程度の裕度があり、なんら問題なく連続運転をすることが > 可能ではないかと考えているのですが。 はい。理論上はおっしゃる通りで,巻線絶縁物や油の温度さえ許容温度以下ならば, 冬場は冷却装置を一部停止してもかまわないと思います。 実際の適用には,変圧器製造元に相談されることをお勧めします。 さらに言えば,冷却用電力を節電する代わりに温度を限度近くまで上げるか, ぜいたくに冷却して絶縁物等の寿命を延ばすか, 永い目で見たトータルコストはどっちが安い? の選択になります。
お礼
ご回答ありがとうございます。 非常に詳しい説明で助かりました。 節電か寿命か、トータルコストを考える必要がありということですね。 今後の参考にさせていただきます。 ありがとうございました!
お礼
早速のご回答ありがとうございます。 冬だけを考えると温度上昇限度は高くできるが、 夏の周囲温度を考えると、はやり温度上昇限度を50℃に 設定して巻線温度の最高温度を一定以下に保障する必要が あるということですね。 ということは、冬場の高負荷時に変圧器の冷却装置(ファン)の 一部を停止しても問題ないのでしょうか? 冷却装置の一部を停止することで温度上昇限度を超えて しまったとしても、周囲温度が低いため巻線の最高許容温度には ある程度の裕度があり、なんら問題なく連続運転をすることが 可能ではないかと考えているのですが。 なお、冷却装置は数台を左右バランス良く停止し、油温度が 局所的に高くなることは避けることを前提としています。 お礼の欄に質問をしてしまい申し訳ありませんが、 何卒ご容赦いただき、ご回答いただけると幸いでございます。