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ポインティングベクトルについて

ポインティングベクトルはエネルギーの流れと習ったのですが、静磁場、静電場のときのポインティングベクトルもエネルギーの流れといえるのでしょうか? 回答よろしくお願いします。

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回答No.1

 結論から申し上げますと、スタティックの場合、エネルギーの流れは存在しません。ポインティングベクトルは、電磁波のエネルギーの流れで、電磁波の周波数fが0ということはありえませんから。    マクスウェル方程式とローレンツ力の関係から、エネルギー保存則の式  (E・∂D/∂t+H・∂B/∂t)+j・E+divS=0 が導出されます。ここに、Sはポインティングベクトルです。ある媒質に静磁場・静電場が印加されている場合、上式における電束密度D・磁束密度Bの時間変化が0になりますから、上式の括弧内は0になります。  ところでこのとき、静電場Eが媒質に印加されたとき、その媒質が有限の導電率を持ち、電流密度jが0でなければ、divSは0でなくなり、しかもそのエネルギーの流れは湧き出し口のあるものとなります。これがいわゆる「ジュール熱」のエネルギーの流れです。これは、有限の導電率をもつ媒質では、電磁波のエネルギーがジュール熱に化けて減衰するものと理解でき、水中で電磁波が遠くまで伝搬しないことの説明になります。  空間が真空の場合、伝導電流が0なのでj=0となり、divS=0となります。ただこれだけでは、ポインティングベクトルSは0とは限らず、単に湧き出し口がないエネルギーの流れの可能性が残ります。  ところが、そもそも定常な電場では磁場は発生しません。磁場を作るのは、有限の導電率を有する媒質における伝導電流と、真空中でも定義できる電束電流(変位電流)だけです。マクスウェルの理論では、周波数が0の電束電流は有り得ませんので、誘導磁場は発生せず、従って電磁波は発生しません。電磁波のエネルギーの流れは、電束電流による誘導磁場の発生、誘導磁場による電束電流の発生…という一連の流れですから、定常電場EがあってもH=0であり、S=E×H=0になるのです。

seturi38
質問者

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